日本がアジアでパレスチナ国家設立支援の先鋒に 2013.2.15

2月13,14日、日本政府がホストとなり、東アジア諸国を招いて、第一回「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合」(CEAPAD)が、東京で開かれた。

招かれたのは、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポール、韓国、ベトナム、UNRWA(国連パレスチナ難民救済機関)、イスラム開発銀行、アラブ連盟、世界銀行。*今回、中国は招かれていなかった。

会議には、パレスチナ自治政府のファイヤド首相も出席。日本と共同で司会を担当した。

日本のパレスチナ支援額はアメリカ、EUについで世界第3位。アジアにおいて、いよいよパレスチナ国家建設の先頭に立つ方針と思わせる動きである。詳細は以下の通り。

<趣旨(外務省HPより)>

東アジア諸国が、パレスチナの国家建設努力に対する新たな支援や、協力のあり方について協議するための国際会議。

中東・北アフリカ地域の中核的課題である中東和平問題について、「二国家解決」を通じた和平実現を後押しすべく、日本のイニシアチブで設立された。(この会議は継続して行う。2014年はインドネシアにて開催。)

<共同声明 (外務省PDFより)> http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/plo/pdfs/ceapad_gaiyo_03.pdf 

*共同声明では、すでに”パレスチナ国家(State of Palestine)”という名称が使われている。また、イスラエルのネタニヤフ首相も基本的には「二国家解決」を支持しているのだが、以下の声明文とイスラエルとは意見を異にする点も少なくない。

1.中東・北アフリカ地域の安定は,アジアを含む国際社会の平和にとって重要。アラブ・イスラエル対立の解決は同地域の安定にとり中核的課題。

2 関連する国連決議及びアラブ和平イニシアティブに基づく「二国家解決」に向けた環境作りとして,パレスチナの国家建設努力への支援強化の必要性を強調。

パレスチナとイスラエルに対して,直接交渉の早期再開と交渉に悪影響を及ぼし得る行動の自制を要求。

3 現在のパレスチナの深刻な経済・財政状況を憂慮。この状況が「二国家解決」による和平達成の障害要因の一つであることを確認。・・・以下、具体的な支援方針などが述べられている。

この件についてイスラエルでは特に反応はなし。アルーツ7だけが記事としてとりあげていた。

イスラエル存続の黒子たち 2013.2.15

<闇に葬られたモサド・エージェント>

ここ数日イスラエルでは、最も堅固で厳しいといわれるアヤロン刑務所(テルアビブ近郊)で2010年に自殺した”受刑者X”に関するニュースでもちきりである。

Xに関する情報は、国家の治安に関わる重大事項として、イスラエルの最高裁が、報道禁止令を出していたほどの超トップシークレットだった。

そのため、自殺はもとより、その存在まで全く暗闇に葬られた状態だったのだが、今週、Xの出身国であるオーストラリアのメディアが、独自であばいた形である。

情報が流れた12日、イスラエルの最高裁は、そういう受刑者がアヤロン刑務所にいて、2010年に自殺したというところまでは認めたが、それ以上の情報は公開していない。

イスラエルのXの扱いは、人権保護の視点で言えば、明らかに違反となるが、イスラエル政府は「国家の安全を守るためだった」と正当を主張している。なお、ベン・ジギエルにはイスラエル人の妻と幼い子供が2人が残されている。

<知りすぎた男?>

これまでの調べで、受刑者Xは、ベン・アロン(ジギエル)(享年34)。オーストラリア出身のユダヤ人で1994年にイスラエルへ移住。イスラエル軍に従軍後、イスラエル諜報機関モサドのエージェントになっていたということがわかった。

オーストラリアでは、毎年合法的に本名を変更できるため、いろいろな名前で複数のパスポートを作ることができる。また、オーストラリアはいわゆる地球の反対側で大きな犯罪もなく、クリーンなイメージの国。オーストラリア人になりすませば、ユダヤ人でもイランを含むアラブ諸国でもスパイ活動がしやすいということである。

