6月19日(木)ベエルシェバの総合病院・テルアビブ経済中心地に弾道ミサイル:死者なしの奇跡 2025.6.20

Smoke billows from a building at Soroka Hospital in Beersheba in southern Israel following an Iranian missile attack, on June 19, 2025. (Maya LEVIN / AFP)

昨日19日(木)朝7時すぎ、イランから弾道ミサイルは30発が発射された。イスラエルで広範囲にサイレンが鳴り、ベエルシェバのソローカ総合医療センターと、テルアビブの経済的中心部に着弾。

地震かと思われるほどの衝撃であったことや、クラスター爆弾が使われていた形跡もあり、建物の破壊は膨大だった。しかし、どちらの地点でも負傷者だけで死者は出ていない。

破壊の規模、また朝7時という時間帯を考えても、死者がでなかったというのは奇跡だった。

ベエルシェバとテルアビブ・ラマット・ガンへの攻撃

1)ベエルシェバの病院弾道ミサイル着弾も死者なしの奇跡:直撃外科病棟は数時間前に避難

19日(水)朝、ベエルシェバにあり、ネゲブ地方に住む人々すべての健康をカバーしている大病院、ソローカ医療センター(1191床(87床は集中治療)が、イランの弾道ミサイルの直撃を受けた。

これまでに病院の7か所に直撃があったことがわかっている。病院内で被害に遭わなかった場所はなく、屋根が落ち、膨大にガラスが割れている。一時危険物資の蔓延が警告されたが、後で解除された。

驚いたことに、これほどの被害であったにも関わらず、3人が重傷だが、軽微な負傷を入れて負傷者22人と発表されており、今のところ死者の報告はない。

まともに直撃を受けたのは外科病棟だったが、攻撃の数時間前に、全員を地下のシェルターに移動したところだった。もし、移動していなかったら、大惨事になるところだった。

これは、保健省ディレクターのモシェ・バル・シモン氏が、入院患者を最小限にするとともに、患者を地下シェルターに移す方針を打ち出し、病院がそれに従ったためである。

現在、ソローカ病院は、緊急救急室を24/7で稼働しているが、それ以外は、閉鎖とされ、入院患者たちは、すべて、アシュケロン、エルサレム、テルアビブ、ペタフ・ティクバの病院に分散して、移送されたとのこと。

着弾後の避難・移送には、特別に刑務所の治安部隊も出動して、早急な避難を完了している。

www.timesofisrael.com/heavy-damage-injuries-as-iranian-missile-hits-beersheba-hospital-dozens-hurt-in-central-cities/

移送された患者の中には集中治療室で人工呼吸器に繋がれている人が23人いたが、MDA(イスラエル救急隊)の高性能救急車4台が出動。その他50台が、出動して、患者移送を実施した。

*日本からMDAへ高性能救急車寄贈プロジェクト献金受付中

日本のクリスチャン団体BFPJapanでは、イスラエルのMDAへ高性能救急車寄贈のプロジェクトを実施している。これまでに3台寄贈しているが、5台を目標に、今も献金を受け付けている。以下より *クレジットの場合は、「救急車」と記載のこと。

www.bfpj.org/support/ezra/project/ambulance/

なお、ベエルシェバ周辺では、本日20日(金)朝にもミサイル攻撃があり、火災が発生している。5人負傷している。

以下は被災したネタニヤフ首相が、ソローカ病院を訪問する様子。ネタニヤフ首相は次のように語っている。

「イスラエルは焦点のあたった攻撃で、核施設やミサイル発射施設を攻撃している。しかし、イランは病院を攻撃した。ここには小児病棟もある。

これが、民主的に法に基づいて自己防衛する者と、殺人者との違いだ。この殺人者は、私たちの最後の一人まで全部を殺そうとしている。この攻撃がすべてを物語っている」

2)テルアビブ経済拠点ラマット・ガンに弾道ミサイルとクラスター爆弾も死者なし

19日(水)のイランからの弾道ミサイルは、テルアビブ中心地、ラマット・ガンにも着弾していた。住宅の高層ビルだけでなく、中小企業、ハイテク企業、また、ダイアモンド貿易関連もある地域でもある。

高層ビルの表面が崩壊し、窓が吹き飛んでいる。中から出られない人がいるとみられたため、急ぎ救出活動が行われた。

人口が集中する地域であり、これほど大規模な破壊であったにも関わらず、負傷者は37人で、ほとんどが軽傷、ショックやトラウマで、重傷者はわずか2人だった。

www.timesofisrael.com/like-an-earthquake-ramat-gan-reels-after-missile-slams-into-financial-district/

市民の多くは、地下シェルターで寝起きしていたようである。以下は、地下シェルターにいるラマットガン市民の様子

なお、イランはこれまでに、イスラエルに向けて、ミサイル450発、ドローン約1000機を発射。イスラエルで24人が死亡している。

クラスター爆弾使用か

今回の攻撃では、弾道ミサイルの少なくとも1発には、クラスター爆弾が搭載されていたことがわかっている。

クラスター爆弾は、大型の爆弾の中に小さい爆弾が多数入っている爆弾で、非常に殺傷率が高い。意図的に不発弾となり、処理中の人を殺害することもある。

2008年に国際法上使用禁止にすることで112カ国が署名(イスラエル、イラン、日本も含む)し、2010年から発効となっている。

IDFによると、今回、1発のクラスター爆弾が、イスラエルの上空7キロから降下する際に、自ら分裂し、直径8キロ範囲へ、約20個の小爆弾を撒き散らしていた。その後の誘導力はなく、それぞれが自然に着弾したところで爆発していた。

IDFによると、その一つが、住宅に着弾してその家に被害をもたらしていた。多くは不発弾として今も散らばっているとみられており、非常に危険である。市民には発見したら、触らずに軍に報告するよう指示が出ている。

www.timesofisrael.com/iranian-missile-with-cluster-warhead-scatters-bombs-in-central-israel-idf-says/

石のひとりごと

これは本当にすごい。世界中で捧げられている主への祈りは、確かに聴かれていると思った。イエスの名を通して祈る祈りは、本当に聴かれており、人の命を守る結果になっていると実感する。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。