ニュースとは関係ないが、遅ればせながら、イエス役のジム・カビーセル氏がイエスを信じるユダヤ人だったということを発見。イエス役を通して、カビーセル氏自身、多くを学び経験したという。
映画の場面も含めた数分のインタビュー、必見!
www.youtube.com/watch?v=3f8FpwKPmcc&feature=youtube_gdata_player (英語)
ニュースとは関係ないが、遅ればせながら、イエス役のジム・カビーセル氏がイエスを信じるユダヤ人だったということを発見。イエス役を通して、カビーセル氏自身、多くを学び経験したという。
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12日金曜は、ラマダン最初の礼拝日だった。エルサレムはイスラムにとっても聖地。そのため神殿の丘での礼拝に参加するため、のべ100万人とも言われるイスラム教徒が、東エルサレム、西岸地区だけでなく、ヨルダンやレバノンなどからもやってきた。
この日はイスラム以外の者は神殿の丘へは入れないため、オリーブ山に上って午後12時から始まる神殿の丘での祈りを撮影。神殿の丘は文字通り、人々で埋めつくされ、祈りの声とともにいっせいに立ったりひれ伏したり。1時間ほどで終わるとゆっくりぞろぞろと出ていくのが見えた。
オリーブ山から降りてライオン門から神殿の丘に面するイスラム地区へ入ったが、神殿の丘から出てくるあまりの群衆でそこからダマスカス門に出るまで1時間半以上かかった(通常は早足なら15分)。
ライオン門を入ると、直ぐに神殿の丘への出入り口がある。出口から通りまでのいわば仲見世通りには、ラマダン用のパンの他、コップや皿、なぜか掃除用具などの出店が待っており、活発に買い物が繰り広げられていた。
特にラマダンでは子供たちにおもちゃが買い与えられるらしく、カラフルなお人形やぬいぐるみ、男の子用には水鉄砲やおおげさに大きくパッケージされたゲームなど。
孫とおもわしき5才くらいの男の子がほしがる大きなおもちゃを買うため、にこにこと財布出すおじいちゃん、小さな娘のほしがるおままごとセットを、じっくり検証した結果、買うことにしたお父さんなど、かわいらしい光景があった。ちょうど大晦日で除夜の鐘を聞いて明治神宮や住吉神社(大阪)などから出てくる群衆を想像してもらえばよい。
神殿の丘への入り口は多数あるが、その角すべてにイスラエル兵が5-6人単位、場所によっては10人ほどで立っていた。皆、暴徒に対処するフル装備である。じわじわとしか動かない群衆に交じってヘブル語で「早よいけ。」といいながらパトロールする兵士もいた。
かんかん照りで暑いのでテントの下に兵士が立っているところもあったが、その同じテントの下でパレスチナの民族衣装のおばちゃんたちも休憩。はぐれた家族を待っている様子だった。
ダマスカス門周辺では、兵士や警察の他、水砲を放つ対群衆車の他、イスラエル、パレスチナ双方の救急車が待機していた。もののもしさもあったが、けわしい顔のアラブ人たち、働く子供たち、商売の活気にあふれた声と群衆の中で、一つの絵としてしっかり収まっている感じだった。
パレスチナ人数人にインタビューしたが、ラマラやアナタなど西岸地区から来ていたらしく「今はラマダンだからエルサレムに来れるが、いつもは来ることができない。」と口をそろえるようにして同じ不満を訴えていた。
・・が、今日は、いさかいや衝突もなく、パレスチナ人もイスラエル兵も皆笑顔で過ごせたことに感謝だった。
*これを書いているのは、翌朝4時頃のエルサレム南部の・東タルピヨットだが、周辺のアラブ人村から聞こえる祈りのアザーンがいつもより大きく響いている。この祈りのあと、アラブ人たちは食事をしているはずである。
<シリア情勢:反政府勢力内でついに仲間割れ本格化>
シリアでは、アルカイダ系のイスラム過激派が、自由シリア軍(主要反政府勢力)のトップ軍司令官の1人を殺害。これで反政府勢力は、アサド政権、レバノンのヒズボラに加えて、アルカイダとも戦う雲行きとなってきた。
反政府勢力に武器を供与する方針だったアメリカだが、議会は保留にすることを検討中。