ベン・ジギエルもイスラエルのパスポートと同時にオーストラリアの4つのパスポートを持ち、シリア、イラン、レバノンで諜報活動を行っていた可能性がある。

上記パスポート偽造など、モサドの活動を暴くような情報を漏らそうとしてからではないかと言われているが、本人が死亡しているため、それ以上を知ることはできない。

<イスラエル存続の黒子たち>

モサドなど諜報機関のエージェントたちは、家族をおいて戸籍も全部消して、活動する。そのため、死んでもだれにもわからないままとなる。実は今回のようなケースもめずらしくないという。参照:映画「ミュンヘン」(2005年スピルバーグ作品)

今現在も、内戦が激化をたどるシリアでは化学兵器を監視するイスラエルのスパイが、戦禍の中で活動している。イランでは核開発を錯乱・破壊工作など。また中核の科学者が死亡したが、イスラエルのしわざではないかと言われている。

レバノンでもヒズボラの動きを監視して、本国に情報を流す他、武器保管庫などが原因不明に爆発しているが、これもイスラエルではないかと言われている。

イスラエルがアラブ諸国のただ中で今も存続している影には多くのエージェントたちが、文字通りすべてをすてて、自らの手を汚しつつ仕事をしているという事を知る必要がある。

北朝鮮の3度目核実験 2013.2.12

イランの核開発は、まだウラン濃縮のレベルだが、北朝鮮はすでに核兵器の実験の段階に入っている。12日、北朝鮮は3度目となる地下核実験を実施し、成功したことを世界にむけて表明した。

今回実験したのはは6-7キロトン(広島原爆は20キロトン)の核兵器で、前回のものより破壊力が大きい。実験にともない、付近でマグニチュード5.2の地震が観測された(気象庁データ)。

<世界の事は気にしない!?北朝鮮>

核実験の実施は、北朝鮮が6カ国会議(北朝鮮、米国、ロシア、中国、日本、韓国、)において「核実験を行わない」と約束したことを全く無視した形である。これを受けて国連安全保障理事会は、今日、緊急の会議を開く。

注目されるのは、北朝鮮を擁護してきた中国がどう出るかである。中国は今ちょうど旧正月の祝賀中で、時期的にも最悪。今回の実験は、中国の顔に泥をぬったような形だとBBCは伝えている。

6カ国会議アメリカ代表のクリストファー・ヒル氏は「北朝鮮は世界の意向や、時期などいっさい気にしていない。とにかく自分のやりたいように動く。」と北朝鮮の危険性を警告する。

<イランの方は2月26日>

世界が、北朝鮮に対しどう対処するのか、イランも注目していると思われる。イランの核開発をめぐっては、2月26日、カザフスタンにおいて、P5+1と呼ばれる世界6カ国(アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス、ドイツ)とイランとの直接対話が計画されている。

なお、こうした対話は2012年にも3回行われたが、結果は出ていない。

ローマ法王退位 2013.2.11

11日、現ローマ法王のベネディクト16世が、自らの決断と申し出により、2月28日付けをもって退位することが決まったとの発表が、正式にバチカンから出された。

法王が自ら退位するのは1400年代中世のグレゴリー12世以来で、きわめて異例のこと。カトリック教会によると、今後「法王不在」の期間ができるだけ長引かないよう、3月末までには新しい法王選出の手続きに入る見通しだという。

辞任の理由は、ベネディクト16世本人の発表によれば、「85才という高齢となり、心身共に、法王としての働きを十分に果たせなくなっていることを自覚した」ことがあげられている。

法王の急な退位が、全世界のカトリック教会に大きな影響を及ぼすことは理解しているが、神の前に確信を得た結果だという。ここ最近、カトリック教会では、機密情報の漏洩や、児童の性的虐待などのスキャンダルも発生しており、それら困難な問題を解決するだけの体力がないと判断したのではないかとも言われている。

この件、イスラエルでも速報で報じられた。ユダヤ教チーフラビのメッツェンガー氏は、「ベネディクト16世が、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の宗教間の対話をすすめたこと、イスラエルとカトリックとの距離が、これまで以上に縮まったことは特記すべきだ」とのコメントを出した。

ユダヤ対アラブ:サッカー試合 2013.2.11

イスラエルの人気スポーツはプロ・サッカー。エルサレムのテディー・スタディアムでは、湾岸戦争でスカットミサイルが飛来していたときにもサッカーの試合が予定通り行われたほどだ。

