明日、第3回エルサレムマラソン 2013.2.28

明日3月1日、エルサレムでは市内全域を使った国際マラソン大会が行われる。朝から、ほぼ全市内が通行止めとなり、1万人以上が3つのレベル(42キロフルマラソン、ハーフマラソン、10Km)で走る。

問題は、マラソン・コースの一部が、パレスチナの首都だと主張する東エルサレムを含んでいることである。PLO(パレスチナ自治政府の母体)は、イスラエルの違反だとして、このマラソンへの参加やスポンサーをボイコットするよう、呼びかけている。

ハマスはアディダスのTシャツを燃やして、同社にボイコットを要請したという。

<西岸地区情勢>

イスラエル軍との衝突が続いている西岸地区だが、昨日から大きな衝突は報告されていない。

今回、暴徒の原因の一つとなったのが、パレスチナ人の囚人がイスラエルの拷問によって死亡したといわれる一件である。アッバス議長は、国連に事実を調査するよう要請した。

イスラエルは、パレスチナ人病理学者らの立ち会いの下で解剖を行っており、その結果を提出する方向である。

イスラエル軍では、今後も衝突が起こることを想定して、実弾を使わない対暴徒対策の訓練を行っている。催涙弾の他、スカンク弾(悪臭を放つ)や、耳に不快な音を出す非殺傷的な武器が使われることになる。

笑ったのはイラン?-世界6カ国とイランの核交渉 2013.2.28

26日から2日間にわたってカザフスタンで行われたイランと世界6カ国(アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、ドイツ)の核交渉が、27日、終了した。

6カ国がこれまでイランに要求してきたのは、①ウラン20%濃縮の停止 ②既存する20%のウランを海外へ出す ③20%の濃縮を行っているファルドーの核施設を閉鎖する、の3点。

これらを実施すれば、イランがウランの濃縮を完全停止したことが立証され、核兵器開発も放棄したと判断できる。これらが実施されれば、経済制裁を緩和すると提示していた。

ところが、今回の会議に置いて6カ国は、③のファルドーの核施設完全閉鎖に関して妥協した交渉を行ったことが報じられた。つまり、完全閉鎖はしなくてもよいが、これ以上の濃縮をしてはいけないという形である。

これはつまり、20%のウランを一定量、イランが保持することを認めたことになる。イランはこれに対し、前向きな結果となったと評価している。

<妥協の目的>

イランの核開発は、イスラエルを攻撃することが主要目的ではない。イランの関心は権力にあるといわれる。核兵器を保持していれば、強国として、イスラエルや欧米から攻撃されることもないと考えている。

そのため、イランに核開発を停止させることが不可能に近い。今回の妥協は、こうしたイランのメンツをたてたものと分析されている。

今後の予定は、来月6カ国とイランの技術者レベルの協議が行われ、4月に再び今回のような高官による協議が予定されている。

<軍事制裁しかない-ネタニヤフ首相>

6カ国会議が終了した後、イスラエルのネタニヤフ首相は、「軍事制裁しかイランを止めることはできない。」との認識を語った。

シリアからゴラン高原に迫撃砲着弾 2013.2.28

27日、ゴラン高原のイスラエル側に、シリアから対戦者砲が一発、不発で着弾した。広い野原であったため負傷者や物損もなし。流れ弾とみられている。

<シリアの友達会議:ケリー米国務長官、シリア問題に乗り出す>

新しく就任したアメリかのケリー国務長官が、シリア問題解決に向けて動き出している。26日、ロシアのラブロフ外相と会談。シリア問題の平和的解決に向けて努力することで一致したと発表した。

今日からは、ローマでの「シリアの友達会議」で今後の方針を協議する。会議にはシリア連合代表も出席する予定である。

ケリー国務長官は、シリア問題は政治的に解決することが重要だとし、今後アメリカ政府は、反政府勢力を支援するという旗印を明らかにして、アサド政権に①対話か②失脚か、道は一つしかないとのメッセージを送るとの方針を語った。

ただし、反政府勢力への支援に武器は含まず、ジープやトラック、レーダーなどの機材と訓練を提供するということである。反政府勢力が欧米に求めているのは、武器や軍事介入であるため、この方針がどのように受けとめられるかは不明である。

