米下院でトランプ大統領の弾劾訴追を可決 2021.1.14

トランプ大統領弾劾について投票する下院 スクリーンショットhttps://www.bbc.com/news/world-us-canada-55656385

トランプ大統領弾劾に関するニュースは、イスラエルのメディアでも各社トップで報じられている。

トランプ大統領、2回目の弾劾追訴へ

ペロシ下院議長を中心に民主党が、トランプ大統領罷免、弾劾と矢継ぎ早に、トランプ大統領の失脚措置を行っている。12日、下院は、まず罷免(退任させる)ことで可決し、ペンス副大統領にトランプ大統領を罷免するよう要請した。しかし、ペンス副大統領はこれを拒否した。

このため、13日、ペロシ下院議長は、トランプ大統領を、暴動扇動の罪で裁くための弾劾訴追を行うかどうかの審議を下院にて実施。結果、賛成(弾劾裁判するべき)232票、反対197票で可決した。

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これを受けて、トランプ大統領の弾劾訴追を行うよう、上院に申し入れることが決まった。弾劾裁判を2回も受ける大統領は、アメリカ史上初である。

前回は、一昨年2月、ウクライナ大統領に不適切な圧力をかけた疑いで弾劾訴追となったのだが、上院の過半数が共和党であったことから、弾劾は否決され、トランプ大統領は無罪となったのであった。

ところが、今回は、先週のジョージア州議員選挙で、2議席を民主党がとったことから、民主党が過半数になっている。今回は、トランプ大統領が、弾劾になる可能性が高い。

上院での弾劾裁判の日程だが、民主党のシューマー上院院内総務は、上院の休会が明ける1月19日、バイデン大統領就任式の1月20日の前で推し進めている一方、共和党のマコネル上院院内総務は、スムーズな政権移行が優先だとして、20日以降に行うべきとの考えを明らかにした。

実際には、19日から再開される上院で19日に弾劾裁判を実施するのは無理なので、20日政権交代以降になるとみられる。トランプ大統領は、任期満了まで在職する見通しである。

民主党のシューマー上院院内総務は、弾劾裁判においては、トランプ大統領の有罪にとどまらず、2度と大統領候補として立候補できないような形での弾劾になると表明している。これは、4年後に、大統領選挙で立候補して再起を目指すトランプ大統領には痛手になるだろう。

トランプ大統領から離反する共和党議員たち

下院で、トランプ大統領の弾劾裁判に賛成票を投じたのは、民主党議員だけではなかった。トランプ大統領の味方であるはずの共和党議員からも、党3位のリズ・チェイニー議員を含む10人が賛成票を投じていた。

議会への乱入事件以降、トランプ陣営から離反する共和党議員が相次いでいるもようである。また、まもなく行われる弾劾裁判を前に、上院で、共和党院内総務を務めるマコネル氏自身が、トランプ氏についてどう考えているのかが注目されている。

マコネル氏側近の情報として漏れ聞こえてきたとして、伝えられたところによると、マコネル氏は、トランプ大統領は有罪であると考えているもようとのこと。つまり弾劾に賛成ということである。

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トランプ大統領は今、非常に苦しい立場にある。しかし、民意を見ると、今もトランプ大統領を支持する人は決して少なくない。ホワイトハウス前でトランプ大統領支持を表明した群衆は、1万人の予定が、3万人にまでふくらんでいたのであった。

トランプ大統領をめぐる政治的な動きに反発して、20日までの間に、50の州で、トランプ大統領支持派による暴動が発生する可能性も指摘されており、各地で治安部隊が警戒にあたっている。

トランプ大統領は暴動を扇動したか

では、トランプ大統領が本当に暴動を扇動したのかだが、さまざまなメディアの報道によると、そう見える部分が強調されているようにも見える。

弾劾裁判で引き合いに出されるのは、乱入前に、ホワイトハウス前で行われていた「Save America」ラリーで、トランプ大統領が、3万人の大群衆を前に、何を言っていたかである。

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また、議会への乱入が始まった際、トランプ大統領が、治安部隊に出動命令を出さなかったため、ペンス副大統領があわてて指示を出したという経過も引き合いに出されている。

後に、トランプ大統領自身は、ホワイトハウスから、国民に対してのメッセージを出し、暴力には反対することを明確に表明。議会に乱入した者たちは、自身の支持者ではない、むしろ妨害していると述べた。

トランプ大統領の立場はかなり難しくなっているといえる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。