新型コロナパンデミック:混迷深まる欧米諸国 2020.3.18

トランプ大統領とムニューシン米財務長官 出展:ホワイトハウス映像からキャプチャ

AFP=時事通信によると、18日2時現在であらたな感染者は1万4159人増えて、計18万9680人。死者は806人で、合計は7813人が新型コロナが原因で死亡した。

最も被害が大きいのは今もイタリアで、過去24時間の間に345人(計2503人)が死亡。スペインでは、200人(計533人)が死亡した。

国民の80%は感染すると,メルケル首相が、懸念を表明したドイツでは、感染者は9257人で死者は24人。企業も教会も集会は禁止されている。

フランスでは、感染者が6633人で、死者は148人。外出は、向こう2週間、食品を買うなどの必要不可欠時に限る上、政府の許可がある時に限られている。マクロン大統領は、国民に「これはコロナに対する戦争だ。」と述べ、国民に厳しい外出制限を指示し、危機感を持って対処するよう警告した。

外出禁止になる前、フランスでは、スーパーに人々が押しかける混乱となっている。

こうした混乱から、EU加盟国は、17日、向こう30日間、EU加盟国と、ノルウェー、スイス、アイスランド、イギリスは、非EU,非EFTA,非英国人の立ち入りを、暫定的に遮断すると発表。国境管理が始まっている。

これによりヨーロッパ圏内の交通に混乱が発生し、ポーランドに続くリトアニアからの道路で、60キロに及ぶ大渋滞が発生した。一方で、イギリスでは、人々が屋内にいるので、道路はほとんど空という事態になっている。

現在、ヨーロッパ諸国はそれぞれ、大胆な金融措置を行い、経済の破綻にむけた対処を行なっている。

こうした中だが、シリア難民が、イドリブ地方の混乱からトルコ、ヨーロッパへと流入しようとしている。この人たちにとってはコロナの感染拡大があっても行くところはないわけである。ヨーロッパがどんどん混乱に入りつつある。

<アメリカ大混乱:超大胆な経済政策>

www.youtube.com/watch?v=vvdjqrxSOFk (ホワイトハウス:トランプ大統領とムニューシン財務長官記者会見)

アメリカでは18日、感染者計5600人が、全50州で確認され、死者は100人を超えた。死者が最も多いのはワシントン州で54人。シアトルでは、高齢者施設で感染者がクラスターとなり、30人が死亡した。

ニューヨーク(人口860万人)では、少なくとも800人が感染したとみられ、7人が死亡した。クラスターの発生から、公立の1800校が閉鎖されたことから、小学生を含む110万人の子供達が学校に行けなくなった。

多くの親たちが仕事に行けなくなっている他、州が50人以上の集まりを禁じたことから、企業の休業、レストランやバーの閉鎖などで、失業者が急激に増えた。

地下鉄は乗車率が60%、その他の電車では90%減ったことから、国に40億ドルの救済措置を申請している。16日、ニューヨークの労働局には、失業保険の受給手続きをする人が押しかけた。9.11以来の混乱だという。ムニューシン財務長官は、3−5%であった失業率が、20%にまで悪化すると予測する。

www.timesofisrael.com/new-york-city-considering-stay-at-home-order-within-48-hours/

トランプ大統領は18日、景気刺激のためとして、ただちに、アメリカ人成人一人当たり、1000ドルの現金(チェック)を支給すると発表した。ムニューシン財務長官によると、こうした現金投入の他、ローンその他の経済支援は1兆ドルにものぼるという。

ムニューシン財務長官は、「今は非常事態である。大統領は、今仕事を一時中断し、屋内にいてウイルスの終息をはかるよう言われている。その分の経済は保証する。」と述べた。しかし、あまりにも大きな額なので、どこまで続くのかは不明で、国民の間に逆に不安が広がっているのではないかと思われる。

NHKは、経済危機から、強盗などの犯罪が発生することが予想されることから、人々が列をなして銃を購入する様子を報じていた。特に新型コロナが中国から始まったことから、アジア系住民の間に不安が広がっている。

なお、50人以上の集会が禁止となったため、ニューヨークの代表的な教会、Times Square Churchでも、日曜の礼拝ができなくなり、ネットを通じての礼拝と祈り会が続けられている。

<石のひとりごと>

世界中で様々なことが起こり、国ごとに様々な対処が行なわれている。それらをすべて、追うことは非常に難しい。ともかくも、ヨーロッパが相当混乱しているということと、特にアメリカに、暴力の可能性も含めた、何か末恐ろしい暗雲が立ち込め始めているようだということを知っていただければと思う。

トランプ大統領の経済政策が、なんとか成功すればよいが、あまりにも大胆なので、アメリカが破綻してしまわないうちに、コロナ危機が終息するようにと思う。

また、こうした混乱になると、歴史を振り返ると、ユダヤ人への反ユダヤ主義感情が頭角してくる可能性がある。これについても随時報告する。とりなされたし。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。