戦時下での安息日 2014.7.11

イスラエルでは、7日にガザへの作戦が始まってから、最初の安息日を迎える。ダビッド・ラウ・チーフラビは、イスラエル市民に対し、緊急事態においてどのように安息日を守るかを以下のように指導した。(世俗派には関係ないが)

通常、安息日に、ラジオやテレビは禁止だが、静かな音楽でつなぎながら、緊急連絡を流すFM放送は流してもよい。サイレンが鳴ったら、必ず安全なところへ逃げるように。興味本位に外で写真を撮る行為は罪である。

携帯電話も、バイブレーションにして大きな音が出ないようにしておき、緊急時には電話に出てもよい。

通常電気を着けたりけしたりは禁止だが、停電した場合に、緊急用電力のスイッチを入れてもよい。子供が怖がるなどの場合は、懐中電灯もOK.

緊急事態であるため、医師や看護師が、安息日に患者救出のために車を運転するなどの働きは、許可される。

<一般の人々の様子(南部でシェルターに入ったままの人々以外の都市部)>

ニュースを見ていると、国中がどんな戦場になっているかと思われるかもしれないが、ミサイルは飛んで来ているが、今のところ大きな被害はまだまだ数えるほどである。

人々は、予想以上に柔軟なのかどうか、警報が鳴っていない間は、いつもと同じ日常であることを読者にはお伝えしておきたい。

かといって、何もなく平和だったというわけではない。確かにミサイルが降って来て、確かにイスラエル軍は大きな戦争に向かおうとしている。しかし、日常は変わらない。いや変えようもない、と言ったところだろうか。

今日もアシュドドでの火災のニュースを見たあと、取材に出ようと戸を開けると、いきなり、アラブ人のおじさんが階段の踊り場のペンキを塗っていた。そばに大家さんがにこにこ顔で立っていて、「どう。きれいになっただろう。彼は良い仕事をしてるよね。」と全然普通に言っていた。このギャップ。力が抜けそうになった。

エルサレムのマーケットは、今日も、安息日前の買い物に来る人々で身動きがとれないほどに込み合っていた。今サイレンがなったらどうなるのだろうと思ったが、(記者としては残念ながら)そういう事態にはならなかった。

言うまでもなく、このマーケットの上にミサイルが着弾したら相当な大惨事になるはずである。しかし、人々がそれを考えているとは思えない。少しでも安くてよい肉と新鮮な野菜を買う。それだけである。

バスの中で、かなりの美人ぞろいでかわいい3人のティーンエイジャーの少女たちと、小さな末息子をつれている家族に会った。お母さんもまた相当な美人である。ノルウェーから来た旅行者だった。紛争が始まる前にきて、あと3週間滞在するという。

「危ないところには行かないようにしているから大丈夫。サイレンも2回ほどあったけど、まあそれだけのこと。」とにこにこと笑っていた。

ただし、別のエルサレム訪問中のノルウェー人家族は、サイレンでパニックに陥り、外に出られなくなっているらしい。やはり反応は様々なようである。

いずれにしても、イスラエルはあと2時間ほどで安息日入りする。今夜もサイレンは鳴るだろうか。地上軍は今週末、侵攻して行くだろうか。ガザ周辺にいる兵士たち、その家族たちは何を感じ、どのように安息日を迎えているのか。

それぞれが、安息日の主、イスラエルの神に心を向けてくれればと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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