ガザからロケット弾計15発・2人負傷:和平合意式典時間中 2020.9.16

ガザへのイスラエル軍報復攻撃の様子 出展:ynethttps://www.ynetnews.com/article/ByGzpG1rv

式典時間中ガザからロケット弾

パレスチナ自治政府、ハマス、イスラム聖戦と、パレスチナ人指導者たちは、反発の姿勢を崩していない。ワシントンで、3カ国が合意に署名するのに合わせたとみられる時間、14日夜にガザからロケット弾が2発、発射された。

1発はアシュドドの通りに着弾し、車両数台、付近の店舗のガラスが割れるなどの被害が発生。2人が負傷。1人は62歳男性で、上半身にロケット弾の破片を受けて中東度の負傷。もう一人は28歳男性で,四肢に軽傷とのことであった。

このほか、多数がショックで手当てを受けた。もう1発はアシュケロンに向かっていたが、迎撃ミサイルが撃墜した。

www.timesofisrael.com/gaza-flogged-for-rocket-attack-during-white-house-peace-bash/#gs.fpm1n1

さらに署名後になる15日朝、4:30−5:00の間にも、計13発のロケット弾をイスラエル南部、アシュドド、スデロット、エシュコル地方に向けて発射した。このうち8発をアイアンドームが撃墜。残りはどこに着弾したか不明だが、南部住民は、早朝に、5回の警報でたたきおこされたとのこと。

このほか、ガザからパレスチナ人がイスラエルへ侵入して逮捕されたが、ロケット弾攻撃と関係があるかどうかは不明。

www.timesofisrael.com/two-hurt-from-gaza-rocket-fire-as-israel-signs-historic-accords-in-washington/#gs.fpm6ed

さらのこの数時間後の早朝4:30−5:00、ガザはロケット弾13発をスデロット、エシュコル地域に向けて発射した。このうち8発は、アイアンドームは撃墜し、残りは、空き地などに着弾したもようで、被害はでていない。しかし、住民は早朝に少なくとも5回の警報に叩き起こされた。

イスラエル軍は、攻撃の直後に2回、ガザ10箇所への報復攻撃を実施した。ガンツ防衛相は、今後、パレスチナ人が過激になることに備え、

イランに近づくしかない?ハマス

パレスチナ人は、湾岸諸国が宿敵イスラエルと甘い和平を交わすのを見て、もはや頼れるものはイラン側勢力であると察した可能性がある。

このガザからイスラエルへのロケット弾攻撃は、明らかにワシントンでの和平合意署名の時間であった。この攻撃はイランの支持で行われたと考えられる証拠が挙げられている。

たとえば、イランのメディアが、あまりにも早く、詳細にガザからイスラエル南部への攻撃を封じていたことである。またこの時間、イラン国営放送Farsでは、ワシントンからのニュースは最小限で、ガザのロケット弾攻撃の方を大きく封じていたという。

イランが、市民の目をはぐらかすために、ガザからの攻撃を糸を引いていたのではないかとの見方がある。

www.jpost.com/middle-east/iran-in-the-shadow-of-the-peace-deal-missile-fire-on-israel-from-gaza-642395

トルコ、レバノンで存在感を拡大するハマス

ハマスは、イランだけでなく、最近は明らかにトルコやヒズボラに与する動きを見せている。先月、トルコが、ハマス幹部らにトルコの市民権を与えたと伝えられた。トルコのパスポートを持つハマス幹部は、EU域内を堂々と移動できるようになると懸念されていた。その後、トルコのパスポートを得たハマス幹部は、レバノンにも長期滞在しており、ヒズボラとの関わりも懸念されている。

なお、ハマスはスンニ派、トルコもスンニ派、ヒズボラ、イランはシーア派だが、同じ敵を前に、手を組んでいるともみられている。

そのトルコだが、エルドアン大統領は、かつてのオスマントルコ時代の栄光を目指していると言われているように、今、同時進行で、シリアとの国境でクルド人を攻撃したり、リビアから地中海のエネルギー源を視野に入れた影響力拡大の動きがみられている。

アメリカ、イスラエルと組む国々、対するイラン、トルコに加わる組織たちと、中東は2極化がすすみつつある。以前にも紹介したが、やはり、エゼキエル38章の形に近づいていると言えるだろう。

www.jpost.com/middle-east/turkeys-ambitions-in-libya-and-eastmed-again-in-spotlight-642087

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。