リオ・オリンピック開幕:イスラエル選手47人 2016.8.7

リオ・オリンピックが開幕した。イスラエルから派遣されているのは47選手。今回もメダルへの期待は柔道の3選手だ。

ヤルダン・ガルビ選手(女子27)、ウリ・サソン選手(男子25)、サギ・ムキ選手(男子24)はいずれもワールド、またはヨーロッパでのチャンピオンクラスだという。この他、以下の選手たちがメダル期待とされている。

女子レスリングのイラナ・カラティシュ選手(26)、タイコンドーのロン・アティアス選手(21)、三段跳びのハナ・ミメンコ選手(26)。

ミメンコ選手は、2012年のロンドン・オリンピックでは、ウクライナ選手として出場していたが、2013年に結婚してイスラエルへ移住したため、今回はイスラエル選手として、リオ・オリンピックに出場する。

また新体操ではイダ・マリン選手(19)、アロナ・コシェバツキー選手(19)、ユバル・パイロ選手(18)、エカテリーナ・レビーナ選手(19)、カリーナ・リクバル選手(18)

それぞれの選手の写真あり:http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4836913,00.html

<リオで、ミュンヘン・オリンピックのテロ事件追悼式典:国際オリンピック協議会>

3日、リオ・デジャネイロでは、国際オリンンピック協議会が、1972年のミュンヘンオリンピックでパレスチナ人テロリストに殺害されたイスラエル選手11人とドイツ人警官を覚える記念式典を行った。

事件が発生してから44年目になる。遺族は、IOC(国際オリンピック連盟)が事件を正式に追悼するまでに44年もかかったが、「これでようやくけじめがついた。」と語っている。

式典には、遺族2家族と、リオ・オリンピックに出場するイスラエル選手数人、ドイツとジョージアの選手が参加した。

www.timesofisrael.com/ioc-honors-israelis-slain-in-terror-attack-1972-olympics/

*ミュンヘンオリンピック・テロ事件 (Wikipediaより) https://ja.wikipedia.org/wiki/ミュンヘンオリンピック事件

1972年9月、ミュンヘンオリンピックの選手村へ、パレスチナ人テログループ「ブラック_セプテンバー」8人が侵入し、イスラエル人コーチ2名を殺害、9人を人質にとった。犯人グループは、人質との交換に、日本赤軍の岡本公三を含むパレスチナ人234人の釈放を要求した。

犯人グループは、エジプトへの脱出を要求。空港へ移動後、救出作戦に失敗し、移動に使用したヘリの中で、犯人1人が自爆したため、9人の選手もともに死亡してしまった。

イスラエルはこの後、ゴルダ・メイヤー当時首相の指示で、レバノン領内にあったPLO拠点10カ所を空爆した他、モサド工作員によって、ブラック・セプテンバーの関係者ら多数を暗殺している。

<いろいろ懸念のリオ・オリンピック>

今回のオリンピックは、ブラジルの経済悪化、治安の悪さ、ジカ・ウイルス、会計粉飾の疑いで現職大統領が弾劾、ロシアのドーピングなど、開催があやぶまれるほど問題の多いオリンピックとなった。しかし、5日、ようやく開幕を迎えた形である。

参加する国は207カ国、10500選手が出場する。最大のチームは選手554人からなるアメリカチーム。ロシアは、ドーピング疑惑で全員失格になりそうだったが、最終的に、389人中、271人が出場できることになった。

ブラジルの治安の悪さが懸念されるからか、50万人が観戦にくるものの、チケットは、750万枚中、100万枚以上が売れ残っているという。オリンピック開催中は、警察官85000人(55カ国)が治安維持にあたる。

金曜の開会式は、おおむね30億人がテレビなどで見ると推測されている。

www.bbc.com/sport/olympics/36974387

*テロ対策、犯罪対策

ヨーロッパで、ISISがからむ大きなテロ事件が続いている中でのオリンピックである。これほど全世界が注目するイベントはないことから、イスラム主義勢力が利用する価値は大きいと考えても不思議はないだろう。

ブラジルでは、7月25日、ISISに感化され、オリンピック中にテロを計画していたとされる12人が逮捕されている。12人は、特に組織的なつながりではなく、インターネットを使って集まったグループであった。

今の所、深刻なテロ予告はないが、ブラジルの諜報機関によると、聖戦主義者のネットのチャンネルでは、オリンピックを狙うよう、支持者らに呼びかけているものがあるという。

edition.cnn.com/2016/07/21/americas/brazil-olympics-terror-arrests/

しかし、こうしたテロもさながら、ブラジルの犯罪率もかなり恐ろしい。NYTによると、今年1月から5月までに、リオだけで、2100件の殺人事件が発生している。これは昨年からすると13%増だとのこと。

www.nytimes.com/2016/08/05/opinion/no-game-the-olympics-rio-and-terror.html?_r=0

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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