世界大戦前夜のヨーロッパの様相?:緊迫するウクライナ情勢 2014.4.24

東ウクライナのドネツクで、親ロシア派がウクライナ政府関係省庁を占拠して数週間になる。ジュネーブで、アメリカとロシア,ウクライナと、ドネツクの親ロシア派が、一定の合意に達したものの、実際にドネツクでの省庁占拠を解く動きはなく、緊張は高まる一方である。

先にウクライナ軍が軍事行動に出て親ロシア派5人が死亡したが、次に、拷問された遺体が発見された。遺体はウクライナ暫定政府に関係する政治家であったことから、ウクライナ軍が再び”テロ対策”を進め、緊張が高まっている。

<にらみあう東西>

アメリカは、先のジュネーブでの合意にしたがって、ロシアに、ドネツクの親ロシア派を落ち着かせるよう要請しているが、ロシアは、クリミア半島を併合して以来、ウクライナやバルト諸国周辺などの国境に、4万のロシア軍を展開させたまま、大きな動きはない。

今週、アメリカは、キエフにバイデン副大統領を派遣し、アメリカのウクライナ暫定政権への支持を強調した。さらにアメリカは、NATO加盟国への支持と、ロシアへのメッセージだとして、ポーランドで軍事演習を行うと発表。24日、ポーランドにアメリカ軍の精鋭600人が到着した。この部隊は今年いっぱいは駐留する予定だという。

なぜポーランドかというと、今月初頭、ロシアがクリミア半島を併合して以来、ロシアがさらに進出してくることを恐れたエストニア、ラトビア、リトアニアとポーランドがNATOに地上軍を派遣するよう要請を出していたからである。

ヨーロッパからイスラエルに移住してきた、80歳代(?)の記者が、「まるで戦争前(ホロコースロ前夜)のヨーロッパのようになってきた。そのうち戦争になると思う。」と言っていた。

ところで、今回の東西のにらみ合いには、天然ガスがからんでいるといわれている。

ウクライナはロシアの天然ガスをヨーロッパに売らせてもらい、その収益で生きていた国だ。ところが、そのウクライナがガスの貿易自由化を宣言してしまい、ロシアのガスが格安で売られる可能性が出てきた。それは困るというのがロシアである。やはりウクライナをロシアにとりこんんでしまう方がいい。

一方、シェールガスが産出できるようになったアメリカにとっては、今、ロシアのガスがウクライナ問題で停止することは都合がいい。ロシアになりかわり、アメリカが、ヨーロッパにガスを供給する立場に立とうとしえいるという憶測もある。

<イスラエルはノーコメント>

イスラエルにはかなり多数のウクライナとロシア系のユダヤ人がいる上、ウクライナにはまだ6万人以上のユダヤ人がいる。ウクライナ問題は決して他人事ではない。アメリカは同盟国でもある。

イスラエルは基本的には親キエフの立場である。しかし、リーバーマン外相によると「イスラエルには十分すぎる問題がある」として、関与を避ける方針。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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