チャールストンの教会・超満員の日曜礼拝 2015.6.22

www.nbcnews.com/storyline/charleston-church-shooting/charleston-shooting-church-reopens-service-nation-chimes-along-n379231 NBCニュース

主任牧師を含む9人の教会員を、失った米サウスカロライナ州チャールストンの教会では、事件から4日目の21日、いつものよに日曜礼拝が行われた。

教会は、サウスカロライナ州知事、チャールストン市長の他、特別配備の警備員たち、また犠牲者家族が犯人に対する赦しを表明した事に感銘して教会員でない人も礼拝に出席するなど、教会は人であふれ、外でメッセージを聞いた人も多くいたほどである。

教会員とみられる男性は、NBCのインタビューに答えて、今日多くの人々が来ていることについて、「ここは主の教会だから、だれも追い出されることはない。今日しか来ない人もいるだろう。それでもいい。今日は地域に癒しの機会になるだろう。」と語った。

実際、事件のあったバイブルスタディの日も、新来者として入って来た犯人は快く迎えられ、1時間は学びを共にした後、犯行に及んでいたという。

事件からまだ4日目で、痛みもまだまだ新しい。しかしさすが、多くの苦しみを乗り越えて来た黒人の教会だ。悲しみにしおれたり、怒りに支配されるのではなく、教会前で、にぎやかな賛美を歌い踊って、主の日に「主に向かって喜びの声」(詩編100編)をあげた。

またNBCによると、全国で100以上の教会が、礼拝開始時間の10時に一斉にチャーチベルを鳴らして、この教会を支えた。犯行直後に犯人に赦すと宣言した犠牲者家族やその後の教会の様子が、多くの人々や教会に感銘を与えたと伝えられている。

礼拝では、ノーベル・ゴフ牧師が「この日は主がつくられた。この日を喜び、楽しもう。」(詩編118:24)と宣言。教会員らも立ち上がって「アーメン!」と応答している。

ゴフ牧師は、詩編46編「神は我らの避け所。また力。苦しむとき。そこにある助け。それゆえ我らは恐れない。」からメッセージを語った。今は犠牲者家族に目をむける時だと語った。

また、これから警察が正しい対処をすることを期待すると語り、「これからの道はけっして容易くない。しかし、共ににより安全な町にしていかなければならない。私たちが立ち止まってしまえば悪が勝利する。」と語った。

ゴフ牧師の迫力ある形相とメッセージからは、怒りに対する必死の思いが感じられる。「これまでの数日は厳しい道のりだった。怒りを持っている人もいるだろう。しかし、主はこれまで私たちを支えてくださった。

今、犠牲となった9人が望んでいるのは、私たちがよりよい社会を作る事だ。」と叫び、暴力に厳しく釘をさしているようにも聞こえた。

「多くの人々が私たちが暴動に出ると思っている。しかし私たちは信仰の群れだ。私たちが、(黒人蔑視の現実という問題解決にむかって)共に考え、共に働くとき、イエスの名によって不可能なことはないと信じている。」と語った。

NBCの報道によると、礼拝後、教会の外では、証や発言の場が設けられたようである。ある男性は、「これから暴力に訴えようとする者が出て来るかもしれない。その人々のために祈れ。」とよびかけた。

また、その男性は続いて「私たちは罪によってイエスから離れている。私たちがした事だけではない。ほんとうのあなたがどういう人間なのかも吟味しなければならない。隠していても主はしっておられる。それらをすべて悔い改めなければならない。しかし、イエス・キリストはあなたを愛しておられる。」と福音を語った。

礼拝の後、事件で母を失ったウォリトリーナ・ミドルトンさんは、「私たちはそれでも立ち上がる」とするバナーをかかげて仲間たちとともにデモ行進を行った。http://www.bbc.com/news/world-us-canada-33214205 BBC

ミドルトンさんは、白人社会の中で少数派の黒人たちが、今も弱者の立場にあり、身の危険もあるということを経験してきたという。白人を憎んではいないが、賢く生きるすべを身につけなければならなかったと語る。

この現状に対し、ただだまっているのではなく、改善のために働いて行く必要があると語っている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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