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新型コロナについて、WHOが世界パンデミックだと宣言してから3ヶ月以上になる。まだまだ不明な点が多いが、この半年のデータから様々なことがわかってきている。
Times of Israelが、結局のところ、新型コロナの危険性の本質は何か。これからどうなっていくのであり、何が問題で、何を目標とするのか、坑生物疫病コントロールセンター所長のヤフダ・カルメリ教授(政府に情報提供はするが、政府諮問機関の一員ではない)に、インタビューした記事をアップしていた。わかりやすかったので、以下にまとめた。
結論からいうと、カルメリ教授は、パンデミックが始まったころよりも、今の見方は肯定的になったと言っている。
www.timesofisrael.com/under-50s-have-little-to-fear-but-even-vaccine-wont-save-millions-of-elderly/
新型コロナ・パンデミックはまだ入り口
新型コロナウイルスは、世界で感染拡大を続けており、18日現在で、前日に1万4000人以上が新たに感染して感染者総数840万7373人。死者は、前日987人死亡して、45万1439人と、被害の拡大が続いている。(Worldometer)https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries
基本的に、人類は、新型コロナ・パンデミックの終わりに近づいているどころか、はじまりに立っているにすぎない。一つの感染症が終わったといえるのは、人類の80%が、感染した後であり、まだそこには到底届いていないからである。
ワクチンはあまり有効でないかも
今、世界中がワクチンの開発競争に入っている。日本でも大阪府が、世界に先駆けて今月末には治験に入ると発表している。しかし、大量に生産して幅広く使うまでには、まだ1年ぐらいはかかる。また、仮にワクチンができても、結局致死率を下げることには、つながらないと、カルメル教授は指摘する。
イスラエルでは、50歳以下の人は感染して死亡する率は1000人に2人と言われている。しかし、実際には、この年齢の人々は感染しても発症せず、体内に抗体を持つようになるだけで終わる人が、10−50倍はいると思われるので、死亡率は1万から5万人に2人ということになる。
これを、かりに2−3万人に2人死亡するとして、イスラエルの全人口で見ると、最終的に、50歳以下で死亡する人は、650人ということになる。
一方で、70歳以上の場合、致死率は8%、80歳は15%である。イスラエル全人口で計算すると、70歳以上では、4000人から5000人が死亡する。50−70歳も入れると、これは、予測値でしかないが、最終的に、イスラエル人のコロナによる死者は、7500−8500人と予測される。
ここで、まず挙げられるのは、若年者の致死率は非常に低く、高齢者の致死率は高いということである。そうなると、ワクチンは、高齢者にはあまり効果がないことがわかっているので、たとえ、ワクチンが開発されても、最終的な死亡率を下げるとは期待できない可能性があるとカルメリ教授は語る。
できるだけ引き延ばして医療崩壊を防ぐことが必要
カルメリ教授は、この数字はあくまでも、医療崩壊が起こらなかった場合の数字だと強調する。
実際のところ、イスラエルでは、毎年1000人がインフルエンザで死亡している。新型コロナで8000人死亡を予想といっても、もしそれが5−8年の間におこるなら、人類は受け入れられるということである。
しかし、新型コロナの場合は、未知であるために抗体を備えている人がほとんどいないことから、感染も致死もインフルエンザよりも早くすすんで、医療崩壊を引き起こすという点が問題なのである。
インフルエンザに感染する人は毎年10%程度で、かかっても、発症せずに抗体を得るだけの人もいる。死者数が多いのは問題だが、新型コロナよりも感染や重症化が遅いために、ワクチンも開発され、感染しても発症せずに抗体を備えた人も出ているということである。
ところが、新型コロナは、まだ抗体がまったくなく、無防備な中できたために、感染も重症化も猛スピードですすんでしまったということである。たとえば、イタリアのロンバルディでは、人口の40−50%が、わずか3、4ヶ月の間に感染している。
この地域では、インフルエンザなら、4−5年かかって到達する感染者数を、新型コロナはわずか3−4ヶ月で到達させたということである。こうなると、医療崩壊に陥って、コロナに直接関係ない病気の治療もできなくなり、死者数が爆発的増加する結果となったわけである。
この点から考えられることは、まだワクチンも治療法も確立されていない以上、新型コロナを早く終わらせることを期待するのではなく、感染、致死がゆっくりすすむようにして、爆発的感染による医療崩壊に陥らないようにするということが重要だということである。
実際には、マスクの着用、手洗いや消毒、パーソナルディスタンスなどの原則を守るということで、もし、これを怠れば、容易に爆発感染が発生し、予想をはるかに超える死者が出ると、とカルメリ博士は、容赦なく指摘する。
私たちがやっている感染予防対策は、たんに自分が感染することや誰かに感染させてしまうのを予防するというだけでなく、医療崩壊を防ぐという、大きな視点をもって行っていくということである。
様々な治療法の進展:結局のところもう聞かされているところ!?
治療薬はいろいろあるが、①予防的なもの ②重症化を防ぐもの ③重症者に使うものがある。
予防的なものとしては、カルメリ教授自身は、デムデシビルなら自分でも利用するとのこと。重傷に陥ってしまった場合、感染して抗体をもつ患者の血清を重傷者に投与するという方法がある。1920年代からの単純な考え方だが、これで30%ぐらいの重傷者を回復させられるとデータがあるという。
また、17日、イギリスが、重症者に発生するサイトカインストーム(過剰免疫)には、ステロイドが有効と発表した。しかし、この直後、イスラエルは、パンデミックの初期からすでに投与して効果を認めていたと発表した。確かに炎症症状にステロイドを使うことは、医療においては、自然な発想といえる。
このほか、新型コロナは比較的単純な構成であることから、危険性の少ないウイルスに突然変異させるという手が考えられる。しかし、これを実現するのは、まだ期待薄とカルメル教授。
まとめると、私たちはこのコロナとしばらくは付き合っていかなければならないということである。その中で、結局のところ、できることは、感染予防策を守るということと、体力をつけておくということだとメルカリ教授は締めくくっている。
石のひとりごと
どうやら、コロナとの付き合いは長くなりそうだ。コロナについては、なにやらよくわからない点が、不安の元である。正しい知識で、恐れなければならない点、そうではない点を把握して、正しく対処できれば、不安は軽減できる。上記の記事も、そうした情報の一つになれば幸いである。
日本は、幸い、今の所、どういうわけかと世界が首をひねるほどに、被害が少なくて済んでいる。しかし、抗体という視点でいうなら、0.1%ということで、まだまだ無防備そのものと言える。
カルメリ教授が言うように、このまま、ワクチンやら、治療薬が確立されるまで、やんわりすすんで、被害が少ないまま、新型コロナが過越していってくれることを願うところである。