先週5日、シリアの軍港ラタキス付近で大爆発があったが、ヒズボラに搬送されようとした対艦ミサイル(射程300キロ)を、イスラエル空軍が爆破したようだとアメリカの情報筋が発表。イスラエルはコメントを控えている。
<エジプト情勢:ガザ地区にエジプト軍ヘリコプター>
エジプトではムスリム同胞団が、金曜礼拝の後に100万人規模のデモ。対抗でもも100万人で、カイロは200万人デモとなった。気になるシナイ半島情勢だが、ガザとの国境でほぼ毎日、紛争があるという。金曜には、エジプト軍のヘリがガザ上空に飛来した。
ガザ地区のハマスは非常に困難な立場にある。エジプトとの国境は閉鎖、地下トンネルも破壊され、文字通り窒息状態である。ガザからエジプト軍と戦おうとして、シナイ半島に入り込んだ30人以上が殺害されたとの情報もある。(ハマスは否定)
エジプト情勢では、どちらの側の言い分も一理あり、どちらにも問題があるということはエジプト人自身が言っていることである。しかし、ムルシ大統領の身柄を拘束し、ムスリム同胞団デモ隊を50人以上殺害し、さらに同胞団宗教指導者も逮捕する、そのような事の上に民主主義国家は成り立たない。アメリカは、緊張を解くために、ムルシ大統領を解放するように要請をだした。
<イランに新しい核施設?>
イランの反体制派メディアが、イランがテヘランの近くに新しい地下核施設を建設中との情報を出した。イラン外務省は、否定したが、イスラエルはこうした動きに注目している。
イランのロウハニ大統領は、インターネットを解禁する案を出すなど、穏健路線だが、核開発については、継続を主張している。
イスラエルでは、働かず、兵役にもつかず、かつ国の生活保護を受けているユダヤ教超正統派の人数が増えすぎて、国の経済がたちゆかなくなってきている。先週、閣議で、負担平等案(正統派も兵役につくルールなど)が可決された。
その2日後軍服のままメアシャリーム(エルサレムの正統派居住区)の親戚を訪問したユダヤ教正統派兵士が、正統派数十人にに囲まれ、ごみなどを投げつけられた。(親戚の)事務所で私服に着替えたが、超正統派グループは事務所前で「裏切り者」などと叫びつづけたため、警察に助けを求めた。
救出に来た警官隊に正統派グループが金属棒や石、バケツなどをなげつけたため、一時乱闘騒ぎとなった。正統派2人(20代)が逮捕。禁固3年の可能性がある。
超正統派で兵役に応じている者に対する嫌がらせがここ数ヶ月エスカレートしきている。「出て行け」と言われて石を投げつけられたり、家にらくがき、洗濯していた軍服を盗まれるなどの事件が相次いでいる。いやがらせの多くは子供たちがするのだが、大人はだまってみているという。
こうしたユダヤ教超正統派の”熱心党”とエジプトのムスリム同胞団と比べるコメントも登場している。
イスラエルでもイスラム教の断食月「ラマダン」が始まった。イスラム教徒は、7月10日から8月10日まで(最後3日は特別な例祭)の33日間、朝、夜明け前に食事をすませた後、日没までは食事も水も飲まないという完全日中断食を行う。
今年は、過去33年の中で日が最も長いとされ、断食時間は1日16時間に上る。日中はかんかん照りの中東で、水も飲まないとはかなり厳しい。
しかし、日没後は、食べてもいいわけだから、家族親族が集まってごちそうを楽しむ。旧市街のイスラム地区は電飾で飾られる。断食とはいえ、ラマダンは日本でいえば、お正月に匹敵するほどイスラム教徒にとっては重要で、楽しみな例祭である。
ラマダンに備えて、国際ユダヤ・クリスチャン・フェローシップは、貧しいアラブ人家庭に3300食分(約3270万円分)の食料クーポンを、69のコミュニティに配布した。
<墓場で始まるエルサレムのラマダン>
エルサレムでは、儀式的に断食の終わりと始まりを告げる”大砲”が1日に2回、放たれる。・・といっても本物ではなく、大きな音のする打ち上げ花火のようなもの。この習慣は120年前、トルコ時代からはじまった。
ラマダン初日の10日は、その断食明けを知らせる大砲のスイッチを、エルサレムのバルカット市長が入れるという短いイベントがあった。市長は「ラマダン・カリーン(楽な断食を)!」とエルサレムと世界のイスラム教徒にあいさつを送った。
