カイロでの停戦・人質解放交渉の現状:無理を言っているのはハマス 2024.2.5

Hamas leader Yahya Sinwar with Hamas members in Gaza after the cease-fire with Israel, last month.Credit: John Minchillo / AP

ガザ情勢:ハンユニスで激戦中:現金300万シェケル押収

IDF

ハンユニスでは、IDFを誘き寄せて待ち伏せするハマス部隊などもおり、戦車隊、空爆で対処するなど、激しい戦闘が続いている。

そうした中、シンワルの弟のオフィスはじめ、ロケット弾の貯蔵庫、武器製造工場など次々に摘発、破壊している。現金300万シェケル(1億2000万円)も押収したとのこと。

また、新たなトンネル、そのシャフトや、エレベーターなども発見された。トンネル内で、ハマス戦闘員約500人を拘束し、尋問のために、イスラエルへ移送したとのこと。中には、10月7日の虐殺に関わったとみられる者もいるとのこと。

IDFによると、ハンユニスでの戦闘で、死亡したハマスは、これまでに約550人。ガザ保健省によると、日曜1日で127人が死亡。合計では2万7365人。負傷者は6万6630人となっている。

一方イスラエル軍でもシモン・アスリン軍曹(26)写真 が死亡。戦死者は225人となった。

ハンユニスでの激しい戦闘が始まってから、その住民12万人が、イスラエルが設置した回廊を通って、さらに南部、エジプトとの国境にラファへ避難したとみられる。国連によると、ラファには、戦前20万人が住んでいたが、そこへガザ市民半分の110万人以上がなだれ込んでいるという。

www.timesofisrael.com/mock-israeli-towns-idf-bases-troops-raid-hamas-compound-used-to-train-for-oct-7/

そこに収まるものではなく、エジプト領シナイ半島に流れ込んでくる可能性が懸念されており、エジプトは、もしそうなったら、現在カイロで行われているイスラエルとハマスの交渉は、すべて停止すると言っている。

カイロでの交渉:イスラエル・アメリカ・カタール・エジプト

カイロで行われている停戦と人質解放の交渉は、進展がみられていない。ニュースでは、イスラエルがハマスを殲滅するまで攻撃はやめないと言っていると非難めいた印象で伝えられている。しかし、実際には、ハマスが出している条件が、イスラエルにはとうてい受け入れられないものになっている。

ハマスは、イスラエルが完全に戦闘を停止すること、また人質の女性兵士1人に対し、150人のパレスチナ囚人の釈放を要求している。いいかえれば、人質136人の代わりにパレスチナ囚人2000人近くを釈放するということである。これに、一時は、サウジアラビアとの国境正常化といったアメをつけるといった情報もあったが、イスラエルが飲める条件ではない。

www.timesofisrael.com/in-cairo-senior-hamas-officials-discuss-hostage-deal-with-egyptian-intelligence-chief/

ブリンケン米国務長官が、今中東に向かっているが、どうにも進展は望めない感じである。

石のひとりごと:憎しみがガザのすべてを破壊した

ガザ難民の子供たち(手前は新生児)NYT

ガザの人々の様子は、悲惨を通り越している。ハマスに洗脳されていたとはいえ、普通の人々である。それが、ハマスのイスラエルへの憎しみのツケをすっかり払わされているのである。以下は、NYTの記事でガザ市民の写真が出ている。

www.nytimes.com/2024/02/04/world/middleeast/gaza-photos-israel-war.html

歴史的な憎しみを子孫代々に伝えていく、まさに負の遺産の骨頂である。憎しみを持ち続けて、死んで憎しみを達成すことに栄誉を持たせる。それこそが、ガザの人々のすべてを破壊したのではないか。人々をそこへ追い込んだのはハマスである。

ユダヤ人たちは、長年の迫害と流浪の恨みを、忘れはしないが、怒りに変えなかった。ユダヤ人たちは、どんなに不条理であったとしても、今あることからスタートし、未来を築いていったのである。ホロコーストの経験者は、「嫌いでもいいが恨んではならない。それは自分を滅ぼすことになるから」と孫たちに教えていたのである。

ガザの人々の悲惨をみるにつけ、イスラエル人の悲惨もあわさって、ハマスに怒りを覚える。

ガザの人々がこのハマスという霊的な悪から解放されるように。本来は美しいガザの回復の最善の道へと導いてくださるようにと祈る。(これも不可能にしかみえないが、不可能を可能にする主に期待するのみである)

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。