閣僚35人:史上最大の第35連立統一政権発足 2020.5.18

ネタニヤフ首相とガンツ氏 出展:Knesset HP

第35新政権発足

17日、実に508日を経て、ようやく第35連立統一政権が、国会で、73−46にて可決され、就任式を終えた。最終的に、大臣35人、副大臣16人と、イスラエル史上最大の統一連立政権となった。実際に17日に就任したのは、ネタニヤフ首相、ガンツ次期首相を含む34人。(少数民族担当相のみ未定)

新連立政権が国会に占める議席数は、過半数の73ということで、その内訳は、リクード35、青白党16、シャス9、統一トーラー党7、労働党2、デレック・メレツ2、ユダヤの家党1、ゲシェル1と、右派、ユダヤ教政党、左派を含むまさに統一連立政権である。

今回発足した新政権については、コロナ危機で政府が統一することの必要性だけでなく、西岸地区合併問題の最中にあって、極右抜き、右派だけでなく、左派も含む政府であるということで、交渉の可能性が高まるとともに、国際社会からの非難をかわす一手にもなりうるとの評価もある。

しかし、これだけの人数の大臣を維持するための予算は、年間2億3850万シェケル(約71億5000万円)にのぼると試算され、「恥知らずな巨大政府」との批判もある。

www.jpost.com/israel-news/politics-and-diplomacy/how-much-will-israels-new-government-cost-628333

なお、通常なら、新政権が発足すると、その日のうちに大統領官邸に集まって報告し、集団写真を撮るのだが、今回は、コロナ危機により、実施できなかった。このため、国会で第一回閣議が実施され、その様子が報じられた。教室のような形での閣議である。講壇に向かって座っているのが閣僚たち。(映像はGPOより)今後、集合写真をどのようにするのか、保健省が検討している。

Join us》》》After over a year of political deadlock, watch the live broadcast of the first cabinet meeting of the 35th Government #Israeligovernment #gpolive

Government Press Officeさんの投稿 2020年5月17日日曜日

第35新政権の目標

第一回閣議にて、ネタニヤフ首相は、政権の優先事項を次のように述べた。①コロナの第二波に備えること、②経済の回復、③イラン対策、④国際法廷での戦犯として訴えられている件、⑤西岸地区合併に関する外交問題。

第35新政権の特徴

新連立政権では、防衛、外務など最重要ポジションが、首相直属のリクードではなく、青白党で占められている。しかし、ガンツ防衛相も、アシュケナジー外務相も、どちらも元イスラエル軍参謀総長で、現役時代には、ネタニヤフ首相とともに戦った経験がある。国防という点での一致は問題ないだろう。

また、最も大事な財布である、財務相はリクードである。重要な最終決断を行う治安閣議のメンバーも、人数的にはリクードが多く、結局、ネタニヤフ首相が、リーダーシップを取れる形にはなっているとみられる。

1)首相交代の予定:2021年11月17日

ネタニヤフ首相は、今回、5期目に入るが、約束通り、1年半後の2021年11月17日に、ガンツ氏と首相を交代する。ネタニヤフ首相が本当に降板するかどうかはまだ疑いはただよっているが、ネタニヤフ首相自身は、それを約束すると言っている。

しかし、1週間後の24日には、ネタニヤフ首相の訴訟が始まるので、万が一、辞任に追い込まれた場合は、その場で、ガンツ氏に交代する。

2)各党にふりわけられた大臣の椅子

①青白党

防衛相、外務相、法務相、国内防衛相、文化スポーツ相、外交戦略相、平等相(Ministry of equality)、観光相、科学技術相、ディアスポラ相、移民相、農水相、少数民族相(任命はまだ未定)

②リクード

経財相、コミュニケーション相、保健相、交通相、国内治安相、エネルギー相、教育相、高度教育相、地域協力相、情報諜報相、入植地相、政府と国会調整相、環境保全相、首相府担当相

*今回、経財相の働きは重要だが、前のカフロン氏が辞任したので、前交通相のイスラエル・カッツ氏が選ばれた。

カッツ氏は、ガザ空港案を出したり、湾岸諸国とつなぐ交通案を出すなど、いろいろな面白い案を出し、いくつかは、実現もしているので、今危機にあるイスラエル経済を立て直す画期的な案を出してくるのではないかと期待したい。

