2017年 聖地イスラエルのクリスマスから 2017.12.26

エルサレム問題で、世界に物議となっているエルサレムも、12月24日-25日。今年もクリスマスを迎えた。

イスラエルにいるキリスト教徒は、総人口の2%である。住民のほとんどがユダヤ人である西エルサレムにクリスマスの気配はまったくないが、旧市街のクリスチャン地区では、クリスマスツリーや、サンタクロースの人形などもみられた。

エルサレム市は、”すべての宗教にオープン”であるイスラエル支配下のエルサレムをアピールするため、今年も旧市街にて、キリスト教徒に、クリスマスツリー用の木(約2m)150本を無料配布した。

スポンサーは、エルサレム市だが、実際に配布するのは、エルサレム在住のパレスチナ人クリスチャン、イッサ・カシシアさんである。

カシシアさんは、サンタクロースに紛争し、らくだに乗って、エルサレム旧市街でツリーの木を配布した。なお、同様のクリスマスツリーは、ユダヤ機関自然保護団体でも1本20ドルで販売されている。

www.jpost.com/jerusalem/Camel-riding-Santa-offers-free-Christmas-trees-to-Jerusalem-residents-519671

<ベツレヘム>

ベツレヘムでは、ここ3週間ほどパレスチナ人とイスラエル軍との衝突が続いたが、今年も生誕教会広場前に巨大なクリスマスツリーが飾られ、市をあげてのパレードやクリスマス・バザールが行われた。夜には、例年のごとく、アッバス議長も参加して、生誕教会でのミサが行われた。

観光客はやはり例年より減少した。しかし、巡礼として来ることを計画にしていた人々はキャンセルしなかったため、今のところ、特に大きな影響はでていないもようである。しかし、今後1月にかけてキャンセルが相次ぐことが、懸念されている。

西岸地区国境では、サンタに紛争したデモ隊とイスラエル軍がもめあいになったり、イスラエルとの防護壁前でサンタが写真を撮ったりした。ベツレヘムでは、”エルサレムはパレスチナの首都”と訴えるビラが、配布された。

ガザ地区との国境では、金曜、2000人ほどのパレスチナ人とイスラエル軍が衝突し、パレスチナ人が2人死亡した。サンタの扮装をしたパレスチナ人も負傷した。

www.timesofisrael.com/bethlehem-christmas-celebrations-kick-off-under-shadow-of-trump-tensions/

<ナザレ>

イスラエル国内最大のアラブ人の町ナザレでは、イスラム教徒のアリ・サラム市長が、トランプ大統領のエルサレム宣言に抗議するとして、市をあげてのクリスマスのイベント(パレード)をキャンセルすることを検討していた。

しかし、最終的には、パレードは行われ、数千人のアラブ人、ユダヤ人がイベントを楽しんだ。

www.jpost.com/Israel-News/Thousands-turn-out-for-Christmas-parade-in-Nazareth-519828

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。