ジェニンで16歳パレスチナ少女死亡:すばやく遺憾を表明したガンツ防衛相 2022.12.15

イスラエル軍は、西岸地区のパレスチナ人の間で活発になっているイスラエルへのテロ、敵対行為とその計画を事前に摘発するため、日夜、踏み込み捜査を行なって、逮捕する作戦を続けている。パレスチナ自治政府が動かなくなっているからである。

このため、イスラエル治安部隊にも死傷者が出ているが、パレスチナ人の方にかなり多くの死者が出ており、両者の衝突はエスカレートし続けている。

こうした中11日夜も、西岸地区のジェニンにイスラエル治安部隊が踏み込み捜査に入り、パレスチナ人とイスラエル軍の衝突になりながら、18人を逮捕して、撤退していった。

その後、パレスチナ系メディアが、イスラエル軍が撤退した後、ジャナ・マディ・アサム・ザカルナさん(16)が、自宅の屋根の上で、頭を撃ち抜かれて死亡しているのが発見されたと伝えた。この日、ザカルナさん意外に3人のパレスチナ人が負傷していた。後に、イスラム聖戦がこの日の攻撃を認める声明を出している。

この報道を受けて、イスラエル軍が調べたところ、この日、屋根の上からイスラエルの部隊に向かって銃撃する者がいたため、発砲し返していたことがわかった。その時の銃撃が、近くの屋根の上にいたザカルナさんに当たった可能性が高いということを認めた。

ただし、ザカルナさんは、この時、警備隊の動きを見張ったり、撮影したりして、イスラエルの部隊を攻撃する者に伝えていたもようである。

ガンツ防衛相は、イスラエルの部隊は危険なテロリストの逮捕に行っていただけなのに、ザカルナさんが死亡したとして、遺憾を表明するとともに、状況を詳しく捜査していると発表した。いうまでもなく、世界のメディアは、イスラエルが16歳少女を殺したといっせいに報じた。

www.timesofisrael.com/idf-reportedly-believes-teen-palestinian-girl-accidently-killed-by-troops-in-jenin/

ザカルナさんがなぜそんなところにいたのかを考えれば、攻撃に協力していたことは否定できないだろう。それでも理由はどうあれ、16歳の少女が死亡したとなると、いかなる理由も通り越して、悲劇と感じざるをえない。母親はどうしているのだろうか。やりきれない思いである。

ガンツ防衛相が素早く遺憾を表明したことも、そういう点が背後にあるようにも思う。憎しみからはなにもよいものは生まれない。それがわかっていても、人類は喧嘩をやめられないわけである。。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。