自営業者への支援金に遅れ:ミュージシャンが納税ボイコット呼びかけ 2020.7.9

イスラエル財務省 出展:wikipedia

イスラエルでは、コロナ禍を機に、失業率が25%にまで上昇。経済活動を再開しても復職が進まず、100万人以上が失職したままの状態が続いた。そのため、政府は休業させている人を復職させる企業への支援策を講じ、今では、失業者は80万人ぐらいだという。

問題は、失業保険が適応されない自営業者などである。この人々には支援が届いていないため、6月中も、何度か大きなデモが発生していた。

このため、ネタニヤフ首相とカッツ財務相は、自営業者への経済支援を発表したが、実際に支援金が届くのは、8月になることがわかった。

www.timesofisrael.com/government-delays-aid-package-for-workers-hit-by-virus-restrictions/

ミュージシャンが納税ボイコットを呼びかけ

今回、もっとも打撃をうけているのが、観光業(ツアーガイドはほとんどがフリーランス)、イベント関連の業種、アーティストなどである。自営業者への経済支援が遅れていることを受けて、歌手のヘミ・ルドナーさんが、支援金が出るまで、政府への納税をボイコットするよう、呼びかけた。

イスラエルの税金は基本的な食料は別として、すべてのものに17%の付加価値税がついている。また、給与に課される税金もかなり高い。ルドナーさんは、国からの十分な支援を受けられないことについて、自分も同じ市民であるとして、同胞たちに納税のボイコットを飛びかけた。

また、ジムが閉鎖と指示されていることについて、「スタジオならいいのに、ジムは禁止というのはおかしい」として、これまでの事務を閉鎖。スタジオに引っ越して、その中で、20人までのエクササイズを始めた。

テルアビブ・ヤッフォでは、小さなレストランが、屋内なら20人、屋外なら30人と言われてもよくわからない。だからいつも通り営業していると言っている。

www.timesofisrael.com/musician-vows-to-stop-paying-taxes-as-businesses-rebel-against-govt-on-virus/

エルアル航空国営化

イスラエルのエルアル航空は、すべてのフライトをキャンセルした状態にある。政府は、イスラエル唯一の国際線を維持するため、2億5000万ドルの借款を実施するなどして、エルアル航空が国有化されることが決まった。これにより、職員2000人を再雇用する可能性がでてきている。

www.timesofisrael.com/el-al-accepts-400m-bailout-with-airline-likely-to-be-nationalized/

石のひとりごと

イスラエルのコロナ対策を見ると、前回と今回、同じ国かと思えるほど、違った形になっている。前回はあまりなかた市民からの反発が、今はかなりではじめている。

今回と前回で、まず大きく違っている点は、経済の悪化である。ロックダウンが、感染予防に効果的なのは明らかだが、2回目となると、今度は、経済を崩壊させてしまう。経済を維持しながら、なお感染を防ぐことの難しさは、尋常ではない。

医療に関しては、前回より、検査方法や、感染のしくみ、治療薬の可能性など、様々な知識も増し加えられている。しかし、患者の出方も違うし、症状の出方も様々である。人々の忍耐力も違う。

だいたいウイルス自体が、変異して、いったん感染した人の抗体が、次の感染時に、効力を発しないようなウイルスにかわっている可能性もある。要は、新型コロナは、人の手には負えないウイルスであり、人は全能ではないということである。

経済に関しても、これから大量の失業時代を迎えると言われる中、どう対処していくのか、かなり先まで見越した作戦で先手をとっていかなければならないだろう。

今日本は、コロナとその経済の打撃に加えて、いまだかつて経験したことのないような雨の大災害にみまわれている。災害の当初、気象庁の専門家が、「これかどうなっていくのかわからない」とはっきり言っていたのが衝撃的だった。

私たちは今、人間の力がまったく全能ではなかったということを思い知らされている。今、私たちは、この世界を創造したのは人間ではなく、それを創造し、そのすべてを司っている神が確かにおられるということを認め、その前にへりくだることを求められている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。