新型コロナ感染拡大続く:1日で980人  2020.7.2

市民のマスク貼用を監視する警察(バットヤム) 出展:スクリーンショットhttps://www.youtube.com/watch?v=Ko13eb0oPqc

感染拡大止まらず

イスラエルでの感染拡大が止まらない。24時間の感染者が、29日773人、30日859人、7月1日980人と、ここ数日の間、急増を続けており、まもなく1000人を超えると懸念されている。

検査数が1万7980件と、以前よりも増加していることも一因と言われるが、検査した中での陽性率は、4.8%と、先週の2.7%から大幅に増加している。ロックダウンが解除された時には1%であった。

有症者も8483人と、実質、発症する人と、重症者も、57人(このうち24人が人工呼吸器依存)と、増加している。死者については、1日に一人死亡して322人となった。

www.timesofisrael.com/closures-in-lod-ashdod-as-cases-near-1000-a-day-new-restrictions-considered/

ヨーロッパでは、感染が少ない14カ国からの入国を認める動きが始まっているが、イスラエルは、アメリカ、ブラジル、ロシア、インド、トルコなどとともに入域許可国から外された。

www.timesofisrael.com/as-virus-cases-mount-eu-leaves-israel-off-list-of-countries-allowed-to-visit/

感染要注意地域:ブネイブラック、アシュドド、ディモナ、ロッド

Times of Israelが国内メディアの報告として伝えているところによると、今もやはり超正統派地域での感染拡大が深刻だという。ブネイブラックでは、ユダヤ教神学校イシバがクラスターになっている。

先週673人の陽性が判明した日のデータで、ブネイブラック(273)、アシュドドの超正統派地域(237)、ベンチシェメシュの超正統派地域(54)、ベイタール・イリット(51)、モディーン・イリット(31)、エラッド(27)となっている。

コロナ閣議による対策

1)シンベト(治安組織)対テロ監視システムをコロナ感染者同行監視に利用(3週間)を国会が可決

プライバシーの侵害への懸念から論議となっているシンベト(治安組織)の対テロ監視システムを利用した、携帯電話によるコロナ感染者の監視について、コロナ閣議に続いて、1日、国会もこれを可決した。システムの利用は、状況が落ち着くまでとし、今の所3週間とされている。

www.ynetnews.com/article/HkmtXv5C8

2)感染多数地域を”制限地域”に指定

アシュドド(超正統派3地域)、ロッド(超正統派地域)を明日から1週間制限地域に指定、ベイタル・イリットで教育施設、集会の制限

3)集会人数制限

①結婚式7/9までは250人まで、7/9-30まで、屋外なら250人まで、屋内は50人まで、割礼式は50人まで
②イベント会場:7/9まで250人まで、7/9-30までは屋外なら250人まで、屋内は会場の50%、最大100人まで
③礼拝:50人まで
④高等教育:試験時期にあたるが、試験はオンラインで行う。(特例あり)
⑤職場:30%はテレワークにすること

4)夏休み子供学校は許可

ギャランと教育相は、7月1日から予定されていた幼稚園と、1−4年生の子供達の夏休み学級を予定通り開校する方針を、コロナ閣議に提出。ネタにタフ首相と閣僚たちはこれを許可した。ただし教室には、最大35人であったところ、28人までとする。

この年齢の子供達は、増加している新規感染者のわずか4%であることから、この決断がなされた。(GPO(政府プレスオフィス)情報)

経済対策

イスラエルでは、まだ100万人が失業したままである。多くは観光に関係する労働者である。イスラエルでは、8月1日から一部の国と観光を再開する予定であったが、最近のコロナ感染拡大を受けて、延期される見通しとなった。

エルアル航空も予定されていたすべてのフライトのキャンセルと余儀なくされた。

こうした中、ガイド仲間(フリーの自営業者がほとんど)たちも、一昨日、首相府前で、観光関連業者への支援を実施するように訴えるデモを行っていた。

これを受けて、ネタニヤフ首相とカッツ財務相は、30日、自営業者への支援を20億シェケル(約600億円)にすると発表した。ここから支払われるのは、5−6月の間に、収入が60%以上減少した自営業者への支援などとなっている。また中級ビジネスへの支援としては、1000億シェケル(約3億円)と発表した。

(GPO(政府プレスオフィス)経由の情報)

*民間コロナ対策会議立ち上げ:右派等ベネット氏

野党右派政党のナフタリ・ベネット氏は、1日、政府のコロナ対策は不十分だとして、専門家からなる民間のコロナ閣議を立ち上げると発表した。

参加者は、元イスラエル軍作戦担当長官、元財務省アドバイザー、元財務省主任エコノミスト、統計と国際問題の専門家、疫学者、物理学者、法律専門家、自営業者代表、となっている。

www.ynetnews.com/article/rk7YxSqRL

コロナ疲れ

イスラエルでの感染者数は、日に日に大きくなっている。しかし、それに反比例するように、人々の関心がうすまっているのか、ニュースでは、下方になっていることも少なくない。人々がコロナ疲れ、または同じような絶望的なニュースに、心が麻痺してきているとの解説があった。(BBC)

www.bbc.com/future/article/20200630-what-makes-people-stop-caring

心理学的に、人は、犠牲者が一人の時は、感情移入したり、同情もできるのだが、2人、またそれ以上に膨大な数字になってくると、感情がその惨状に耐えられなくなり、麻痺してきて、もはや統計の数字にしか見えなくなるのだという。

さらには、感情が麻痺すると、他者への思いも麻痺し始めることになる。たとえば、シリア内戦の犠牲者の親子がいると聞くと、心を動かされて募金する人はいるかもしれないが、シリア人犠牲者25万人と聞いて、募金をする人は、あまりないということである。

今回、全世界で1000万人以上が感染し、50万人以上が死亡しているが、それよりも、ミネアポリスで警察の暴行で死亡したジョージ・フロイドさん一人への反応が世界的になったこともその一例だと記事は開設する。

また、コロナに対しては、人間は何もできないという屈辱に立たされているだけに、この件については、何かができると皆が思ったのか、行き場のない怒りを吐き出しているようにもみえる。

感情の麻痺は、健康な状況ではないとして、記事は、ニュースのチェックは1日に2回にするべきと言っているが、実際、コロナ危機が長引いてるので、自らニュースやテレビを見る機会を減らしている人も少なくないだろう。

しかし、コロナのような疫病の場合は、それが人々の気持ちを油断させて、さらに感染拡大につながる可能性があると上記BBCの記事は警告している。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。