UNHCR国連人権理事会からロシア停止へ:イスラエルは賛成票 2022.4.8

A completed resolution vote tally to affirm the suspension of the Russian Federation from the United Nations Human Rights Council is displayed during a meeting of the United Nations General Assembly, Thursday, April 7, 2022, at United Nations headquarters. UN General Assembly approved a resolution suspending Russia from the world body's leading human rights organization. (AP Photo/John Minchillo)

国連安保理は機能不全:ゼレンスキー大統領

ロシアのウクライナ侵攻が続いているが、国際社会は、経済制裁は積み上げるものの、ロシアの侵攻を止める決定的な動きにはまだ出られないでいる。

6日、国連安保理は、ブチャでの殺戮を受けて、緊急会合を開いた。ゼレンスキー大統領は、ビデオメッセージを行い、「ウクライナで行われていることは、第二次世界大戦以来、最も大きな戦争犯罪だ。」と訴えた。各国も、ロシアの行為は戦争犯罪に当たると表明した。

しかし、安保理は、実質的には何もできないでいる。ウクライナ侵攻直後の2月に行われた国連安保理では、ロシアに即時撤退などを求める決議を行い、140カ国が賛成したが、ロシアが、拒否権を発動したために、可決することができなかった。その結果、ロシアは撤退をせまられることなく、多くのウクライナ人が、虐殺されることになったのである。

ゼレンスキー大統領は、国連安保理は、機能不全に陥っていると指摘。拒否権のあり方を論議してほしいと訴えた。

www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05DSP005042022000000/

国連特別総会:国連人権理事会(UNHRC)のロシア理事国資格停止

続いて7日、国連特別総会がニューヨークの国連本部で開催され、UNHRC(国連人権理事会)におけるロシアの理事国としての資格を停止するかどうかの採択を行った。

理事国は加盟国の投票で、47カ国が選ばれ、任期は3年である。ロシアは現在2年目。したがってあと1年ほどだけのことだが、安保理常任理事国でありながら、この権利を失うことは初めてで、世界からの孤立を印象付けねらいがある。

なお、これまでに、理事国の権利を剥奪されたのは、カダフィ大佐がいたころのリビアに続いて2カ国目である。

採択の結果は、加盟193カ国中、賛成93カ国、反対24カ国、危険58カ国で可決された。可決されたものの、意外にも賛成票が伸び悩む形で可決されていることがわかる。ロシアは大国でであり、依存する国々の本音が現れている。

反対票を投じたのは、ロシア、中国、イラン、シリアなど24カ国。棄権はインド、エジプト、ヨルダン、UAE、サウジアラビアなど中東諸国など58カ国。

イスラエルは、これまで、できるだけ、どちらにもつかないという立場を維持してきたが、最近ではさすがにロシアを支持し続けることが難しくなり、欧米よりの立場を表明するようになっている。今回も、イスラエルは賛成票を投じた。

しかし、UNHRCといえば、悪意があるのではないかと思うほどに、反ユダヤ、反イスラエル決議を出してくる組織である。内戦中のシリアが民間人を虐殺しているときですら、その件ではなく、イスラエルを人権無視として非難決議を出すほどであった。イスラエルはこれに常に不満を訴えている。

今回、イスラエルは、ロシアに関する件で、賛成票を投じたのではあるが、ラピード外相は、それは道徳の問題であるからであって、イスラエルのUNHCRへの訴えが変わったわけではないと強調している。

この決議を受けたロシアは、強気姿勢で、「政治的な動機によるものだ」と批判し、自らUNHRC理事を終わらせると述べた。今後、賛成票を出した国々を非友好国とみなして、なんらかの対抗措置を取ってくる可能も指摘されている。

www3.nhk.or.jp/news/html/20220408/k10013572431000.html

こうした中、今日、日本は、ロシアの外交官を追放したり、ロシアの石炭輸入を停止するといったニュースが続け様に届いている。ちょっと一気にやりすぎないか・・・と懸念も感じるところである。

石のひとりごと:世界直面する大きな国

ロシアは巨大な国で、世界はその食糧や燃料に依存している。その輸出入バランスが崩れて、今、貧しい国から順番に、その影響がではじめている。さらにロシアは、核兵器、生物兵器保有国である。下手に反対派できない。今世界は、とんでもない無敵の国を追い詰めようとしているのかもしれない。

無論それのが今のロシアだと言っているわけではないが、なんとなく、ダニエル書7章に出てくる、横ざまに出ている熊の絵を連想させられる。

しかし、悪がそのままみすごされることはない。すべての主権を持つ神は確かにおられる。いつかは、この義なる神の正しい裁きが現れるはずである。

私は、あの角が語る大きなことばの声がするので、見ていると、そのとき、その獣は殺され。からだはそこなわれて、燃える火に投げ込まれるのを見た。残りの獣は、主権を奪われたが、命はその時と季節まで伸ばされた。

私がまた、夜の幻を見ていると、見よ。人の子のような方が天の雲に乗って来られ、年を経た方のもとに進み、その前に導かれた。

この方に、主権と栄光と国が与えられ、諸民、諸国、諸国語の者たちがことごとく。彼に仕えることとなった。その主権は永遠の主権で、過ぎ去ることがなく、その国は滅びることがない。(ダニエル7:11-14)

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。