2021年11月COP26:世界が温暖化対策で村社会状態? 2021.1.26

今年は注目:COP26

国連のSDGs

一般的なニュースではあまり報じられていないようだが、世界は、様々な異常気象が始まっており、世界は、本格的に地球温暖化対策に乗り出している。

2015年、国連総会で、193の国連加盟国が、将来の世代のための環境や資源を壊さず、今の生活をよりよい状態にすることを目標として、SDGs(持続可能な開発目標)を立ち上げたことから始まっている。

SDGsは、サステナビリティともよばれ、貧困をなくす、飢餓をゼロにや、気候変動に具体的な対策をといった17か条からなっている。もはや、多少の犠牲を伴ってでも、世界が一致しなければならないという流れになっているのである。新型コロナもまたこの流れに拍車をかけそうである。

この取り組みの中で予定されているのが、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)である。COP26は、昨年開催されるはずだったが、新型コロナ問題で、各国が集まれなかったので、2021年11月9−20日に延期された。主催は国連で、開催地は、延期前と同じイギリスのグラスゴーの予定である。

この会議は、国際社会がともに地球温暖化を遅らせようというもので、バイデン米大統領が復帰を表明したパリ協定の締約国会議も、この枠組の中に入る。COP26では、会議が延期されたことから、参加国が温暖化対策、特に脱二酸化炭素に対策を講じる時間ができたはずだとして、今年11月には、参加国がそれぞれの取り組みを発表することになっている。

しかし、これが、ただの発表にとどまらず、各国の経済にも大きな打撃になる可能性があるため、経済のエキスパートたちは、今年1、2を争う重大事項だとして、今から大きく注目しているとのことである。

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Race to Zero: 二酸化炭素ネット排出量ゼロを目指す圧力

2020年、国連機構変動枠組条約(UNFCCC)は、世界環境デーにおいて、気温上昇を1.5度以下に抑えることを目標に、Race to Zero(ゼロに向けての競争)」と名付けた国際キャンペーンを開始した。二酸化炭素の排出を限りなくゼロにしようというものである。

これにむけて、COP26では、国家以外の企業、金融機関や自治体、大学、商工会議所、NGOなどの非国家アクターが、脱酸素に非協力的な国家に対し、実質的な圧力がかけるしくみを取り入れた。非国家アクターが、国家を動かすという呼びかけである。

11月のCOP26では、脱酸素にあまり真剣に取り組んでいなかった国は、国際的にも非難され、経済を含め、様々な形での圧力を受けることになるという。このため日本の菅政権も、コロナ禍にありながら、脱酸素社会の実現に向けて2兆円ものグリーン(脱酸素)基金を盛り込んでいるのである。

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いわば罰金に近いものといえるだろう。今後、地球温暖化対策の美名のもとで、全体のために、各国への負担がますます求められていくことが予想される。トランプ大統領は、これを予期してパリ協定から離脱したのであった。

この点においても、あまり好ましい形でない国際社会の一致、結束がじわじわとすすんでいくようにも感じられる。

サウジアラビアの提案:未来都市MEOM

サウジアラビアのモハンマド・ビン・サルマン皇太子は、今月10日、二酸化炭素ゼロの未来都市NEOMの構想を発表した。サウジアラビア北西部の砂漠地帯にのびる170キロの「The Line」と呼ばれる細長い,100万人の都市である。

www.archdaily.com/955079/saudi-arabia-unveils-plans-for-hundred-mile-long-linear-city

この未来都市は、100%クリーンエネルギーで運営され、デジタル化や効率化が進められ、すべてのところに5分以内に移動できるなど、文字どおりの未来都市である。この都市の建築に向け、サウジアラビアは、5000億ドル(500兆円)かけてまずはビジネスゾーンを建設し、世界最大の原油国からの多局化をはかる。

昨年11月、ネタニヤフ首相が、電撃的にサウジアラビアを訪問し、モハンマド皇太子に面会したのは、このNEOM予定地においてであった。イスラエルのスタートアップ技術力が、この未来都市でも用いられる可能性を示唆しているといえる。

石のひとりごと

アフターコロナの世界がどうなっているかは、まだまだ見えないが、世界はかなり未来的な状況に進むのではないだろうか。

今高齢者になっている80歳代の人たちは、戦争の苦難を乗り越えてきたのだが、あのころの日本社会と、今の日本社会のあまりの違いに驚かされる。ということは、あと50年先、日本は、世界はどうなっているのだろうか。

世界は変わっていく。同じところにとどまっていることはないということを思わされている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。