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ベイルートでサレアハ・アロウリ暗殺とその後・埋葬の様子
2日、ハマスのサレアハ・アロウリ副長官(57)が、ハマス高官6人とともに、レバノン首都ベイルートのアパートへの空爆で暗殺された。
この直後、レバノンから10発のロケット弾が発射されたが、5発はキリアット・シモナ付近で迎撃。5発は空き地に着弾した。その後、北部国境の複数の地点でも、対戦車砲が発砲された。いずれも、イスラエル側に被害は出なかったが、イスラエル軍は、レバノン南部のヒズボラ指令センターへの空爆と、対戦車砲発砲地点への攻撃を行った。
この翌日3日、ハマスの海外トップ、イシュマエル・ハニエと、ヒズボラのナスララ党首は、イスラエルを非難し、反撃は必須と豪語した。
4日には、ベイルート市内のモスクでアロウリの葬儀が行われ、ハマス指導者の一人ムーサ・アブ・マルズークとその関係者たち、イスラム聖戦関関係者、レバノン政府関係者含む数千人が参列。その後、棺を担いで、パレスチナ人殉教茶の墓地とされるところに葬られた。
この墓地には、過去50年ほどの間に、イスラエルとの戦いで死亡したパレスチナ人指導者や戦闘員が葬られている。アロウリを運んで行く群衆は、「アラー・アクバル」「テルアビブを爆撃せよ」などと叫んでいた。
ヒズボラのナスララ党首が反撃を宣言:ブリンケン米国務長官が沈静化にむけて中東入り
イスラエルは、アロウリ暗殺については、ノーコメントを続けているが、ヒズボラとの対戦の準備はできていると述べ、緊張が高まっている。イスラエルとヒズボラが戦争になれば、その規模はガザでの戦闘ははるかに超えるとみられ、中東全体を巻き込む事態になりかねない。
レバノンは、この件について、国連安保理にイスラエルを非難すると訴えた。アメリカは、ただちに外交的解決を目指してアモス・ホフスタイン氏をイスラエルに派遣。続いてブリンケン国務長官が中東入りして、沈静化を図るとともに、周辺アラブ諸国との調整を試みる流れである。
ネタニヤフ首相は、ホフスタイン氏に対し、「避難中の北部住民約10万人が、安心して自宅にもどれるよう、手段はなんであれ(外交か戦争)北部国境情勢を根本的に変えなければならないと考えていると伝えた。
こうした中、ヒズボラのナスララ党首は、5日、公のスピーチの中で再度、必ず反撃すると強調。この件に反撃しなかったら、レバノン全土が標的になるとして反撃を強調した。
www.israelnationalnews.com/news/383134
ナスララ党首は、「10月8日から、イスラエル北部へ670回攻撃し、イスラエル側の拠点48箇所への攻撃で、イスラエル軍の車両や戦車多数にダメージを与えた。
これまでに143人のヒズボラ戦闘員が死亡し、その他の組織から19人、民間人は19人が死亡したが、これは、ガザで戦うイスラエル軍の戦力を分断させるためだった。」と述べた。
これは母体であるレバノンに対し、イスラエルへの攻撃の正当性を訴えているものとみられている。
またナスララ投手は、「もし全面的な戦争になれば、最初にツケを払うのは、イスラエルの北部住民だ。」と述べ、その人々に政府に戦争をやめるように訴えるべきだと述べた。
アラブ指導者は、「適切な時と場所で」というフレーズを使うことが多いが、その場合は、まだ先の話ということになる。しかし、今回、ナスララ党首はこのフレーズを使っていないため、まだ緊張が高いままとなっている。
総合的に見て、イスラエルもヒズボラも、戦争は望んでいないという見方もあるが、小さなことで戦争は起こってしまうものでもあり、イスラエル軍と北部住民たちは緊張の日々をすごしている。