このポジションには、前エルサレム市長のニール・バルカット氏の名もあがっていた。バルカット氏は、自らスタートアップで巨額の富を築いたビジネスマンであり、市長としてエルサレムの活性化に貢献した。ネタニヤフ首相も期待していたようだが、今回はカッツ氏ということになった。

バルカット氏は、大臣の椅子がないことに不満もあったようだが、決まってしまえば、バルカット氏もそれなりにポジティブに受け取っているようである。

③その他

労働党:経済担当相(財務省とは別)、厚生省(保健省とは別)

シャス:内務相、地域関係相

統一トーラー党:住宅相(前政権では保健省)

ゲシェル:地域共同体強化相

ユダヤの家党:エルサレム担当相

*エルサレム担当相については、ヤミナ(右派党)を離脱してまでももしこのポジションを得る動きに出たラフィ・ペレツ氏(ユダヤの家党)が獲得した。

www.timesofisrael.com/ending-political-crisis-new-government-sworn-in-by-knesset/

3)治安閣議メンバー

コロナ危機含め戦争などに直面する際に、イスラエルの治安を守る治安閣議メンバーは以下の通り。

ネタニヤフ首相(リクード)、カッツ財務相(リクード)、エデルステイン保健相(リクード)、ヘンデル・コミュニケーション相(リクード)、レゲブ交通相(リクード)、オハナ国内治安相(リクード)、ギャラント教育相(リクード)、

ガンツ防衛相(青白)、ニセンコーン法務相(青白)、アシュケナジー外務相(青白)、

ペレツ経財相(労働党)、デリ内務相(シャス)

世界の首脳からの反応

イスラエルにようやく新政権が発足したことについて、アメリカのポンペオ国務長官は、ネタニヤフ首相との写真をつけてツイートにて、豊富な政治経験のある強い政府になってよかったとのコメントを述べた。

ドイツのメルケル首相は、イスラエルとの協力関係が不動であることを述べ、ネタニヤフ首相に、またともに協力できることを楽しみにしていると祝辞を送った。ドイツのマアス外務相も、アシュケナジー外相に挨拶を送った。

インドのモディ首相は、ネタニヤフ首相とガンツ氏双方に、オーストリアのクルツ首相はネタニヤフ首相に祝辞を送った。

www.timesofisrael.com/world-leaders-pompeo-congratulate-israel-on-new-unity-government/

石のひとりごと

いやはや、結局、ネタニヤフ首相で落ち着いた。ネタニヤフ首相は、今回5期目である。もうだめか・・との記事が何回出たことだろうか。今回は、全くの予想外にやってきたコロナに助けられた言えるのではないだろうか。そのコロナだが、実にタイミングよく、今、どうやら去きそうな・・?様相である。

それにしても、何がネタニヤフ首相をここまで、意地でも首相としてへばりつかせているのだろうかと思う。

無論、主の計画なのだろうが、本人の強力なものすごい意志についても考えさせられる。その意志というのは、自分自身が首相であり続けるというようなレベルのものではないし、自分の名誉のためなどでもない。ネタニヤフ首相の名誉など、ありとあらゆる非難の中で、もうすっとんでいると思う。

何度か書いたが、ネタニヤフ首相の中にあるのは、イスラエルという国への深すぎるほどの思いではないかと思う。この部分に、甘さを匂わせる「愛」という言葉は似合わない。壮絶なまでの、思いと言いたい。

主は計画を立てるが、私たち自身が、どこまで本気かを確実にみておられる。それが不可能かどうかを考える以前の本気度である。たとえ神の計画であっても、とことん本気でなければそれを受け取ることはできないということもありうる。

逆に言うと、とことん、ネタニヤフ首相レベルに何もかも失ってもまだやるという、岩のごとくの執念があれば、主がたてた計画を変えてでも、やり通させてくださるということでもある。これはとりなしの祈りにも言えることである。まあ、そこまでの意志というものは、そもそも、主がお与えになるのかもしれないが。。

そういうわけで、1年半後に、ネタニヤフ首相が本当に降板するかどうか。かなりあやしいという見方をイスラエル人がしているのも無理はないかもしれない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。