東ウクライナのユダヤ人市長・負傷でイスラエルへ 2014.4.30

東ウクライナ.ハリコフ市の市長でユダヤ人のケルネス氏が、28日、朝のジョギング中、後ろから撃たれて重傷となった。ウクライナ暫定政府(キエフ)の要請で、イスラエルの病院に送られて、ハイファの病院で治療を受けている。

ケルネス氏は、かつて親ロシアのヤヌコビッチ前大統領を支持していたが、大統領が失脚してからはウクライナ暫定政権(キエフ)を支持するようになっていた。

<緊張高まるウクライナ情勢>

30日、東ウクライナでは、新たなウクライナ省庁が占拠され、キエフでも親ロシア派と親欧米派の間で衝突が発生した。アメリカは、「ロシアは親ロシア派を経済支援し続けている。ウクライナの領地は1インチもわさたさない。」と強い言葉でロシアの姿勢を非難した。

ロシアは、国境付近に4万の軍を駐留させている。http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA390A220140410

これ対し、先週には、アメリカ軍の精鋭部隊600人がポーランドに到着。今日までにラトビア、エストニア、リトアニアに分かれて駐留を開始した。

ところで、今年のホロコースト記念日のテーマは「崖っぷちに立つユダヤ人」だった。今からちょうど70年前の1944年、ドイツ軍がハンガリーに侵攻し、ユダヤ人43万人をアウシュビッツに送り始めたころである。

当時、ヨーロッパのユダヤ人は東からはソ連軍、西からは連合軍にはさまれ、ナチスが来て収容所に連行されるのか、ソ連がくるか、連合軍が来て解放されるかという、非常に微妙なところに立っていたという。

現在、西ウクライナ、また東ウクライナでも緊張はあっても日常生活は通常に保たれている。ユダヤ人の中には、こうした今のウクライナ情勢が1944年当時の状況によく似ていると懸念する人がいる。

<日本もロシアへ制裁>

欧米、特にアメリカは、ロシア政府要人に対する経済制裁を発動している。その対象は国ではなく、ロシア政府要人などの個人資産である。今日、そのリストが発表されたが、その中にロシアの首相も含まれていた。ロシア政府は「こうした処置は事態を悪化させるだけだ。」と非難している。

29日のニュースによると、日本政府も欧米と足並みをそろえる形で、ロシア政府関係者ら23人へのビザの発給を停止する措置を発表した。

日本はロシアとの関係改善をめざす方向だったので、これまでは欧米の経済制裁からは一線をひいた形をとってきた。しかし、ここへ来てもはや足並みをそろえざるを得なくなったようである。29日、ロシアは日本の制裁措置に遺憾と発表し、日本への対抗措置もありうると伝えている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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