目次
15年ぶりにイスラエルの外相訪日
イスラエルのギドン・サル外相が、15日(木)に予定されていた、大阪万博でのナショナルデー出席のため、5月13日(火)、日本に到着。林官房長官に続いて、岩谷外務大臣との会談を行った。
日本とイスラエルは国交を結んで、73年になる。しかし、外相が訪日するのは15年ぶりであった。
林官房長官との会談で、サル外相は日本が北
朝鮮に人質がいることから、ガザに人質をとられているイスラエルに共感し、日本が、人質58人の早期解放を呼びかけたことに感謝すると述べた。
林官房長官も、引き続き人質解放に向けて祈っていると語った。
一方、日経新聞によると、岩谷外相は、ガザでの壊滅的な人道状況に懸念していると表明しつつも、「すべての当事者に人質解放と停戦に向けた一層の努力を求めたい。」と伝えた。
これに対し、サル外相は、日本の人道支援が、ハマスを助けることにならないよう求めた。
岩谷外相は、パレスチナ国家を含む2国家解決が重要だと述べ、事態がエスカレートすることは、国際社会全体の利益にならないとして、自制と対話による平和的解決を求めたとのこと。
要するに、イスラエルの立場は、ほとんど理解していないということのようである。
www.nikkei.com/article/DGXZQOUA13BYW0T10C25A5000000/
その後、サル外相は、東京の記者クラブで記者会見を行った。この時、サル外相は、トランプ大統領が中東歴訪している間に、人質解放への進展を期待すると述べた。
この日、記者クラブ前では、サル外相の記者会見を聞きつけた、親パレスチナ派が、イスラエルと、記者会見を実施した政府に抗議するデモを行った。
「サル外相は戦犯」とのプラカードを掲げ、「フリーパレスチナ」「イスラエルは国際法を破っている」「記者たちは、イスラエルだけでなく、私たちの訴えも報じるべきだ」などと叫び、警察が、出動する騒ぎとなっていた。
万博ナショナルデーでの独立77周年イベント:全く非公開で開催
大阪万博では、各国がナショナルデーとして、それぞれの国を紹介するイベントを行っている。イスラエルも5月15日(木)にナショナルデーを開催した。
しかし、日本でも親パレスチナ、反イスラエルの動きが活発になっていることを受けて、ナショナルデーのカレンダーなどへは告示せず、約250人の招待された人々だけが出席。
会場周辺には、イスラエルの旗もいっさい掲げず、多くなおセキュリティが、会場に目を光らせながらの式典となった。
イスラエルからは、サル外相と、コーヘン在日イスラエル大使とその側近。大使館関係者。万博のイスラエル代表を務めるヤヘル・ヴィラン氏。日本政府からは、外相ではなく、松本尚外務大臣政務官が出席していた。
招待されていた日本人の中には、昔から親イスラエルで知られる幕屋と呼ばれる教団の人々と、BFPJapanなど、イスラエル支援を継続しているクリスチャン団体や教会の人々も含まれていた。
式典では、イスラエルと日本の国旗、国歌が掲揚された。その後、日本からは松本氏は、イスラエルとの科学技術での協力を強調。気候変動や、紛争の中、平和への協力をしていきたいと語った。
その後、サル外相が挨拶に立った。「この万博では、イスラエルの展示はユダヤ人の強さを世界に表明していると語った。イスラエルは、聖書の民として古くから存在し、また、スタートアップの国として、世界に貢献している。万博での展示は、過去と未来をつなぐイスラエルを表現している。」と語った。
日本は、北朝鮮に人質を取られているとして、イスラエルと同じ苦しみを経験していると述べた。
また、自分自身は日本との関係は2001年に始まったと語った。また、日本政府と日本人に対し、エキスポ2025に、イスラエルを招待してくれたことに感謝を申し上げると語った。
その後、イスラエルの人気バンド、マラビ・トロピカルが、イスラエルの風景をバックに、数曲を披露した。
しかし、その名前の通り、全くのトロピカル音楽で、スペイン語がほとんどで、いわゆる日本人が考える、イスラエルという国のイメージとはかけ離れたパフォーマンスであった。
歌の内容も、「女性は美しいが私は傷つけられた」「夫は働かない」「ココナッツ」といった、どうにもイスラエルと何の関係が?というものだった。
イスラエルに長年住んでいた筆者としては、この多様性こそが、イスラエルだと思ったが、多くの参加者は、不思議なギャップを感じたようであった。
式典が終わって、外へ出ると、4-5人の親パレスチナ派の日本人たちが、パレスチナの旗を掲げるなどして、イスラエルに反発を表明。警察が、それぞれのそばに立っていた。
石のひとりごと
在日イスラエル大使館のFBの投稿には、いちいち、イスラエルを非難するコメントがみられる。日本でも、イスラエルに反対の気持ちを持つ人が増えているようである。
しかし、それらの人々に言いたいのは、実際に、イスラエル人やパレスチナ人に会ったことがあるのか、どこまで得ている情報が正しいのか、どうやって確認しているのかと言いたい。
海外でこんな対応を受けるイスラエル人たちの気持ちを思わせられるが、サル外相が言っているように、イスラエル人はそんなことで、心が折れることはないだろう。
長年の苦難の中で、もう十分経験積みのこと。残念ながら、目新しいことではないからである。
このイベントでの、やたら明るい、ミュージックパフォーマンスがそれを物語っているようだった。
そういう中で、一緒に出席していたクリスチャンたちが、イスラエルの国旗が国歌とともに掲げられる様子に涙が出たとか、イスラエルがさらに好きになったという声が上がっていた。
筆者は日本という国を思わされた。聖書を全く知らず、イスラエル非難する人々。この国に私は置かれている。
一人の友人が、自分を十字架にかけることを望んだ同胞に対し、彼らが何も知らないでいることを許してほしいと祈ったイエスのことを思い出したと言っていた。
イスラエルを何も知らず非難する人々、聖書をほとんど読んだことがなく、救われている人がわずか1%のこの国に対して、まさにその通りであると思った。