なおシリアの犠牲者は7万人を超え、周辺諸国への難民は100万人に至る勢いである。難民の3分の2は、女性と子供たちで、ほとんどが家族やすべてを失っているという。

(速報)ガザからロケット弾着弾 2013.2.26

26日朝(日本時間26日午後)ガザからカッサム・ロケット一発が、アシュケロン郊外に着弾した。着弾したのは工業地帯の道路で、物損はあったものの、負傷ははなし。ガザからの攻撃は11月の停戦以来、3ヶ月ぶり。

Yネットニュースによると、ガザのハマスではなく、ファタハ(アッバス議長所属)のアルアクサ殉教団が犯行声明を出したとのこと。目的は、昨日25日ヘブロンで行われたジャラダトの死に敬意を表するために行ったと語っている。

続報・西岸地区情勢 2013.2.26

<ヘブロンの様子>

昨日ヘブロンにおいて、メギドの刑務所で死亡したパレスチナ人アラファト・ジャラダト(39)の葬儀が行われ、数千人が参列した。群衆はイスラエルへの報復を叫んだが、イスラエル軍との大きな紛争はなかった。プリムでにぎわう嘆きの壁の上に位置する神殿の丘も無事だった。

<ベツレヘムで少年2人負傷>

しかしベツレヘムでは、石投げをするパレスチナ人にイスラエル軍が実弾も使ったため、13-15才の少年2人が負傷した。うち1人は頭部外傷で重傷となっている。少年二人は現在、エルサレムのハダッサヘブライ大学病院(イスラエルの病院)で治療を受けている。

少年の家族らは、「息子はデモには加わっていなかった。息子はイスラエル軍に狙われたのだ。」と主張している。しかし、石投げをしているのは10-20代の若者がほとんど。負傷した少年らがその場にいながらデモに加わっていなかったとは言い難い状況である。

もしこの少年たちが死亡するようなことになれば、再び暴力に火がつくと懸念される。パレスチナの若者たちをおぼえてとりなしが必要である。

オバマ大統領の訪問日程 3月20-22日 2013.2.26

オバマ大統領のイスラエル訪問日程が、イスラエル政府プレスオフィスより発表された。来月20-22日。今回の訪問の目的は”Unbreakable Alliance(切れない同盟関係)”。

イスラエル・パレスチナを交渉のテーブルに戻すねらいもあると言われる。オバマ大統領は、エルサレムを拠点に、パレスチナ自治政府、ヨルダンも訪問する予定である。

しかし皮肉にも、オバマ大統領の訪問目的とは逆に、現在、西岸地区でパレスチナ人とイスラエル軍が衝突し、第三インティファーダの可能性すらある。アメリカ政府は双方に対し、すみやかな事態の収束を要請しているもようである。

国際社会対イラン:核対話始まる 2013.2.26

26日から、カザフスタンで、3回目となるP5+1(アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、ロシア、ドイツ)とイランが核問題で対話を行っている。国際社会は、もしイランが実質的にウランの濃縮を停止する手段を提示するなら、経済制裁を緩和すると言っている。

しかし、イランは会議に先立ち、最新の遠心分離器を導入したり、16基の新しい核施設を増設するなど、聞く耳まったく持たず状態である。

<シリア問題でも外向的努力>

新しく就任したアメリかのケリー国務長官は、イラン問題に加えてシリア問題でもまだ外交的解決の希望があるとして、改めて「アメリカは反政府勢力を支援する。」と述べた。

これを受けて、いったんは国際会議「シリアの友達会議」に欠席すると言っていたシリア連合は、気を変えて出席すると発表した。

イスラエル地対空迎撃ミサイル(アロー3)実験成功 2013.2.26

26日、イスラエルは、アロー2、アイアンドーム、ダビデの石投げ(長距離迎撃ミサイル)などに続いてさらに性能を伸ばすアロー3の飛行実験を行い、成功を収めた。

ネタニヤフ首相は、「イスラエルは常に平和的解決を求めているが、そうでない場合にも備えなければならない。」と語った。

今日、ヘブロン警戒態勢(日本時間今夜) 2013.2.25

先週からパレスチナ人の囚人らがイスラエルの刑務所でハンガーストを行って問題となっているが、23日土曜、メギドの刑務所でアラファト・ジャラダト(39)が突然の心停止で死亡した。

翌24日、ジャラダトの死因は、イスラエルの拷問だと主張するパレスチナ人らが、西岸地区各地でイスラエル軍に投石したり火炎瓶を投げるなどして衝突、負傷者も出て緊張が高まっている。

さらに本日、ジャラダトの葬儀が出身地ヘブロンで行われるため、再び暴動になる可能性が高いとみて、イスラエル軍はヘブロンはじめ西岸地区各地で高い警戒態勢に入っている。