イスラエルにあるプロのサッカーチームはエルサレムの「ベイタール」、テルアビブの「マカビー・テルアビブ」、ハイファの「ハポエル・ハイファ」など町ごとにチームがいる。アラブ人だけのチームもあり「ブネイ・サクニン」という。

<ユダヤ人のチームにアラブ人(イスラム)はいらない!?>

このうち、エルサレムのベイタールには、「反イスラム、反アラブ」を叫ぶ国粋主義的なファンクラブがあることで知られる。また、ベイタールは伝統的にリクード党(ネタニヤフ首相の党)とも関係が深い。

そのベイタールが2週間前、チェチェン出身のアラブ人(イスラム教徒)2人を選手として採用することを発表。

すると、「ユダヤのベイタールにアラブ(イスラム教徒)が入るべきではない。」と激怒したファンクラブが8日、ベイタールのオフィスに放火するという事件が発生した。

ネタニヤフ首相は9日、自分もベイタールのファンであることを示した上で、「暴力や人種差別、ボイコットは受け入れられない。」と放火を強く非難する声明を出した。

しかし、ベイタールの一般のファンへのインタビューをみても、「アラブ人はテロリストだ」というなど、潜在的にアラブ人嫌いがあることは否定できないようである。

<エルサレムで「ベイタール」VSアラブチーム「ブネイ・サクニン」の試合>

放火からわずか2日後、ネタニヤフ首相の声明の翌日にあたる10日、エルサレムでベイタールとアラブ人チームのブネイ・サクニンの試合が行われた。ベイタールには問題のチェチェン出身の選手のうち1人も出場していた。

エルサレムとベイタールの「人種差別」のイメージ回復のため、この試合にはイスラエルの文化スポーツ大臣、エルサレム市長、チェチェン市長も参加。計700人の警察、治安部隊がスタジアムの内外を警備した。

上記ファンクラブのメンバーは入場禁止となった。75人が試合中に退場となり、15人が逮捕されたが、このうち9人はアラブ人で6人はベイタール関係者だった。

試合中は、「ベイタールは永遠にピュア」「アラブに死を!」というようなスローガンはなくなり、「暴力と人種差別?我々と関係ない。」「エルサレムは寛大」などという文字が出された。

なお試合の結果は2:2のひきわけ。

イランとヒズボラの動き 2013.2.11

ワシントン・ポストによると、アサド大統領が没落した場合に備え、イランとヒズボラが、シリア国内に5万人規模の武装組織を準備中であるという(オバマ政権関係者談)。

イランにとってシリアは、地域での戦略上、失い得ない場所である。できるだけアサド大統領が持ちこたえられるように支援するとともに、万が一、アサド政権没落後も支配力を維持するのがねらいと見られる。

<ヒズボラが南レバノンを戦争地帯として整備中か>

Yネットニュースによると、ヒズボラは、イスラエルとの国境に近い南レバノン地帯に、地雷を埋めたり、ミサイルなどの武器を一般レバノン人家庭に移動させているという。

貧しいシーア派イスラム教徒の家庭に対し、安い家賃で家を貸すか売る代わりに、一つ以上のロケット弾発射の基盤を家の中に据えさせているというもの。すでに180軒ほどが武器の設置された家屋になっていると報告している。

フランス軍介入のマリでイスラム武装勢力との闘争激化 2013.2.11

先にフランス軍が介入してイスラム勢力を追放した西アフリカのマリ北部ガオだが、自爆テロをきっかけに、イスラム側が盛り返して、10日本格的な銃撃戦となっているもよう。

*ガオには、アルジェリア人質事件の主犯ベルムフタルの家があった。そこにフランス人など18人の人質が集められていたという。アルジェリアからの人質もそこへ連行するつもりだったと見られる。

オバマ大統領のイスラエル訪問決定 2013.2.7

オバマ大統領が、3月中旬ごろイスラエルを訪問するとの予定が発表された。パレスチナ自治政府、ヨルダンも訪問する予定で、準備が始まっている。これに先立ち、2月には、就任したばかりのケリー国務長官がまずイスラエルとエジプトを訪問する。

今回は、オバマ政権発足早々の中東訪問となり、アメリカとイスラエルの関係強化を示すと同時に、シリア、イラン問題と重要課題が山積みの中東に、アメリカの存在を印象づけるねらいがあると思われる。

