混乱の週末ロックダウン:地域での取り組み 2020.7.18

木曜夜閣議 出展:GPO

24時間で1900人以上

イスラエルでの感染者は、連日1800人から1900人を超えて、感染者総数は、4万7459人となった。現在、有症の患者数は、2万6323人。金曜1日だけで、これまで最大となる軽症者600人、先週だけで1800人が、コロナ軽症者用ホテルに入所した。

重症者は208人。死者は、一昨日8人、昨日4人と確実に増えて、計392人となった。これは、100万人あたり43人死亡ということ。(アメリカ429人、日本8人)*Worldmeter

1日の検査数を3万件以上に

国内治安委員会のメイール・ベン・シャバット氏は、これらの制限強化の目標は、1日の感染者を、8月31日までに、400人まで下げることだと説明した。これに合わせて、ガンツ防衛相は、DNA検査の会社に対し、感染者と非感染者を明確にする検査件数を、現在1日に1万件であるところ、3万件以上にするよう、要請を出した。

www.jpost.com/health-science/coronavirus-netanyahu-gantz-push-off-closing-restaurants-until-tuesday-635416

実際、16日には、これまでで最大となる3万965件の検査が行われたが、この時の陽性率は6.2%であった。

感染者の中には、先の感染の波で、14人の死者を出したベエルシェバのミシャン高齢者施設の高齢者1人と職員2人が含まれていた。この施設では、無症状でも定期的な検査を行っているために感染が早期に発見できたといえる。

週末だけのロックダウン

状況がさしせまっている中、経済悪化から、ロックダウンには踏み切れない状態が続いているが、政府は、木曜夜、週末のみの、ロックダウン手前、プチ・ロックダウンのような制限を実施すると発表した。もしそのまま状況に改善がない場合、国会の承認を待って、来週7月24日から、外出制限を含むフル・ロックダウンに入ると発表した。

週末プチ・ロックダウンは、17日午後5時から、日曜午前5時までで、その中身については、外出制限はなく、①金曜午後から、薬局・食品スーパーを除く、モール、プール、ジム、動物園、ミュージアムは閉鎖、②集会は、屋内10人以下、屋外20人以下。③市役所など政府関連施設は、労働者の50%を屋外か、リモートワークにする。

レストランについては、テイクアウェイか、デリバリーのみとする予定であったが、レストラン業者が、「再度の閉店は自殺行為になるため、開店を続ける。」と主張した。このため、政府は、最終的に、レストランの営業はそのままで、テイクアウェイのみになるのは、来週21日(火曜)朝5時からと通達した。

また市民や、野党からの激しい反発で、ビーチの閉鎖も延期された。筆頭野党のヤイル・ラピード氏は、政府が、プチ・ロックダウンを木曜の夜中になって、専門家の声も、正確な数字も提示しないままで決めたと反発。リーバーマン氏も、筋が通らない策だと批判している。

www.timesofisrael.com/opposition-chief-doctors-union-head-slam-new-lockdown-measures/

ビーチについては、17日、エルサレムの首相官邸前に、数百人が水着姿で集まり、閉鎖に反対を訴えたほか、首相を辞任するよう訴えた。ネタニヤフ首相の2回めの裁判は、19日に予定されている。

www.timesofisrael.com/for-third-time-this-week-hundreds-demonstrate-against-netanyahu-outside-home/

www.jpost.com/israel-news/netanyahu-trials-second-hearing-set-for-sunday-635354

屋外レストラン奨励:エルサレム市・テルアビブ市

1)エルサレムのアルモン・ハナチーブで屋外地域カフェ・バー

アルモン・ハナチーブ・スーパー前公園
出展:One of the first Barmon activities in Armon Hanatziv, a screening of a soccer game in the neighborhood’s shopping center (Courtesy of Shlomi Bar-Cohen) Times of Israel 記事内

前のロックダウンのときは、過越の祭があった。屋外が好きなイスラエル人たちは、アパートの住民はベランダで、一軒家の場合は、それぞれが自宅前の通りにテーブルを出して、地域の人たちとともに、マイクで叫びながらの過越の祭をやっていた。今回も、同様の動きがある。

エルサレム南部で、筆者が10年近く住んだ住宅地アルモン・ハナチーブでは、「バルモン(バー・アルモン)」というプロジェクトが進められている。すでに、地域のスーパー近くの公園にスクリーンを出して、地域住民が集まり、ビール片手に何かの試合をみるなどしていたようである。

バルモンでは、バスを改良したバーを公民館広場に出して、地域住民が、屋外でカフェやビールを楽しむようにするというプロジェクトが始まっている。この動きは日本にもあり、これまでオフィス街で活動していたキッチンカーが、住宅地で活動しているとのこと。(以下はバルモンのクリップ)

www.timesofisrael.com/if-you-build-a-cooperative-bar-in-a-bus-the-neighbors-will-come/

2)テルアビブ市がレストラン屋外席拡大を許可

テルアビブ市は、レストランの屋外での食事エリアを拡大するため、客席を歩道にまで広げて、ソーシャリディスタンスを守りながら営業できるように、11の通りを歩行者専用道路にすると発表した。

この案は5月に発案されたもので、すでに、レビンスキーストリート、シェインキンストリートが、24/7の歩行者と自転車専用の通りとして稼働できているとのこと。テルアビブ市は、この地域に、屋外椅子1000脚、日陰などを設置する予定。

テルアビブは交通渋滞とそれによる空気汚染が問題だが、市は、自転車道を倍にするなどして、交通渋滞を軽減させたい考えである。(GPO資料)

石のひとりごと:自分にふりかかるまでは・・

コロナパンデミックでは、何人が感染、何人が死亡、と数字しか私たちの耳には届いてこない。しかし、いったん、自分のことになると、話は一転する。

コロナの最も厳しい点は、感染し、発症し、病院に搬送される時が、家族との最後の時になるという点である。ニューヨークタイムスが、救急隊員の経験を通して、患者を病院に搬送するときの厳しい現実をまとめたビデオをアップしていた。

病院への搬送が最後の時になる。その厳しさを、私たちは日々考えていないが、恐れに支配されないまでも、コロナを甘く見てはならないと、改めて肝に銘じさせられたクリップであった。

感染予防と経済保護、あまりにも厳しい状況にあるイスラエルと、世界の苦難の時を短くしてくださるよう、神にとりなし祈っていかなけらばならないと思った。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。