24時間で4000人突破:22人死亡:コロナ閣議で全国2週間ロックダウン可決 2020.9.11

コロナウイルス 出展:Wikipedia

イスラエルでは、新型コロナの感染者が雪だるま式に増加している。10日、新規感染者は4013人と4000人を突破し、感染者の総合計は14万4267人。検査数に対する陽性率は、メディアによって8.6%から9.2%と非常に高くなっている。

今現在、陽性とされる人は、3万3691人で、入院しているのは、977人。このうち重症者は、488人。人工呼吸器依存者は143人。死者は、10日、これまでの最悪となる24時間で22人を記録した。死者の合計は、4日間で75人増えて、計1075人となった。

ロニー・ガムズ教授
GPO記者会見
スクリーンショット

コロナ担当ガムズ教授は、9月18日から10月6日までの秋の例祭シーズンを鑑みて、もはや全国レベルのロックダウンしかないと判断。実施にむけてまずは、コロナ閣議で審議が行われた。結果、秋の例祭が始まる直前の来週中旬から、2週間の予定で、全国規模のロックダウンに入ることで可決した。

www.ynetnews.com/article/ryEimyO4v

それによると3段階で、まず第一段階は「ロックダウン」の段階で、自宅からの移動は500メートルまで。学校は特殊な例を除いて閉鎖、リモート学習。デリバリー以外のレストランはすべて閉鎖などとなっている。

第二段階は、「厳しい制限」の段階とされ、市町村間の移動は禁止、教育現場の制限、感染危険度別信号プランに沿った集会制限など。第3段階は、「信号プランにそった、解除を進めるための規制」の段階とされる。

イスラエルは第一波の時は、非常によく感染拡大を押さえ込んだが、制限の解除をあまりにも一気にすすめたのが、大失敗であったと認識されていることから、今度は、解除を慎重に行うという計画である。週明け、13日(日)に、国会で審議され、可決すれば、来週中旬より開始となる。

しかし国民の政府への信頼は失われており、どこまでこのロックダウンが実施できるのかは、まだまだ見えないというところだろうか。

新たなロックダウンによる膨大な経済の損失:200億シェケル(6500億円)?

全国ロックダウンは、当初1ヶ月と言われていた。その時点で、イスラエルの商工会議所が試算した経済の損失は、最大400億シェケル(1兆2000億円)。経済省によると、40−80万人が職を失うと推測された。

www.jpost.com/israel-news/better-to-get-covid-19-than-to-starve-641838

この後、2週間のロックダウンという形になり、その被害額は、200億シェケル、失業者は10万人との推測になっている。いずれにしても、カッツ財務省は、新たなロックダウンに反対を表明している。その代替案として、全国一斉ロックダウンではなく、感染拡大の度合いに応じていくつかの地域に分け、物流や教育を止めない方針を提出した。

www.ynetnews.com/article/HJBWgAvVP

元観光ガイドのガルバセブスキーさんは、4人の子供を持つひとり親世帯の母親である。海外からのツアーが停止している現在、稼動しているのは、国内旅行だけで、ホテルはなんとか生き延びているが、観光ガイドの仕事はまったくない。

ガイドとして受け取る失業保険は、来年6月までで、月わずか3000シェケル(約13万円)。家賃が2500シェケルで、収入源はまもなく括弧する。ガルバゼフスキーさんは、「餓死するよりコロナの方がましだ。」と言っている。

同じく元観光ガイドのルーベン・ファイロさんは、エルサレムでオスマントルコ時代から続くオープンマーケット、マハネイ・ヤフダのツアーを13年続けてきた。マハネイ・ヤフダの売り上げは、通常の35%にまで落ち込む日もあり、多くの店が閉鎖に追い込まれているという。

ファイロさんは、「オスマン帝国がマハネイヤフダを閉鎖しようとしたが、マーケットは生き延びた。しかし、今は、小さな王冠(コロナ)がそれを実現してしまった。」と語る。

イスラエルでは、家賃を払えなくなり、引き払う期限までに次のアパートがみつからない子供連れの家族もではじめている。裁判所は、5人の子供が路頭に迷うより、家賃不払いの方が被害は少ないとして、猶予を申し付ける例が報告されている。これから、裁判所では、こうしたケースが増えてくると懸念されている。

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*食料支援NPO支援に1800万シェケル:ネタニヤフ首相

もうすぐ新年祭を迎えるにあたり、ネタニヤフ首相は、6日、食料支援を行っているNPOに、2700万シェケル(約9億円)を計上すると発表した。1800万シェケルは、通常の食料配布に、900万シェケルは、特に新年祭のために使うよう指示した。

スエーデン式は不道徳:アルノン・アフィック教授(シェバ医療センター協力院長)記者会見

アルノン・アフィック教授 出展:シェバ医療センター

感染がどんどん拡大していることを受け、90人の医療関係者が、スウェーデン式に、集団抗体に期待すると訴えていることについて、元保健省長官で、今は、新型コロナとの最前線のシェバ・医療センターにいるアルノン・アフィック教授は、「不道徳」だと真っ向から反対する意見を述べた。

アフィック教授は、記者会見において、「イスラエルは、第1波の時は非常にうまく、コロナを乗り切った。ところが、そこからの解除が大失敗だった。」と悔しげに述べた。今の第二波は、どんどん拡大していて、先が読めないとの苛立ちを表明していた。

「今できることとしたら、ロックダウンしかない。ロックダウンは効果的な方策だが、副作用(経済への打撃)がかなり大きいことと、そこからどう出てくるかが問題だ。失敗したら、また振り出しにもどってしまう。」と対処の難しさを語った。

アフィック教授は、足元のシェバ医療センターからも、上記スウェーデン式に方針を転換すべきとのキャンペーンに加わっている医師もいると述べ、意見は様々なあるといいながらも、自身は、その考えは不道徳だと反対する意見を述べた。

その理由として、「ここまで感染が拡大した今にいたっては、街を解放した際に、どのような影響が出てくるか、あまりに大きすぎるかけになる。また、集団感染ができあがるという根拠はまったくない。

イギリスは当初、スェーデン式に、行動制限をかけずにいたところ、感染者、犠牲者が膨大になった。政府は誤りを認め、国をあげてのロックダウンに切り替えたという例もある。今この段階での方針転換はありえない。危険すぎる。」と、強い懸念を述べた。

mtolive.net/スェーデン式集団免疫に方向転換を:医師ら90人-2020-9-7/

石のひとりごと:ここからどうなる・・・??

エルサレム郊外にいる友人によると、イスラエル人は、日本人ほどきちんとマスクをしておらず、ソーシャルディスタンスもいい加減だという。コロナ禍が長引いて、疲れてしまっているのかもしれない。この部分を是正できれば、感染拡大は、2週間以内に減速に向かうはずだとの声もあるとのこと。

しかし、イスラエル人は、日本人と違い、納得できないことを従順だけで、従っていくことができない人々である。すでに一度大きな失敗して、今の困難を招いた政府への不信感は大きい。

この時点でのあらたなロックダウンは、膨大な経済への影響が予想され、どのぐらいの人々がそれに従うかはわからない。市民の間からもすでに反対する声があがっている。

土曜日には、毎週の反ネタニヤフ首相デモが予定されている。これまでになく、市民からの大きな反発が懸念される。来週早々、国をあげてのロックダウンなどできるのかどうか。これから、イスラエルはどうなっていくのか。主はいったい、何を考えておられるのか!ますますとりなしが必要になっている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。