しかし、問題はその場所。旧市街のすぐ北にあるイスラム教徒専用の墓地の中で、大砲が打ち鳴らされるのである。昨日は、バルカット市長が来るのでメディアにオープンとなり入ることができたが、息がつまるかと思うほどに悪霊の圧迫があった。
しかもその墓場。ちょうど、イエスの復活の場所ともいわれる「園の墓」の真上である。観光で訪れるクリスチャンたちが「どくろにみえる」と言って写真をとる岩のまともに真上だった。
<緊張の1ヶ月・治安の確保>
ラマダン期間中は、イスラム教徒が一斉にエルサレムの神殿の丘での礼拝にやってくる。また、普段は西岸地区とイスラエルと離れている親族も再開することを希望する。
そのため、ラマダン期間中、イスラエルは特別に、パレスチナ人がエルサレムやイスラエルへ入ることを許可している。今年は寛大に門戸を開いたため、100万人規模でイスラム教徒のパレスチナ人がイスラエルに入ってくるという。ちなみに昨年は約85万人のパレスチナ人がイスラエル領内に入っている。
寛大とはいえ、①60才以上は無制限にエルサレム入りを許可、②金曜の神殿の丘礼拝には女性と40才以上の男性は無制限に入場を許可、③家族親族への面会希望者には特別許可証を出す・・などで、問題をおこしそうな若いイスラム男性にはエルサレム入りは赦されていない。
ラマダンでは、宗教的に高揚したパレスチナ人とイスラエル軍や治安部隊が衝突する可能性が高くなる。治安部隊は、パレスチナ自治政府警察とも連携をとりながら、治安の確保に万全の準備を行っている。
昨夜、旧市街イスラム地区に行ったが、約20-30メートルおきぐらいに数人のイスラエル兵が立っており、5分おきくらいにパトロールのイスラエル兵や警官にでくわした。
<混乱のエジプトもラマダン入り>
混乱しているエジプトでもラマダンが始まっている。デモで広場に集まっているムスリム同胞団支持者も、きびしい暑さの中、日中断食を行っている。昨日、暫定政権は、支持者らに立ち上がって戦うようあおっていたムスリム同胞団の指導者を逮捕した。エジプトはまだまだおちつく気配がない。
削減予算をすすめているイスラエル政府だが、国防費を、むこう5年で約70億シェケルを節約する削減案が論議されている。内容は空軍の飛行中隊や、戦車の数、陸軍兵(職業軍人)の数も大幅に減らすという。
イスラエル軍によると、30億シェケルの削減で、すでにイスラエルの防衛に大きな影響をもたらすと予測される。
この削減案がメディアに流れた翌日、諜報機関筋が、サウジアラビアに、テルアビブをねらう弾道ミサイルが配置されているとの発表があった。このミサイルはイスラエルとイラン双方を攻撃する能力があるという。
国防費削減をめざすイスラエルの隣で、サウジアラビアはミサイル基地を作り、軍事力を高めているということである。
今朝レバノンの首都でヒズボラの拠点があるベイルートのショッピングセンターで大爆発があった。遠くからもみえるほどの黒煙があがっている様子が報じられている。まだ詳細は明らかになっていないが、少なくとも38人が負傷している。
ヒズボラ運営のアルマナール放送によると、車爆弾が原因とのことだが、まだ公式発表ではない。
シーア派のヒズボラがシリアのアサド政権を公に加勢し始めてから、シリアの内戦が激化している。そのため、スンニ派のシリア反政府勢力がヒズボラを憎み、レバノン国内のヒズボラ施設への攻撃を始めている。今回もシリアのスンニ派によるものではないかとの見方が有力である。
しかし、Yネットによると、ヒズボラから「イスラエルがやった。」との発言もあるという。これはレバノン市民への反ヒズボラ感情を避ける目的であったと思われる。
爆発があったショッピングセンターでは今日からのイスラム教ラマダン(断食月)に合わせて大勢の人々が買い物に来ていた。*断食といっても日没から夜明けまでは食べているため
6月30日に始まったエジプトでの政変。昨日午前、ムルシ大統領が拘束されているエジプト軍本部前に集結し、座り込みデモを行っていたムスリム同胞団(以後MBと省略)とエジプト軍が衝突。MBのデモ隊が少なくとも51人死亡した。
