左派イスラエル人400人がラマラでパレスチナ自治政府集会に出席 2019.11.30

11月29日は、1947年に国連総会が、イスラエルをユダヤ人の国(国連が定めた地域のみ)を認めた日である。これを記念して、この日、国際パレスチナ人に寄り添う日とされている。

パレスチナ自治政府が置かれているラマラでは、特別な集会が行われたが、テルアビブを中心にイスラエル全国から来た左派イスラエル人ら400人が出席した。左派閣僚もその中にいた。

www.timesofisrael.com/in-ramallah-hundreds-of-israelis-join-palestinians-to-unify-forces-for-peace/

<石のひとりごと:イスラエルの中の右派と左派>

筆者が知る限りであるが、これほど多くのイスラエル人が、パレスチナ自治政府のイベントに参加したという話は聞いたことがない。

ネタニヤフ首相が、意地をはるがごとくに、右派ブロックを形成し、左派の政治への参入を阻止しようとする背景には、昨今、左派が台頭しつつあるということがあるかもしれない。

イスラエルにとって、左派が危険なのは、人道主義という名目に乗って、イスラエル、またユダヤ人の首都としてのエルサレムを否定する点である。

ヨーロッパでは、反ユダヤ主義から、反イスラエル主義が加わって、”反ユダヤ主義には反対していたとしても、パレスチナ人を痛めつける”イスラエルを憎むことは、正義であるかのように思う人が増えている。

この流れはユダヤ人自身の中にもあり、特にイスラエル以外の国に住むディアスポラのユダヤ人の間で、右派に傾くイスラエル政府を敬遠する傾向がすすんでいる。イスラエル国内でも、特にテルアビブ住民の間で、右派に傾くイスラエル政府に反発する者が多くいる。

イスラエルでは、今はまだま右派を支持する人々の方が多いが、ガンツ氏とともに左派が強くなってきているので、将来、イスラエルの中でも右派を攻める左派が増え、最終的には右派がエルサレムで孤立するということもありえなくはない。

これと並行して、懸念されるのは、エキュメニカルな流れである。

日本でも、バチカンの教皇フランシスが、非常な熱狂をもって受け入れられた。フランシスは弱者をいたわり、平和を愛し、自国中心主義に警鐘を鳴らしつつ、宗教間の対話も説いている。この考えでいくと、ユダヤ教とエルサレムにこだわるユダヤ人右派は、嫌われるだろう。

聖書が預言するエルサレムにこだわるユダヤ人たちが孤立し、世界中から平和を乱す者として責められる日は、そう遠くないのかもしれない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。