6月1日からグリーンパス制度も解除へ:外国人団体旅行客受け入れ開始 2021.5.24

ベングリオン空港 出典:ウィキペディア

停戦後、ガザからは、悲惨な様子も伝わってくる。また、国内でのアラブ人との紛争は、まだいつ悪化するかもしれない不安定な空気は続いているが、イスラエル人たちは、日常生活に戻り始めている。コロナ感染も縮小が続き、規制の解除が進んでいる。

グリーンパス・パープルパスも解除へ

エデルステイン保健相

イスラエルでは、539万人(50歳以上の92%)がワクチン接種を完了した。懸念されていた変異株の影響も今のところ受けていないもようで、1日の感染者は10人代と最低ラインが続いている。このため、23日、エデルステイン保健相は、6月1日から、集会への人数制限をすべて解除すると発表した。

ただしマスクの着用については、屋内での着用義務は、2週間延長するとのこと。(屋外についてはすでに着用義務が解除されている)

また、現在は、ワクチン接種を終えた人はグリーンパス、接種していない人は、PCR検査結果を提示するパープルパスをスマホアプリにダウンロードして、建物への入場に際して、提示を求められたりしているが、それも解除するとのこと。言い換えれば、ほぼ以前の社会生活にもどるということである。

グリーンパスについては、社会の分断を産むとの懸念があったが、早期に解除するという形を世界に示すことになりそうである。

海外渡航の制限は続行

海外への渡航については、まだ制限が続く。イスラエル人で、渡航できるのは、ワクチン接種がすすんでいる国して認められるアメリカ、イギリス。

一方、ウクライナ、エチオピア、ブラジル、インド、南アフリカ、メキシコ、トルコが感染予防の観点から渡航禁止で、セーシェル、アルゼンチン、ロシアについては、厳しい警告が出されている。加えて中南米、ギリシャ、エジプト、ドイツ、サルビア、ポーランド、クロアチア、ルーマニアも要注意とされている。

ワクチン接種を終えてから、これらの国に渡航し、変異株に感染して帰国したケースもあるとのことで、エデルステイン保健相は海外への渡航についてはまだ控えるよう訴えている。

*ベングリオン空港再開

ガザとの戦闘が激化したことを受けて、ベングリオン空港では、一時、国際便の発着を停止、最低限必要な便のみ、南部のラモン空港での発着に振り替えていた。

しかし、停戦に入ったことを受け、その直後の21日(金)から、ユナイテッド、デルタ、アメリカン航空が、ベングリオン空港発着で、アメリカとイスラエルの間の便を再開させている。

この他、ルフトハンザ、オーストリアとスイスの航空会社が、23日から、UAEも湾岸諸国からの入り口として、ベングリオン空港発着でのシャトル便を運行している。空港のホームページによると、24日には、発着各76便が着陸している。

www.timesofisrael.com/us-european-airlines-restart-flights-to-israel-as-ceasefire-holds/

外国人団体観光客受け入れ開始:制度上

こうした中23日、予定通り、制度的には、海外からの外国人観光グループの受け入れが開始となった。まずは6月15日までのパイロットプログラムで、ワクチン接種が終わっている人からなる20組(5−30人)から開始する。また、20組が次の段階としてスタンバイとのこと。

今のところ、入国後の管理がしやすい団体客のみで、グループは、イスラエル行きの飛行機に乗る直前と到着後にPCR検査を行うとともに到着後は、PCRとともに、抗体検査も受けることになる。

実際には今日もまだ旅行者の到着はまだとのことだが、政府は、6月初頭から本格的な受け入れが始まるとみており、すべて順調にいけば、7月ぐらいには、個人の観光客の受け入れも始める計画とのこと。

観光業は、イスラエルの主観産業の一つ。できれば早く回復させたいとことろである。しかし、少しでも感染が増えるサインが出れば、すぐにも計画は変更するとも付け加えている。

www.timesofisrael.com/israel-to-lift-all-covid-restrictions-on-gatherings-as-virus-fades/

www.ynetnews.com/health_science/article/rk9bVZuK00

ただ、ガザとの紛争が停戦に入ったばかりであり、すでに観光客の話になっているイスラエルに対し批判的な声もある。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。