Gゼロ世界でアメリカが直面する中国との台湾危機:ロシアとのウクライナ危機 2021.12.10

(AP Photo/Susan Walsh, File)

バイデン大統領は就任以来、民主主義と世界の中のリーダーシップを取り戻そうと必死になっている。バイデン大統領が特に危機感を表明しているのが、中国の進出である。バイデン大統領は、このままであれば、アメリカは中国に負けるとさえ言っていた。このため、対中政策が最優先されてきたのであった。

ところが、ここへきて、もう一つの先制主義国ロシアにによる、ウクライナ侵攻の懸念が、後回しにできない状況になってきた。両前線が同時に火を吹くといった最悪の事態を懸念する分析もある。中国とロシアに関する、一触即発の状況は以下の通り。

中国:香港から台湾へ

中国は2010年にGDPにおいて日本を抜き、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国になった。以後、中国は経済だけでなく、技術や軍備においても急成長を遂げた。このままいけば、2028 年には、中国経済がアメリカを抜くとの予想もある。(英シンクタンクCEBR)

www.bbc.com/japanese/55457085

特に今年は、共産党100周年ということもあり、習近平国家首席は、目に見えて大胆な世界への進出を行なっている。その大きな一歩が、香港の民主化運動を押さえ込んで、中国の一都市にしたという流れである。これは、昨年7月に、香港国家保安法が制定されたことで決定的となった。

これにつづいて懸念されているのが、台湾である。台湾は、中国の「一国2制度」でではあるが、民主的な独立性と自治を維持し、経済力、技術力も先進国と肩を並べるほどに発展をとげている。アメリカ、日本など世界の民主主義国とも、よい関係を保っている。

中国は、台湾は中国の一部だと主張。香港と同様、台湾も完全な中国の支配下に入れようとしている。台湾はこれにながらく抵抗してきたのであった。その圧力は軍事にまで拡大しており、台湾の防空識別圏に、中国機が多数飛行するなど、台湾国防部トップは、ここ40年で中国と台湾の緊張関係は最悪と言っている。

www.bbc.com/japanese/58813133

中国は、10月、台湾方面を管轄する人民解放軍が、市街地訓の映像練を公表した。台湾への侵攻を脅迫。示唆したものと思われる。

バイデン大統領はもし、中国が台湾への軍事介入をするなら、アメリカも軍事力で対抗すると表明。こうなると本当にアメリカと中国の戦争にもなりかねず、米軍基地を沖縄にかかえる日本はじめ、地域が巻き添えになる可能性も出てくる。

こうした中で、今回、バイデン大統領は民主化サミットに中国は招かず、台湾を招いたということである。

www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/10/post-97349.php

*東シナ海と南シナ海進出・一帯一路でアジア制圧へ

香港、台湾問題以外でも、中国には多くの懸念される動きがある。東南アジアでの勢力拡大は、中国海軍が、東シナ海、南シナ海に出没するようになり、今年2月には、海警法が発表された。自ら決めた海域に他国が侵入したら実戦で戦ことを合法化した法律である。無論、日本は無関係ではない。この10月、中国とロシアの海軍は共同演習だとして、日本列島をほぼ一周した。

また、中国が、中国とアジア、中東を結ぶ大シルクロードともいえる一帯一路計画もある。今月3日、中国領からラオスに至る鉄道が完成(やく1000キロ)。今後、タイ、シンガポールへと路線が拡大していく。いいかえれば、中国の影響力が拡大していくということである。

このプロジェクトでは、東南アジア諸国に、鉄道のインフラ整備をすすめ、その借金のかたに、最終的には中国が、それらの国を支配下に入れるという「債務のわな」が指摘されている。

ロシア:来年初頭にもウクライナ国境に17万の軍派遣を示唆

 

アメリカの指導力が弱まり、Gゼロになっていることを背景に、ロシアもこれまで主張できなかったことを言い始めている。それが、プーチン大統領が訴える、ウクライナに関する米欧の約束破りである。

ロシアは、ウクライナが欧米よりとなり、今、NATO(北大西洋条約機構)に加盟を要請していることについて、最後の一線を超える事態だとして、ウクライナとの国境に10万人ともみられるロシア軍を派遣し、来年初頭には17万人に増強するとして、今にもウクライナに侵攻する勢いになっている。