エジプト軍によると、今回は先にMBの1人が実弾で攻撃してきたことに対する反撃だったと主張している。実際に物陰から軍に向かって実弾で射撃する人物の様子がネットでも公開されている。
しかしMBは、「軍はエジプトをシリアのようにしようとしている。シジ将軍(エジプト軍総長)はアラーの敵だ」として激しく反発。アラーに祈りながら、徹底交戦を宣言、MB支持者らに、立ち上がって戦うよう呼びかけている。今日は、軍に殺害された者たちの葬儀があるため、カイロ市内は緊張している。
<暫定政権のこれからのタイムテーブル>
新しい政府設立に時間がかかればかかるほど、衝突は泥沼化していく。国民に早く将来の道筋をしめさなければならない。暫定政権のマンスール氏は、この衝突の直後、これからのタイムテーブルを国民に発表した。
それによると、まずは15日以内に、現在停止となった憲法の修正を検討する委員会を立ち上げる。新しい憲法の草案をまとめて4ヶ月以内に国民投票を行う。
新しい憲法に基づき、2014年早期に議会選挙を実施。議会が完成すれば、大統領選挙を行う。
MBはもちろんこれに反発し、受け入れる様子はない。
<イスラエルはどう見ているのか>
1.シナイ半島の治安が最重要事項
イスラエルは、エジプトとシナイ半島を介して南部で国境を接している。万が一に備えて南部の警戒を続けているが、シナイ半島が混乱しない限り、イスラエルに大きな影響はない。
そのシナイ半島には、先週から本格的にエジプト軍が駐留して警戒している。ここ数日、ガザとシナイ半島国境、北部の町で衝突が起こっているが、この地域は前から無法状態になっていたため、これらの衝突が今回のカイロでの政変と関係があるかどうかは不明である。
チャンネル2の防衛関係解説者のロニ・ダニエル氏によると、エジプト軍は、だれが大統領になろうが、独自でかなりの権力を維持している。そのため、イスラエルとしてはエジプト軍との関係を良好に保ち、シナイ半島が平穏なら、それ以上、口出ししないのが得策だと語った。
しかし、アメリカが、今回のクーデターを受けてエジプト軍への年間13億ドルに及ぶ軍事支援を保留するといっている件については、イスラエルは、エジプトへの軍事支援を続けるように訴えている。エジプト軍が弱体化すれば、混乱がシナイ半島からイスラエルにも広がる可能性につながっていくからである。
2.MBではなく民間人による政権のほうが好ましい
今回のエジプトでイスラム主義独裁的政権がエジプト市民に拒絶されたことについて、ダニエル氏は、トルコでイスラム主義独裁的政権になりかかっているエルドアン首相に市民が反発していることとも合わせて、「基本的に人間はイスラム主義独裁を受け入れない。」という事を現していると語った。
こうした流れはイスラエルには好ましい流れだとダニエル氏は言う。
ただし、「今の民間人による暫定政権がエジプトを支配するようになれば、急にイスラエルとの関係が改善していくと言っているのではない。しかしどちらかといえば、MBではなく、民間人による世俗な今の暫定政権が残る方が、イスラエルには対処しやすいということだ」と語った。
<エジプト経済の懸念>
2011年からの政変で、エジプトの経済は落ちる一方である。しかし、エジプト経済が回復するかどうかはイスラエルの治安に関わってくる問題である。イスラエルとエジプトが和平条約を結んだ時のエジプト人口は3200万人だった。ところが今は8300万人である。
その8300万人が、1億人になるのはそう遠い未来ではない。このまま政府が混乱し続け、経済が回復しなければ、1億人が飢えて、イスラエルへなだれ込んでくる可能性もあるという。エジプトに、民主国家が立ち上がり、経済を回復することは、イスラエルの問題でもあるいということである。
<混乱のカイロ市内>
エジプトで先週、カイロを中心としてエジプト全土で、イスラム主義政権に反対する世俗派市民100万人規模によるデモが発生。軍によってムルシ大統領の身柄が拘束され、既存する憲法も破棄された事件。
その後、軍の指名によって、文民裁判官のマンソール氏が暫定政権の大統領となり、上院も解散となった。まだ確定ではないが、元IAEAのエルバラダイ氏が首相になったとの情報もある。
