ドルーズ族がイスラエル軍救急車襲撃:搬送中の負傷シリア反政勢力戦闘員へリンチ 2015.6.26

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4671371,00.html

北部ゴラン高原でドルーズ族らが、22日、イスラエル軍の救急車を襲撃。搬送中だった2人のシリア反政府勢力のアル・ヌスラ戦闘員負傷者のうち一人がリンチされ死亡するに至った。イスラエル兵も1人負傷している。

イスラエル軍はただちに捜査を開始。これまでにドルーズ族9人が逮捕されている。

<ゴラン高原のドルーズとシリア内戦>

ドルーズとは、イスラム教から分派し、独特の宗教になったもので、イスラム世界とは敵対する宗教、人々である。

ドルーズ族は、今のシリア・イスラエルの国境付近に住んでいたため、1967年の六日戦争でゴラン高原がイスラエル支配域になると、シリアとイスラエルに分断されてしまった。シリアにいるドルーズはシリアに、ゴラン高原のドルーズはイスラエルの支配域の下に入ったのである。

1981年、イスラエルは、ゴラン高原のドルーズに市民権を提供すると申し入れた。しかし、いつかはシリアに戻ると信じているドルーズはこれを拒否。今に至るまで、永住外国人の立場でゴラン高原に住み続けている。

ゴラン高原のドルーズは、イスラエルのハイファ大学で学ぶことも、シリアのダマスカス大学で学ぶこともできる立場であることから、高学歴の人は多く、生活水準は悪くない。

またドルーズたちは、イスラエルを憎んでいても暴力には訴えないので、西岸地区のようにイスラエル軍が駐留するような事件は発生していない。しかしドルーズたちは「静かな占領だ」とイスラエルに対する反発心は持ち続けているといった状況がもう40年以上になっている。

ドルーズ族は、シリアのアサド大統領に優遇されてきたため、基本的にはアサド大統領支持の立場をとってきた。しかし、シリアの内戦が混乱をきわめるにつれ、ゴラン高原のドルーズたちの立場も微妙になってきている。

多くの家族が、今もシリア領内に家族親族を抱えており、イスラエル側へなんとか連れ戻したいと考えている。

先月シリア領内で、10人のドルーズが、ISISに虐殺された。これをうけて、ゴラン高原のドルーズたちは、イスラエルに対して、シリアにいる家族救出のために介入を求めるデモを行っている。

こうした流れの中での、今回の救急車襲撃事件の発生だった。

現在、ゴラン高原のシリア側では、シリア軍勢力と、反政府勢力のアルカイダ系アル・ヌスラ、ここにISISも加わって三つどもえで戦闘が繰り広げられている。その中でも優勢なのがアル・ヌスラとみられている。

そのアル・ヌスラの負傷兵をイスラエルが救出し、救急車で領内の病院に搬入し、治療しているのである。未確認情報ではあるが、イスラエルは、アル・ヌスラと、負傷戦闘員の手当をする代わりに、イスラエル領内へ介入しないよう、取引をしていると言われている。

これがドルーズには気に入らないのである。しかし、ドルーズは基本的に暴力には出ない人々である。ドルーズの指導者たちは、「こんな行為は我々のやり方ではない。」と緊急に会議を開き、落ち着きを呼びかけている。

<シリアで攻撃態勢:コバネに戻って来たISIS>

BBCやYネットによると、ISISは、シリア全国で、シリア政府軍や、クルド人勢力への攻撃態勢に入ったもようである。

今年1月に、アメリカ有志軍の支援を受けてクルド勢力がISISから奪回されたトルコとの国境、コバネに、再びISISが入って、市内で激戦になっているという。

南部では、ヨルダンとの国境付近では、ここ数ヶ月の間、シリア政府軍が支配域を拡大していたのだが、24日夜からISISの攻撃が始まり、そこでも激戦になっている。

*コバネの壮絶な破壊”黙示録的”と表されているビデオあり ://www.bbc.com/news/world-middle-east-33266399

人間はどこまで殺し合いと破壊を続けるのだろうかとためいきが出る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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