直接和平交渉再開へ 2013.7.20

ケリー米国務長官、6回目の挑戦で、ついにイスラエルとパレスチナの直接和平交渉が、再開されることになった。2010年に決裂して以来、3年ぶりとなる。

<経過>

18日、ヨルダンでケリー国務長官と会談したアッバス議長は、この時点ではイスラエルとの直接和平交渉に応じる様子だった。しかし、ラマラに帰ってPLO幹部らと夜を徹して議論した結果、合意を得ることができなかったた。

そのため、アッバス議長は19日朝、エレカット氏をヨルダンに派遣、ケリー氏に改めてNOの答えを出した。

ところがケリー国務長官はあきらめず、帰国を延期して19日午後、ラマラへ乗り込んでアッバス議長と再度会談。ネタニヤフ首相とは、電話で話し合い、なんとか交渉再開へと合意に持ち込んだのである。

この間、オバマ大統領もネタニヤフ首相に電話して、和平交渉再開への圧力がかけられた報じられている。

<交渉再開の条件>

ケリー国務長官によると、交渉再開の条件についてはまだ最終的な段階ではないという。またイスラエルはあくまでも無条件で交渉を再開するというスタンスを崩していない。

しかし、パレスチナ側によると、ケリー国務長官は、①イスラエルは重罪者を含むパレスチナ人テロリスト350人の釈放すること、②1967年以前の国境線を基準にした国境の策定が話し合われることになると約束したもようである

*1967年以前とは、つまり六日戦争以前を意味するため、東エルサレム(旧市街、オリーブ山含む)、西岸地区、ゴラン高原がイスラエルの領地ではなくなるということを意味する。

<どのように交渉が行われるのか>

直接和平交渉はアメリカのワシントンで、来週にも開始される。パレスチナ側からはPLOの交渉担当エレカット氏、イスラエル側からは和平交渉担当で法務相のツィッピー・リブニ氏が代表を務める。

アメリカの立ち会いのもと、9-12ヶ月かけて、国境線や入植地問題など、すべての項目が話し合われる。最終的にはネタニヤフ首相とアッバス議長の直接交渉となる。

<イスラエル側の反応>

交渉を担当するリブニ氏は、フェイスブックで、和平交渉再開を歓迎する意向を表明。交渉の場では、民主国家かつユダヤ人の国イスラエルの治安を守る責任があるとの決意を述べている。

強硬右派のユダヤの家党ベネット党首は、1967年以前が国境策定の基準になるなら、連立離脱を表明している。財政削減で話題の未来がある党ラピード党首は、前条件は受け入れるものではないとしながらも、和平交渉再開を歓迎。真の平和に向かう一歩だと語った。

最大野党で中道左派の労働党ヤキモビッチ党首も、和平交渉再開を歓迎。もしユダヤの家党が離脱しても労働党がネタニヤフ政権を支えるとまで言っている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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