これを受けて、バイデン大統領は、7日、オンラインでプーチン大統領と2時間におよぶ会談を行った。プーチン大統領は、バイデン大統領に、ウクライナのNATO非加盟と、ウクライナに西側諸国が軍事支援(ロシア軍が国境にいるため)を行わないよう求めた。

無論、アメリカが受け入れるわけにはいかない条件である。バイデン大統領は、この会談の前に、フランス、ドイツ、イタリアとも相談しており、ロシアに対し、もしウクライナに侵攻すれば、欧米側は、強力な掲示措置をとる可能性があると示唆した。

しかし、会談後の記者会見では、米軍を派遣するようなことは検討していないとし、今後も外交的な対話で、緊張が緩和していくことを期待すると述べている。結果的には、平行線をたどっているということで、緊張は続くままである。

www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07E080X01C21A2000000/

www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0800P0Y1A201C2000000/

*ロシアとウクライナの緊張

ヨーロッパとロシアに挟まれているウクライナ BBCより

プーチン大統領は、1990年のドイツ統一の際、西側が、当時のソ連に、NATO(北大西洋条約機構)の東方ロシア方面へ拡大しないと約束したにもかかわらず、1991年には、ウクライナがソ連から独立。以後、市民の間でもロシア側につくのか、西側につくのか、はっきりしない時代が続くようになる。

そうした中、2014年、親ロシア勢力を支援する形で、ロシアがクリミア半島を支配下に入れた。この時、ロシアは、ウクライナ東部で、親欧米派と戦う親ロ勢力を支援する戦いとなり、13万人が死亡するという大惨事になった。この戦争の後、ウクライナとロシアは、2015年に、フランス、ドイツの仲介で、ミンスク合意に至っていた。

ゼレンスキー大統領
ウィキペディア

しかし、2019年にウクライナで、親欧米のゼレンスキー大統領が就任。クリミア半島奪回、再併合を目指す方針を明らかにしておりNATOへの加盟を要請している。ゼレンスキー大統領はユダヤ系ウクライナ人である。

ウクライナがNATOへ加盟するということは、欧米軍がウクライナにも展開するということで、ロシアには大きな脅威になる。ウクライナは、ロシアにとって地政的、戦略的にも失うわけにはいかない地域である。

このため、ロシアは、これを防ぐため脅迫としてウクライナとの国境に、ロシア軍の派遣を始めた。その数、いまや10万人近くになっている。さらに来年初頭には、最大17万にまで増やすとも示唆した。

ロシアとしては、軍事介入してでも、ウクライナがNATOへ加盟すること、いいかえれば、ウクライナが欧米勢力入りすることを、絶対に防ぐとの宣言ということである。

石のひとりごと

テレビのニュースでも十分報道されているが、一応、自分でも理解したいと思い、まとめてみた。こうしてみると、確かに、アメリカの権威が落ちたということを実感させられる。中国とロシアが、アメリカにはっきりNOを突きつけているからである。そうされても、アメリカには実際のところ、どうすることもできていない。

とはいえ、アメリカも中国もロシアも、世界のどの国も戦争などしたくはないだろう。コロナや経済の変動で、どこも国内の対処に必死だからである。

これは石のひとりごとに過ぎないが、中国は、どうにも無茶を感じるので、台湾に侵攻していく可能性はあるかもしれない。その際にアメリカはどう出てくるのか。沖縄基地は最も中国に近い米軍基地なので。沖縄から反撃すれば、沖縄が危ないのではないかなど、様々な論議もある。

しかし、日本をはじめ、アメリカも多くの国も中国とは経済的なつながりが深く、できるだけ戦争は避けたいはずである。

一方、ロシアは、その言い分も理解できなくもあるし、バイデン大統領が期待するように、しばらくはこのまま、外交的な論議が続くかもしれない。とはいえ、これほどの大軍を派遣するには、相当な大金がかかるので、いつまで待つかはわからない。ただの脅しだけで、撤退していくとは考えにくいともいえる。

結局、これまでの世界危機のように、このままで過ぎていくのかもしれない。しかし、ほんの小さな事で、大きな世界戦争になってしまうものである。

事項で述べるが、政治学者イアン・ブレマー氏がいうように、巨大IT企業が情報戦においてなんらかの影響を及ぼすのかもしれない。

世界がこれからどうなっていくのか・・・天地創造の主は全てを知っておられるのか・・とへりくだる思いである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。