季節外れ熱波で全国野火発生:ナザレ周辺で一時5000人避難 2020.10.10

イスラエル消防局

イスラエルは、9日から仮庵の祭り8日目、シェミニアツエレートと呼ばれる日、続いて10日は、シムハット・トーラーと呼ばれる秋の例祭の最終日になる。

この日はシナイ山で、イスラエル人たちが、律法を受け取ったことを記念する。通常なら、狭いシナゴーグ内で、男性たちがトーラーの巻物を抱えて踊りまわるのだが、今年はコロナのために、それも叶わないという異常事態になっている。

エルサレムの熱波日

そうした中9日、ハイファ、エルサレムでも、例年なら、10月には、26−28度になっているところ、まだ連日最高34度の真夏日が続いている。エルサレムでは、この夏、40度を超える日が3日続いたこともあり、熱波の日数が、40日と、昨年の倍近くになっている。

www.timesofisrael.com/israel-hit-with-rare-october-heatwave-as-sweltering-summer-refuses-to-fade/

この熱波を受けて、全国250カ所で、野火が発生した。特に被害が大きかったのは、イスラエル北部、ナザレ周辺である。燃え盛る火は、住宅地だけでなく、高速道路にまで迫る勢いで、北ガリラヤ地方、ナザレ、上ナザレの住民5000人が避難を余儀なくされた。

北ガリラヤ地方についで被害が大きかったのが、イスラエル中部、上モデイーン周辺。25カ所から出火し、家屋にも燃え移り、ヘリコプターなどによる救出も行われた。この他、北部のアラブ人地区、ウム・エル・ファハン周辺でも出火した。

今の所、どれも熱波による野火と考えられているが、西岸地区(入植地)周辺の野火は、パレスチナ人が便乗して放火した可能性も全く否定できないとのことで、捜査が進められている。しかし、パレスチナ自治政府内でも野火が発生しており、消火にあたっていたとのこと。

消防隊が足りなかったため、ネタニヤフ首相は一時、外国への支援も検討したが、今のところ、そこまではいかなかったようである。なお、イスラエルでは、2016年の大規模な山火事以来、隣国のギリシャ、キプロスと火災の際の相互支援の約束を構築しているとのこと。

www.timesofisrael.com/netanyahu-mulls-international-aid-plea-as-fires-force-thousands-from-their-homes/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。