ハイチでアメリカ人宣教師ら17人誘拐:支援団体が祈り要請 2021.10.29

ハイチ共和国で、アメリカ人宣教師とその家族17人が、武装集団に誘拐され、アメリカに一人100万ドルの身代金を要求。支払わないと殺すと宣告してから10日を超えた。

派遣団体が、世界に祈りを要請している。

暗黒のハイチ共和国

ハイチ共和国は、カリブ海の国である。島をドミニカ共和国と共有しており、島の3分の1がハイチ共和国である。

ドミニカ共和国が、1844年にスペインから独立して今では観光も可能な平和な国であるのに対し、ハイチ共和国では、貧困と正常不安による混乱が続いている。

個人的にアメリカに在住するハイチ人の知人から聞いていたところによると、市民の95%がアフリカ系で、得体のしれない悪魔崇拝などが横行し、霊的にも相当に暗黒な国だと聞いている。

以前から食料不足や治安の悪化が問題となっていたが、近年では、2007年に豪雨災害、2010年には大地震と自然災害が続いた。食糧難はさらに悪化し、多くの武装集団が横行するようになった。こうした中、今年7月、モイーズ大統領が武装集団に暗殺され、国はいよいよ無政府状態となっている。

www.jiji.com/jc/article?k=2021070701164&g=int

このような苦難にあるハイチで、アメリカ人(16人)とカナダ人(1人)宣教師たちが、人道支援をしながら、宣教活動を行なっていた。

16日に誘拐されたのは、子供5人(8ヶ月、3歳、6歳、13歳、15歳)を含む17人(男性5人、女性7人の18-48歳)。犯行は、誘拐事件を多数引き起こしているギャング集団”400マオゾ”である。

400マオゾは、アメリカ政府に、一人100万ドル(1億1000万円)、計20億円近くを要求した。支払わない場合は殺害すると予告しており、緊張の中、FBIが交渉を続けている。

なお、ハイチでは、最近、誘拐して身代金を要求する事件が頻発するようになっており、外国人だけでなく、ハイチ人たちも誘拐事件の犠牲になっているという。

この宣教団体は、住民たちへの人道支援を行なっていたので、ハイチ人住民たちがアメリカ人を解放するようのデモを行ったりしていたが、誘拐された宣教師とその家族たちは、まだ解放されていない。

www.cnn.co.jp/world/35178281-3.html

保守バプテスト教会宣教団体のハイチでの活動

派遣した宣教団体”Chrisitan Aid Ministry”は、保守派バプテストの団体で、ハイチでは1981年から活動していると言う。家を建てたり、貧困にある人々への人道支援とともに、聖書を配布しながら福音伝道を行なっていた。

団体は、今も主が全てを支配しておられると宣言しながら、世界中に祈りを要請している。

今回アメリカが、身代金を払うかどうかだが、もし払った場合は、今後世界中の宣教師が誘拐の危険にさらされることになる。かといって、17人を見捨てることもできず、アメリカには、非常に難しい決断となっている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。