カンユニスでのシンワルに迫るか:ガザ市民はもはや限界の様相 2023.12.7

(Israel Defense Forces)

シンワルに迫るかIDF

イスラエル軍は、ジャバリヤとシジャイヤを攻撃し、貯蔵武器庫などを摘発、破壊を続けている。

南部カンユニスでは、包囲して、その中心部にまで到達している。ハマス戦闘員は、トンネルから出てきて、イスラエル軍と激しい銃撃戦になっているという。民間人数千人は、南部のラファへ脱出していったと伝えている。

イスラエル軍は、ハマスのトップであるシンワルを見つけ出して殺すことを目指している。ネタニヤフ首相は昨日、イスラエル軍は、シンワルの自宅を包囲したと発表。シンワルがそこにいるわけではないが、もうまもなく彼に追いつくだろうと発表した。

ベエルシェバとアシュケロンにロケット弾

昨夜午後遅くには、ベエルシェバやアシュケロンに向けてロケット弾が発射された。ベエルシェバでは、一発が工業地帯の駐車場に着弾。車が大きく被害を受けたが、負傷者はなかった。

ガザ市民は限界:食糧も燃料もなく伝染病蔓延

イスラエルの北部南部への攻撃で、ガザ市民の80%に当たる187万人が自宅を追われることとなった。ガザ全土で激戦となり、特にガザ北部には、食糧も燃料もいっさい届かなくなっている。

南部へ避難してきた人は、イスラエルが安全地帯と約束するアル・マワシに避難した人もいたが、とうてい187万人全員が入れるものではない。イスラエル軍は、今のカンユニスへの攻撃の前に、ラファへ避難するように指示している。ガザの人々は移動に次ぐ、移動で疲れ切っている。

しかもどこへ行っても十分な資源も食糧もなく、避難所では、子供も大人も数万人がぎゅうぎゅうに雑魚寝状態で、気温も下がって、伝染病が拡大している。医療システムもほぼ崩壊している。

以下は、UNICEFが発表したカンユニス近くの避難所からの声。連続した砲撃が休みなく続いており、全く寝られない状態だと言っている。

ハマスとは関係のない、ガザ市民の日々は、悲惨の一言である。しかもその40%が未成年であることから、国連だけでなく、アメリカも危機感を募らせており、イスラエルに、民間人の保護をあらためて強調している。

イスラエルは、アメリカの要請に応じて、7日、ガザ南部から、燃料を毎日12万リットル搬入することを認めた。しかし、それ以上は、人質全員の解放と交換だと言っている。

国連のグテーレス事務総長、このままであれば、とりかえしのつかない大惨事になるとして、国連憲章第99を発動。国連事務総長として、即時停戦を命じることを目的に、国連安保理の開催を要請すると発表した。これはかなり異例の動きである。

これに対し、イスラエルの国連大使は、「ハマスを支持するものであり、世界平和に対する危機を招く決断だ」として、グテーレス事務総長はその役職に相応しくないとあらためて辞任を要求した。

www.timesofisrael.com/following-us-pressure-israel-approves-increase-of-fuel-deliveries-to-gaza/

以下はこれまでの避難民たちの動きをまとめたもの

国連倉庫を強奪する市民が国連を非難・怒りはハマスに向くか

しかし実際のところ、ガザ市民たちはもう限界になっている。6日、ガザでは、民間人たちが、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の食糧保管庫から食料を取っていく映像がSNSで流れた。

発信元は、GAZA reportと英語で発信されており、UNRWAに食料配布に疑問を発している。ガザでは、深刻な食糧難にあるのに、なぜUNRWAはそれを倉庫から出さないのかと訴えている。

UNRWAについては、イスラエルとトランプ前米大統領も、ハマスに支援を横流ししていると指摘していた。もしそれが本当であれば、すぐ近くにいるパレスチナ人が気がつかないはずはないだろう。

www.timesofisrael.com/video-said-to-show-desperate-gazans-ransacking-unrwa-supplies-stockpile/

実際にところ、パレスチナ人たちの中にはハマスに怒りを持つものもいるとみられる。時々、メディアにそういう発言が出ている。以下のクリップは、ガザ内務省(ハマス)報道官の発表の背後で、男性が、負傷した腕を振りながら、「神のさばきがハマスの上にあるように!」と叫んでいる。

この男性は、その後、姿が見えなくなったとのこと。消された可能性がある。まだまだガザ市民には危険すぎる存在である。

しかし、まともに考えれば、ガザの生活をここまで破壊したのはハマスであると思いたらないはずはない。ハマスがイスラエル人をあれほど残虐に殺さなかったら、イスラエルがここまで激しい攻撃をしてくることはなかったからである。

ガザでは、戦後どうするかの話が時々出るようになっているが、アメリカとイスラエルも一致しておらず、困難を極める。ガザ市民から、本当に市民のことを考えるリーダーが現れて、これからのガザを立て直す形になるのがおそらく理想的ではあるが、現時点で、その確率はほぼゼロである。

www.timesofisrael.com/in-gaza-growing-signs-of-anger-at-hamas-as-residents-fight-for-food-battle-diseases/

石のひとりごと

ガザ市民たちの悲惨な様子を見て、読者はどう感じるだろうか。世界からは、「虐殺は虐殺をし返すことの理由にはならない」という声も上がっている。

まず第一に、イスラエルは、意図的に虐殺をしているのではない。人間を盾にするハマスのせいで人々が犠牲になってしまうのである。また、ハマスは、イスラエルが、この地上からなくなるまで何度でも同様の攻撃を繰り返すと宣言している。イスラエルが、ハマスをそのまま放っておくことはできない。とはいえ、ガザの人々が死んでいることは、イスラエルにとっては非常な心痛である。

世界はイスラエルを非難するより、なぜ、ハマスに対する働きかけをいっさいしないのだろうか。ハマスに早く人質をつれて投降するよう、呼びかけることもしていないように思う。

イスラエルを非難して、その手を縛るのではなく、1日でも早くハマスの手を縛ること。それが、ガザ市民の被害を最小限にする唯一の方法である。

とりなす者として、私たちは、ガザの人々の限界を見るとき、その人々を覚えると共に、イスラエル軍が、民間人を一人でも犠牲にしなくてもいいようにとりなしたいと思う。そしてなによりも、1日でも早くハマスが終わるように、戦闘を終えることができるように、イスラエルの神にたのみこむ時ではないかと思う。

主よ。あなたが贖い出された御民イスラエルをお赦しください。罪のないものの血を流す罪を、御民イスラエルのうちに負わせないでください。彼らは血の罪を赦される。(申命記21:8)

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。