反ムルシ派は、できるだけ早く暫定政権の形を作り上げ、立憲にもちこみたいところである。しかし、親ムルシ(ムスリム同胞団)も黙ってはいない。
翌5から6日にかけて、親ムルシ派もカイロで100万人規模の大群衆による親ムルシデモを行った。両者の衝突を避けるため、軍が催涙弾などで対処していたが、実弾も使ったと見られ、カイロで少なくとも8人、全国で30人近くが死亡したと報じられている。デモは7日にも行われる。
<悲惨なクリスチャンたち>
エジプト8250万人のうち、10%はコプト教とよばれるキリスト教徒である。コプト教は、反ムルシ派、暫定政権を支持する立場を明確にしたため、今やイスラム主義勢力に狙われる立場となった。
シナイ半島ではコプト教司祭が殺害され、多くの教会建物が破壊された。これは、イスラム主義と世俗派の対立いう構図から、イスラム対イスラム以外の宗教という構図が入り込んできた形である。今、エジプトで最も危険な立場に置かれているのはクリスチャンであるといえる。
<シナイ半島の混乱>
6日日中から7日にかけて、カイロ市内は意外にも平穏だった。しかし7日朝、エジプト軍がシナイ半島北部、エジプトとガザの国境ラファ付近で、イスラム主義勢力と衝突しているもようである。
シナイ半島北部では、昨日コプト教司祭が殺害されたのに続いて、ヨルダンにガスを送っているパイプラインが破壊された。
これを受けて、エジプト軍は、テロリストがガザからエジプトに入らないよう、エジプトとガザの間、ラファ地下密輸トンネル40近くを破壊している。現在、ガザとエジプトの国境は閉鎖中。
シナイ半島とイスラエルの国境を守るイスラエル軍によると、エジプトの政変にもかかわらず、エジプト軍とイスラエル軍はこれまで通り連絡を取り合って、イスラエルに火の粉が飛んでこないように協力体制を維持できているという。
<傍観を決めるアメリカ>
今回、エジプトの政変について、アメリカは今のところ「傍観」状態である。無対応のオバマ大統領が、世界から批判されているが、アメリカは「エジプトはまだまだ流動的である。」としてどちらの側にもつかないという立場をとっている。
<エジプトは内戦にはならないだろう:国家防衛研究所アモス・ヤディン氏>
イスラエルの国家防衛研究所のアモス・ヤディン氏は、エジプトはシリアのように内戦にはならないだろうとの見通しをテレビインタビューで明らかにした。
エジプトは、シリアのような他民族国家ではなく、エジプト人単独の国だからである。現在、エジプト軍は一般市民とともに立っており、基本的に市民を殺害することはない。
今後、政権がどちらにころんだとしても、軍がエジプトの平穏を維持するだろうと語った。
3回もイスラエルとパレスチナ自治政府を往復するシャトル外交を展開したケリー国務長官が、今週末、またイスラエルに戻ってくる予定である。
ケリー国務長官は先週日曜6月30日に帰国したが、その後、ケリー氏のシニア・アドバイザーが残って、イスラエルとパレスチナを往復して、交渉を続けていたもよう。交渉は、イスラエル側はツィッピー・リブニ法務相、パレスチナ側はエレカット交渉担当大臣で行われている。
ロンドンのアラビア語新聞によると(イスラエルは情報を公開していないため)、パレスチナとの直接交渉開始の条件として、イスラエルが次の3点を実行するように、圧力がかけられている。
①主要入植地以外のユダヤ人向け家屋建設を停止する
②6ヶ月以内にパレスチナ人の囚人(オスロ以前)103人を解放する
③西岸地区のC地域(イスラエル管理地域)内にパレスチナ人の経済活性化のための施設を建設する。
エジプトやシリアの政変を棚にあげての中東外交政策だが、アメリカはイスラエルとパレスチナの和平が、中東全体にポジティブなインパクトがあると考えている。はたしてうまくいくかどうか・・。
シリアの内戦に介入して、多くの戦闘員を死亡させているヒズボラ。ロンドンのアラビア語新聞によると、ヒズボラ戦闘員の親たちが、息子をシリアへ送らないようにと懇願しているという。
