GHF(ガザ人道財団)物資配給所3か所目オープン:国連は協力を拒否

GAZA RESIDENTS carry aid supplies which they received from the US-backed Gaza Humanitarian Foundation, near the Netzarim Corridor, yesterday. (photo credit: Ramadan Abed/Reuters)

混乱の後:配給所3か所に増設

5月26日(月)に、ガザ南部ラファで始まった、GHF(アメリカ人道財団)による食料配給センターでは、初日に数千人の群衆が殺到し、カオスになったが、同日夕方にはすでに、落ち着きを取り戻したか、配給が再開されたとのことであった。

その後GHFは、ラファにもう1か所と、ガザ中部にも配給センターを設置。現在3か所で、物資や食料の配給が行われている。GHFによると、5月28日(水)だけで、99万7920食が配給されたとのこと。

累計では、1万7280箱、183万8182食分が配給された。GHFによると、1箱は、人家族1週間分の食料が入っているとのこと。

アルマワシ避難所テント村に近い、ラファでは、これま

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でにトラック10台分の食料が入って、2か所の配給センターから、計9600箱、55万4400食分の食料が、ガザ市民たちに配給された。

ガザ中部の配給センターからは、7680箱、44万3520食分が配給された。GHFによると、今後、ガザ南部、中部にも配給センターを増設する予定とのこと。

www.jpost.com/middle-east/article-855958

以下は、IDF報道官による配給センターに関する解説と、配給が始まる前の配給センターの様子。

配給センターは、アメリカとIDF民間事業部COGATとの協力で運営されている。

報道官は、イスラエルの担当は、まず、物資を搭載したトラックが、厳しいセキュリティチェックを経て、ケレン・ショムロンからガザ地区へ入れるようにすることと語る。昨日入った80台以上を含め、すでに1000台近くがガザに入っているとのこと。

また、ガザに入った物資は、絶対にハマスの手に渡らず、必要としているガザ市民の手に届くようにすることだと語る。今、ハマスは市民たちに、ここで食糧を受け取らないよう言っているが、市民たちは来ているとのこと。

本来なら、国連と国際組織が、ここから食糧を市民に届けなければならないが、国連は、ハマスと協力はしても、我々とは協力していないと語っている。

しかし、報道官は、ガザの人々を飢餓に陥れたのはハマスであると強調。ハマスがガザに入った支援物資をずっと強奪して、ガザの人々を飢餓に陥れたことを忘れてはならないと語り、以下のように締めくくっている。

「ハマスがガザの人々を飢餓に陥れているのだ。ハマスがガザ市民のための物資を強奪してきた。そのハマスは、私たちの市民58人を人質にしている。イスラエルが戦っているのは、このハマスなのである」

ただ配給が整然と行われているわけではなく、混乱もあるようである。

以下のAP通信の報道(5月30日更新)によると、配給センターに来ていた女性が、配給はIDカードに基づくものではなく、散らばっているクーポンをゲットできた人だけが食糧を手にできたため、何ももらえなかったと言っている。

WFP(国連世界食料計画)倉庫に群衆が殺到で4人死亡:それでもGHFへの協力は拒否

ガザ南部ラファで、GHFの食料配給センターが2か所目を開所した、5月28日(水)、ガザ中部のデイル・アル・バラでは、WFP(国連世界食料計画)の食料倉庫に、大群衆が殺到。建物を破壊して、中に押し入り、食糧を持ち去った。

このカオスの中、将棋倒しで2人が死亡。2人は、混乱を止めようとしたハマスが殺害した。この時、イスラエル軍は周囲にいなかった。WFP職員は、人道危機で人々が制御不能になっていると語っている。

イスラエルがこれまでからも指摘してきたように、国連が運営する人道支援活動は、ハマスとの協力で行われてきたということである。この様子は、今ハマスが十分な脅威になっていないことを表している。

アメリカとイスラエルの配給システムは、国連もハマスも締め出した新しいシステムである。これに取って代わるしかないことは明白だが、国連のグテーレス事務総長の報道官は、改めて、GHFとの連携はないと表明したとのこと。

www.timesofisrael.com/four-palestinians-die-in-storming-of-gaza-un-food-warehouse-idf-was-not-in-area/?utm_campaign=most_popular&utm_source=website&utm_medium=article_end&utm_content=5

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。