<失敗に学ぶ!?オバマ大統領>

オバマ大統領は前期4年の間、一度もイスラエルを訪問しなかった。逆に就任早々カイロで演説し、イスラム社会への理解・対話による接近を試みた。ところが結果と言えば、アラブの春で民主化は後退、イスラム主義が台頭、反米思想に拍車がかかるという逆の事態となってしまった。

いわば、イスラム社会にアメリカがふられた・・というところで、アメリカの中東での権威は大きく失墜したといえる。
今回のイスラエル訪問で、本来のアメリカの役割を回復し、中東和平に貢献する立場にもどれるかどうか注目される。

<サウジアラビアにアメリカのドローン(無人戦闘機)の拠点>

湾岸戦争後、サウジアラビアに駐留していたアメリカ軍は撤退したが、その後CIA(アメリカ中央情報局)が、極秘にドローンの拠点を維持していた事が明らかとなった。

これはサウジアラビアに拠点を置くアルカイダの動向を監視し、必要なら攻撃も可能にするためである。西アフリカでは、フランス軍が、マリでアルカイダ系イスラム武装勢力100人を殺害したとの情報もあり、欧米とイスラム社会の対立はますます深まる傾向にある。

チュニジアでもイスラム勢力と衝突 2013.2.7

アラブの春の発端となったチュニジア(アルジェリアとリビアの間の国)。その後の選挙で、イスラム主義・ムスリム同胞団を基盤とする政党アンナハダが最大議席数を持つ制憲議会が立ち上がり、憲法制定に向けて準備中だった。

ところが6日、世俗派の野党政党・党首のベルイード氏が自宅前で暗殺された。ベルイード氏がアンナハダを批判していたことから、犯行がムスリム同胞団と関連しているとの疑いが広がった。

これに怒った群衆が全国各地で,反政府デモ活動をはじめ、首都チュニスでは警察と暴力的な衝突で死者も出た。

チュニジアのジェバリ首相は、暗殺を非難すると同時に、現在の制憲議会を解散・早期に選挙を行うと発表した。

ブルガリア政府・ヒズボラ(イラン)の犯行認める 2013.2.7

昨年7月にブルガリアで発生した自爆テロでイスラエル人5人を含む7人(犯人含む)が死亡した事件。ブルガリア政府は5日、犯行は、イランの指示を受けたヒズボラによるものであったとの調査結果を正式に発表した。

アメリカは、現在EU(ヨーロッパ連合)に対し、ヒズボラをテロ組織に認定するよう圧力をかけているが、フランスとドイツが反対していた。ブルガリア政府の発表が、この懸案にどう影響するか注目される。

なお、イスラエルは、ブルガリア政府の発表を歓迎するとのコメントを出している。

7年間の干ばつ水不足終了宣言 2013.2.4

ここ7年ほどイスラエルでは雨が少なく、ガリラヤ湖の水位が下がって塩水が流れ込むとの懸念もあった。しかし今年に入ってからの大雨で、水位は回復。イスラエルの水道局が、7年つづいた干ばつと水不足が終了したと宣言した。

イスラエル連立交渉本格始動 2013.2.4

2日、ペレス大統領が正式にネタニヤフ首相を次期首相と認め、連立形成にむけた交渉を委任。本格的な交渉が始まった。

注目は獲得票2位の「未来がある党」のラピード党首をどう扱うか。社会及び政治体制の構造改革を求める市民の幅広い支持を受けているため強気である。連立加入にむけて、かなり多くの条件を提示しており、ネタニヤフ首相には頭の痛い相手。

もう一つの焦点は、「ユダヤの家党(極右)」また「宗教政党シャス」を入れる(入る)のかどうか。ユダヤ教正統派の青年も徴兵する法案がどうなるかを左右する重要ポイントである。

なお、「ユダヤの家党」は日曜日を休日にする案を連立条件に含めるもよう。土曜は安息日で商業施設が閉まっているが、日曜が休みになれば、市民はショッピングや映画を家族で楽しむことができるというもの。

<新議員初登庁>

3日、新国会メンバー120人が初登庁した。今回は新顔が49人に上り、喜びの議員1日目となった。