FBIの警告に負けないアメリカのユダヤ人たち:人質解放に向けてデモ続く 2025.6.11

Aaron Brooks

アメリカFBIがユダヤ人に対する暴力警告

FBI agents  Washington, DC, on May 21, 2025. (Photo by Alex WROBLEWSKI / AFP)

アメリカでは、ワシントンDCで、在米イスラエル大使館の職員2人が殺害され、続いて、コロラド州ボールダーでの人質の心を向けるラリーに、火炎瓶が投げつけられるという反ユダヤ、反イスラエル暴力事件が相次いだ。

ボールダーでのテロリストは、4月にペンシルベニア州のユダヤ人知事の自宅に放火していたことも明らかになっている。

これを受けて、6月5日(木)、FBI(連邦捜査局)と、アメリカ国内治安局は、ユダヤ人とイスラエル人、そのコミュニティに対する攻撃の危機に対する警戒度を上げると発表した。

ユダヤ人に対する暴力の悪化は、ガザでの戦争が追い風となっている。今アメリカで拡大している不法移民への厳しい対策に対するデモに親パレスチナ活動家が深く関わっていることからも、さらに懸念が深まる。

www.timesofisrael.com/after-attacks-us-feds-warn-of-elevated-threat-to-israeli-and-jewish-communities/

FBI警告の中でもアメリカ各地で親イスラエルラリー

FBIが警告を出す中、アメリカでは、イスラエル人人質の解放を訴える、親イスラエルデモも行われている。

コロラド州ボールダーでは、6月8日(日)、ラリー中に火炎瓶が投げられるという事件からちょうど1週間後に、ユダヤ・フェスティバルが予定されていた。

日本なら警察に中止させられそうな感じだが、ユダヤ人たちはこれを中止せず、逆に、被害にあったグループ、Run for their livesとともに、市内での人質解放を訴えるマーチも行っていた。

人質の解放を訴えるとともに、「私たちはここに居続ける」などとのプラカードを掲げて、市内をマーチした。参加者は、数千人だったという。

www.israelnationalnews.com/news/409662

同じ日、ニューヨークのセントラルパークでも、人質解放を訴える、親イスラエルのラリーが行われ、数百人が参加した。

セントラルパークでは、人質解放のためのラリーが毎週末に行われており、8日にラリーもその一環だったのだが、この週末はいつもより参加者が多かったという。

www.timesofisrael.com/undeterred-by-colorado-attack-several-hundred-rally-for-hostages-in-nyc/

石のひとりごと

イスラエルで人質になっている人は、アメリカにいるユダヤ人と個人的な関係があったとは考えにくい。

しかし、ユダヤ人たちは、ただユダヤ人というだけで、知らない人でも被害にあったら、自分ごとのように感じているのである。

自分とは個人的な関係がないにもかかわらず、かつ、FBIが警告する中にあって、人質になっている人たちを覚えて、町に出る。

そうして、人質解放を訴えるだけでなく、「あなたは一人ではない」とのプラカードも上げるのである。もし人質がガザで、ニュースか何かでこれを見たら、励まされるかもしれないからである。実際に解放された人質の中には、デモでの同胞の様子に励まされたと言っている。

こういう強さと同胞とのつながりは、なんともうらやましい気もする。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。