オーストラリアのスコット・モリソン首相は、15日、オーストラリアは、西エルサレムをイスラエルの首都認めるとの正式発表を行った。
統一エルサレムではなく、西エルサレムだけをイスラエルの首都と認めることを正式な見解として発表するのは、ロシア(2017年発表)に続いて2国目になる。
モリソン首相は、1967年の国境線を国境と認める(東エルサレムはイスラエルではないということ)とし、東エルサレムは将来のパレスチナ人の国の首都になると述べた。
しかし、オーストラリア大使館の移動については、イスラエルとパレスチナの間に和平が成立してからとして、移動はさせない方針である。
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これは当然、イスラエルにとっては残念なことだが、パレスチナ人も歓迎していない。
パレスチナ自治政府は、正式にはエルサレムをパレスチナの首都とすることを目標としているのであって、オーストラリアが、勝手に東だけを首都とするということは、失礼なのである。
パレスチナ自治政府のサエブ・エレカット氏は、これを無責任だと反発した。
また、オーストラリアに近いイスラム教国、マレーシアと、インドネシアは、たとえ西だけであってもエルサレムをイスラエルの首都と認めたことに反発している。
オーストラリア政府は、市民に対し、周辺イスラム教国への渡航にあたっては注意するよう警鐘を鳴らしている。
www.timesofisrael.com/australia-stands-by-jerusalem-decision-after-backlash/
<諸国大使館のエルサレム移動は暗礁!?>
5月にアメリカが、大使館をテルアビブからエルサレムへ移動した際、ネタニヤフ首相は、複数国が、アメリカに続いてエルサレムに大使館移動を検討中と述べていた。
しかし、事はそう甘くなさそうである。アメリカに続いて、グアテマラとパラグアイがまもなく大使館をエルサレムに移動させたが、パラグアイは、すでに大使館をテルアビブに戻してしまった。
チェコのミロス・ゼーマン大統領は、大使館をエルサレムへ移動させると言っていたが、外相がそれを撤回。イスラエルの首都は、1967年の国境に基づくべきとの見方が、今の所、チェコの正式見解となっている。
ブラジルの次期大統領に選ばれているボルソナロ大統領は、強力な福音派クリスチャンで、アメリカに続いてブラジル大使館をエルサレムへ移動させることを公約にあげている。
ボルソナロ大統領の就任は2019年1月1日。就任後、この件についても動き始めるとみられる。
これに対しアラブ同盟(22カ国)は、もし、本当に大使館を移動させるなら、ブラジルとアラブ同盟との関係が格下げになると警告した。アラブ同盟は、今週、ブラジリアに集まって、この件について論議し、ボルソナロ氏に圧力をかけるとみられる。
このように、諸国がエルサレム大使館移動に慎重なのは、アラブ諸国からの反発を招くからである。
来年のブラジルの動きにまずは注目したい。
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