1)シリア政府の支配回復で、UNDOF(国連兵力引き離し監視軍)戻る
シリア南部からクネイトラに向けてシリア軍が反政府勢力に攻撃を行ってたが、この地域での戦闘がはじまって6週間で、シリア政府軍が、おおむね制圧した形になりつつある。
クネイトラには、1974年から内戦が始まるまでの2011年の間シリアとイスラエルの間に駐屯していたUNDOF(国連兵力引き離し監視軍)が駐屯地に戻ることとなった。まもなく、シリアとイスラエルの行き来の再開も検討されている。
しかし、UNDOFは監視するだけで、行動はしないことになっているため、今回は、ロシア軍も警備にあたることになった。イスラエルは、ロシアに、クネイトラにいるシリア難民たちを政府軍の虐殺から保護するよう、要請したという。
www.timesofisrael.com/as-it-returns-to-border-un-looks-to-reopen-crossing-between-israel-and-syria/
2)イスラエル軍とFAIクリニック撤収へ
この地域での内戦が収束に向かっていることを受けて、よき隣人作戦の一環として、イスラエル軍とアメリカのクリスチャン団体FAIが協力して2017年から開いていたシリア側のクリニックを撤収する様子も伝えられている。
これまでにこのクリニックで治療したシリア人は6800人。今後も、必要がなくなったのではないため、撤収というよりは、一次的な凍結という理解でもあるという。
www.jpost.com/Israel-News/IDF-closes-field-clinic-providing-aid-to-injured-Syrians-564094
3)シリア南部のISがゴラン高原へ拡散か
7月に入り、ロシア軍の支援を受けたシリア軍が、反政府勢力の拠点ダラアを奪回したことはお伝えした通りである。シリア軍はその後、クネイトラ周辺を攻撃するとともに、南部で孤立していたISへも攻撃を始めた。
すると7月25日、ISが、突然、ダラア北部のドルーズの町スェイダで、自爆テロを複数回決行するなどして、住民250人以上を虐殺。アブ・アマールさん(19)を殺害する様子を公開したほか、住民(ドルーズ)の女性や子供30人を拉致したもようである。
残党ともいえるISはその後、ヨルダン国境へ向かった者は、ヨルダン軍に殺され、一部は、ゴラン高原、イスラエルとの国境付近に拡散していったとみられる。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5322846,00.html
シリア南部での激戦の翌週の8月2日、イスラエル軍は、イスラエル国境からわずか200mしか離れていないゴラン高原シリア側を空爆した。この時、武装兵7人が死亡したが、のちに、7人がISであったことがわかった。
7人の遺体は、防弾チョッキに身をつつみ、ライフルや手榴弾のほか、自爆用ベストとみられるものを着用していた。イスラエル国境からわずか200mであったことから、イスラエルに侵入して、自爆テロを計画していた可能性も否定できない。
イスラエルのリーバーマン防衛相は、シリアからのテロリストについて、たとえ反政府勢力であったにしても、これからは、この地域を支配するシリア政府にすべての責任を問うと言っている。
イスラエルとシリアの衝突を防ぎたいのはロシアである。ロシアは、イスラエルに被害が及ばないよう、ゴラン高原の非武装地帯にそって、UNDOFと並行して、8箇所にロシア軍・警察の監視部隊を配置する予定である。
4)シリア領内のイランは、イスラエルから85キロ地点まで撤退
イスラエルが、ロシアに、イランをシリアから完全に撤退させるよう要求しているのに対し、先月、ロシアは、それは不可能だとして、国境から100キロまでで、妥協してほしいと申し入れてきた。
イスラエルは、これを拒否したが、その後、ロシアは、「イランと85キロまでで合意した。」と一方的に発表した。イスラエルからはこれに関するコメントはない。
よく考えれば、イスラエルがいくら反対しても、ロシアがこう決めたのだから、それにイスラエルが、どうできるというものでもないわけであるし、いずれにしても、イスラエルが防衛目的で、シリア領内での攻撃を行う事をロシアは認めているので、どうでもよいといえば、どうでもいいのかもしれない。
そのイランだが、Ynetによると、ガザ地区のハマスとイスラム聖戦に年間1億ドルを支援しているという。割合は、ハマスが7でイスラム聖戦が3。イランはアメリカの経済制裁で窮地にたっているが、ガザへの支援額に変わりはない。
一方、ガザの10倍の支援額を受け取っているヒズボラへの支援額は縮小しているという。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5321985,00.html
4)シリア化学兵器関連大物科学者暗殺
シリアの化学兵器開発のナンバー2とも目される化学者アジズ・アスバル博士が、5日朝、乗っていた車ごと爆破されて死亡した。アスバル博士は、イランとも深い関わりがあったとのこと。
暗殺が何者によるのかは不明。イスラエルもコメントをしていないが、イスラエルは、化学兵器がヒズボラの手にわたることへの懸念を表明しており、これまでにも何度かシリアの科学研究所への空爆をおこなってきたとみられる。
最も最近では、7月22日にもシリアの化学研究所が攻撃されている。