<遺体の解剖検査>

ジャラダトは先週、暴動に参加していたことで逮捕されていた。その後の取り調べが拷問的であったかどうかが焦点となる。逮捕前のジャラダトは健康そのものだったと家族は言っている。

パレスチナ自治政府は、ジャラダトの死因解明のための解剖検査を要求。昨日、家族、パレスチナ人病理学者、自治政府法律関係者らの立ち会いのもと、遺体の解剖が行われた。

結果、遺体に外傷はなく、拷問の形跡はみられなかったとイスラエル政府は発表している。しかし、死因となる病的所見もなかったため、パレスチナ自治政府は死因は拷問だと主張し続けている。

<パレスチナ囚人のハンガースト>

昨日、ジャラダトの死に抗議して、全国でさらに4500人が同時ハンガーストに入っているという。(ただし最低48時間断食しないとハンガーストとは認められない)イスラエル政府は、パレスチナ自治政府に対し、こうした動きを収束させるよう要請している。

プリム:エステル記を読む日 2013.2.24

エルサレムでは24日日没より、25日の日没までプリムの例祭となる。祭日ではないが、学校は休み。シナゴグでは、エステル記を朗読し、イスラエルの敵「ハマン」という名が出るたびに、騒音を出す楽しい例祭である。

この例祭では、大人も子供も仮装して町に出る。パーティの日でもある。いろいろなイベントも催されるが、あいにく天気は悪いとの予想。

<エルサレムの講壇から>

23日、エルサレム・アッセンブリーでもプリムを覚える礼拝。メノー牧師より、「主がイスラエルを選んだと言われた瞬間から、イスラエルはサタンの抹殺の対象となった。確かに、諸国の中で、イスラエルだけが常に抹殺の危機におかれている。

しかし、その試みはいつも失敗し、そのたびにイスラエルには例祭が与えられた。エジプトのパロが来たときは過ぎ越し。ハマンが来たときはプリム。ヒトラーが来たときは、独立記念日。次、アフマディネジャド(イラン)が来たら、どんな祭りになるというのだろうか。もう祭りは必要ないと思うが。」と語った。

エステル記8:17日本語では、民がユダヤ人を恐れるようになったので、「ユダヤ人であることを宣言した。」と訳してあるが、原語では「ユダヤ人になった」または、「イスラエル(の神、または信仰)を信じるものになった」という意味。

「主のゆえに、イスラエルには逆らってはならないと歴史は語っている。しかし世界はそれを学ばない」とメノー牧師。自分の理解だけに頼み、主の前にへりくだらないことの危険性を語った。

イラン核施設増やして物議を醸す 2013.2.24

イスラエルと世界の懸念をよそに、高速度のウラン遠心分離器を導入しているイランだが、今日あらたに16基の新しい核施設を立ち上げる計画を発表。

同時にイラン革命軍の訓練を始めるなど、26日の世界との核会議の前に、いろいろと物議を醸すイランである。

神殿の丘、西岸地区各地、ナザレでもデモ・暴動 2013.2.24

エルサレムの新市街はプリムで平和にお楽しみムードだが、旧市街では22日金曜、イスラムの礼拝後、神殿の丘でパレスチナ人と警察が衝突した。石投げをするパレスチナ人に対し、イスラエル警察は、催涙弾などで対処した。

22日はヘブロンなど西岸地区各地でも同様の様相。23日、イスラエル国内のナザレでもアラブ人たちがデモを行った。
また23日には、西岸地区のユダヤ人入植者とパレスチナ人が衝突し、イスラエル軍が実弾を使ったため、パレスチナ人3人が負傷。1人は重傷となっている。

<衝突の発端>

デモの訴えは、イスラエルの刑務所にいるハンガースト中のパレスチナ人の解放である。ハンガースト中のパレスチナ人2人は昨日、病院に搬入されている。なお、これらのパレスチナ人は、テロ行為で刑務所にいるのだが、パレスチナ人の概念ではそれはテロではなく、民族解放運動なので、刑務所に入るのはおかしいというわけである。

<兵士を覚える祈り>

西岸地区にいるイスラエルの若い兵士たちを覚えてほしい。彼らは志願ではなく徴兵された普通の若者である。近距離で憎しみにみちたパレスチナ人の顔を見、石を投げられる。こうした拒絶の経験から、自殺する兵士もいる。身の危険だけでなく、心理的な打撃は予想以上である。