4月総選挙:バラガン(混乱)のイスラエル政界 2019.1.13

4月の総選挙が決まってから、打倒ネタニヤフの動きが活発になっている。ここでは特に左派・労働党について紹介する。

イスラエルの建国は、ベン・グリオン率いる左派・労働党が実現した。しかし、その後、労働党によるオスロ合意が、逆にテロを活発化させ、2000年代に第二インティファーダが発生、ガザとの紛争も激化するのを受けて、今は右派、または中道右派が先頭に立つ時代となっている。

これを巻き返すため、労働党(昨年まではシオニスト連盟)が動き出している。

労働党は、2005年、ヘルツォグ党首の時に、ハツナ党(リブニ氏)が共に立つシオニスト連合になった。これにより、30議席を獲得した。しかし、その後、議席数がどんどん減るのを受けて、ヘルツォグ氏が退任し、今のガバイ氏になった。

ガバイ氏とリブニ氏は不仲であったため、党から離脱を試みる者もで始めた。そうした中、1月1日、ガバイ氏は、突然、生放送の記者会見の場で、ハツナ党(リブニ氏)と別れ、一人で党を導くと宣言。党名を再び労働党に戻すと発表した。

リブニ氏には、この時にいたるまでなんの話もなかったらしく、記者会見の場でリブニ氏は、無言で屈辱を受けたようであった。

www.timesofisrael.com/zionist-union-chief-gabbay-abruptly-ends-partnership-with-livni/

ガバイ氏は、その後、今最も注目されている元イスラエル軍参謀総長のガンツ氏と、議席数の多い未来がある党のラピード氏に共に戦ってネタニヤフ首相を失脚させようと申し出たが、双方ともこれを断っている。

これにより、労働党は世論調査によると、議席一桁台にまで落ちた。

9日、労働党党大会にてガバイ氏が、打倒ネタニヤフを呼びかけたが、党員たちは、勝手にリブニ氏を追放したガバイ氏二同意しておらず、ブーイングを飛ばしていたという。にもかかわらず、労働党は結局、ガバイ氏を党首に承認している。

www.timesofisrael.com/over-boos-and-whistles-gabbay-tells-angry-divided-labor-he-can-beat-netanyahu/

世論調査は、ラピード氏とガンツ氏が組めば、リクード(ネタニヤフ首相)に1議席差にせまるとのことだが、今の所、両者が組むという話はない。

ネタニヤフ首相についても、4月の総選挙前に、汚職問題で、司法長官から逮捕の命令が出る可能性も残る。

時期政権については、ネタニヤフ首相続投とはみられるものの、まだ何が起こるかわからない。海外からのサイバー攻撃で選挙に関与される可能性もあるため、イスラエルは対処に乗り出している。

www.timesofisrael.com/admitting-flaws-election-committee-devising-plan-to-thwart-foreign-meddling/

イスラエルでは、ばらばらで混乱状態のことを、「バラガン」という。確実なものがなく、なんでも起こりうる状態である。このバラガンゆえに、神のみこころだけがなっていくのかもしれない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。