親たちは「第二次レバノン戦争に息子たちを送り出したが、それはイスラエルの占領に抵抗するという目的のためだった。シリア内戦に送り出すことには同意できない。」と訴えている。
ヒズボラは、できればイランがもっと軍をシリアに派遣し、ヒズボラは撤退することを望んでいるようである。
エジプトでは3日、軍の介入で、ムルシ大統領を自宅軟禁となり、現存する憲法の停止が宣言された。翌4日には、ムスリム同胞団の霊的指導者を含む指導者30人が逮捕された。
一方、4日、軍によって推薦された法律家のマンスーリ氏を暫定大統領とする暫定評議会が発足。早期に憲法制定、大統領選挙と期待されているが、詳しい日程は明らかにされていない。
暫定政権には、軍以外でエジプトに存在するすべてのグループの代表が参加する形で、ムスリム同胞団にも共に国造りに参加するよう呼びかけられたが、同胞団は、参加を拒否している。
<ムスリム同胞団が対抗デモ:暴力から内戦への恐れ>
現時点では、世俗派らが主導しているようだが、ムルシ大統領支持者もけっして少なくはない。親ムルシ派のイスラム教徒たちは、「ムルシ大統領は自由選挙で過半数を取った合法的な大統領であり、今回の軍の動きはクーデターだ」と訴えている。
ムスリム同胞団は、5日金曜、イスラムの礼拝の直後に、「拒絶の金曜日」と呼ばれる反新体制デモに参加するよう、支持者らに呼びかけている。
軍は「平和的であること」を条件に、このデモを許可したが、大規模な衝突を避けるため、カイロ市内全域で軍が警戒態勢をとっている。
現在5日のイスラムの礼拝が終わって現在2時間程度。カイロでムスリム同胞団のデモが始まった。つい先ほど、ムルシ大統領が幽閉されている官邸近くで1人が射殺されたとのニュースが入っている。詳細はまだ不明。
<イスラエルの中東専門家:モルデハイ・ケダール博士の分析>
ケダール博士によると、ムルシ大統領は民主的な選挙で選ばれた大統領だった。しかも過半数を取っている。それをひっくりかえした今回の動きは基本的には筋の通ったものではない。
ムスリム同胞団は、政治的社会的イスラム団体だとされているが、それが母体となって、発生してきたのが危険なサラフィスト(聖戦主義者)である。
過激なイスラム主義サラフィストらからすると、ムスリム同胞団は”世俗過ぎる”ということで反旗を翻して脱退し、今では両者は互いに相容れない関係にある。しかし元をただせば同じ釜の仲間である。
エジプトのムスリム同胞団が、このままだまっているとは思えず、エジプトをイスラム国にするために、サラフィストとムスリム同胞団が手を結んで、反撃してくる可能性がある。そうなれば、エジプトもまた内戦へと泥沼に入っていく可能性がある。
BBCによると、世俗派で新体制推進派のエジプト人で元IAEA長官のエルバラダイ氏も、内戦に向かう危険性があることは知っておかなければならないと語った。*日曜からの政変で、エジプト全国での死者は50人となっている。
<複雑な立場のハマス>
ガザ地区のハマスもムスリム同胞団を母体としている。昨年、ムスリム同胞団のムルシ氏が大統領になったとき、ガザ地区のハマスは踊って喜んだ。
そのわずか1年後のムルシ大統領の失脚を受けて、パレスチナ自治政府のアッバス議長は、新体制の始まりに期待するといった意向を表明したが、ハマスは昨日まで沈黙を続けていた。昨日”小さな声”で新体制を支持すると言ったらしいが、メディアにもほとんど取り上げられることはなかった。
ハマスはムルシ大統領の失脚でますます孤立する可能性がある。しかし、ハマスはシリアの反政府勢力を支援すると表明してから、すでにここしばらくイランやヒズボラからの支援をかなり削減されていたのである。
今後ハマスが生き残る道が、アッバス議長との和解しかない・・という状況になる可能性を指摘する分析もある。
<イスラエルは??>
ネタニヤフ首相は、政府閣僚たちに、エジプト情勢についてメディアに発言することを禁じたと伝えられている。そのため、イスラエルでもエジプト情勢はニュースのトップだが、政府のコメントはいっさい報じられていない。
アメリカのオバマ大統領は、エジプト情勢が不安定であるため、アメリカからエジプトへの年15億ドルにのぼる軍事支援を見直す考えを明らかにしている。