シリア:戦闘機でアレッポを攻撃 2012.7.25

20日以降、シリア第二の都市で、世界遺産もあるアレッポで激しい戦闘が行われ、自由シリア軍(反体制派民兵軍)が町の各所を占領したと伝えられていたが、昨日、親政府軍は、戦闘機を使って巻き返しを図っているもよう。戦闘機が使われるのは初めてで、町の破壊は激しい。

また昨夜3時ごろ(日本時間朝9時ごろ)、政府軍は、首都ダマスカスから8キロ北の町テルを激しく攻撃した。テルは、反体制派が解放し、比較的安全だったため、ホムスなど他の町からも避難民が集まっていた。夜中就寝中の攻撃で住民たちはパニックとなり、山へ逃げたと報告されている。

シリアの内戦は、だんだんダマスカス、アレッポの二都市に集中しはじめており、アサド政権が追いつめられてきているのではないかと考えられている。

懸案の生物化学兵器だが、シリア軍は国境近くに分けて移動させており、使用できない状態で保管されているという。

*シリアの死者はこれまでに19000人以上。国内で難民となっている市民は150万人。国外に避難した難民は、トルコに42600人、ヨルダン34700人、レバノン29900人、イラク7500人となっている。

<シリアの駐キプロス大使も離反>

アレッポへの攻撃を受けて、シリアの駐シリア大使が、昨日、離反を表明。政府から離反する大使は、シリアの駐イラク大使ファレス氏についで二人目。アメリカのクリントン国務長官は、「今からでも遅くない。アサド大統領は、政権を移行機関へ委譲するように」との声明を出した。

<イスラエルから>

シリア情勢を注意深く見守っている諜報機関だが、シリア政府自体がイスラエルを攻撃してくる可能性は低いと伝えた。ガンツ・イスラエル軍参謀総長も、もし現時点で(生物化学兵器問題で)シリアを攻撃したら、イスラエルは地域を巻き込む戦争に巻き込まれるとして、攻撃が現実的でないとの見解を発表した。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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