シャブオット(7週の祭)とコロナ対策 2020.5.28

ブネイ・アキバ・イシバ訪問中のリブリン大統領 出展:Mark Neyman (GPO)

イスラエルでは、28日日没から29日日没まで、過越の祭から7週目(50日目)のシャブオット(7週の祭)を迎える。ずっとコロナに振り回された50日であった。今もまだ、コロナ渦から脱出しはじめたばかりである。

*シャブオット

3300年前、過越を終えて、エジプトから出てきたイスラエル人一行がシナイ山に到着し、そこで、十戒(律法)を受け取ったことを記念する。このため、ユダヤ教のシナゴーグでは、通常、夜を徹した聖書朗読、勉強会が行われる。

もう一つの記念は、聖書のレビ記に書かれているように、過越から収穫から始まったオメルを数える(大麦をささげる)、7週目のシャブオットには小麦が最初に捧げられることから、収穫祭の意味合いも持つ。このため、ルツ記が朗読される。

シャブオットでは、小麦のパンとともに、収穫された果物、特にチーズなどの乳製品を食べる日となっている。おいしいチーズケーキが出回ることになる。

www.chabad.org/library/article_cdo/aid/609663/jewish/What-Is-Shavuot-Shavuos.htm

農業従事者を励ますリブリン大統領
出展:Mark Neyman (GPO)

この例祭は、過越、仮庵と並んで三大例祭のひとつとされるが、現代国家イスラエルにおいては、国民の祝日ではないので、バスも店も稼働する。

27日、シャブオットに先立ち、リブリン大統領が、キブツ・クファル・ハロエのイシバ(ユダヤ教神学校)を訪問した。またクファル・ハロエの農家を訪問して励ました。

<シャブオットを迎えるイスラエル:コロナ関連ニュース>

1)テルアビブのレストラン:95%稼働

イスラエルでは27日夜、ロックダウン以来2ヶ月ぶりに、レストランやバーも再開が可能となった。ネタニヤフ首相は、26日、市民にむかって、責任ある行動をとりつつ、楽しむよう呼びかけた。

テルアビブ、エルサレムといった都市では、日中はまだ店舗の半数はまだ閉まったままであったが、夜になるにつれて、人の流れが出始めて、チャンネル12が封じたところによると、テルアビブでは12万人が外出。レストラン、バーでは95%の稼働率となった。

しかし、入り口には消毒液、給仕たちはマスクを着用し、客も間隔(1.5メートル)を空けての着席であった。国の規定では、100人までの収容の許可がある店舗では、100人動員可能だが、それ以上になると、客席は85%までとなっている。規定違反の罰金は2000シェケル(6万5000円)。

エデルステイン保健相は、レストランやバーの開店許可について、「ホリデー(シャブオット)ギフト」だと言ったとのこと。

www.timesofisrael.com/tel-aviv-restaurants-bars-packed-on-first-night-open-since-virus-shutdown/

2)学校は夏季休暇を短縮される?

イスラエル教育省では、規制の解除がすすんでいるが、学校の教師の感染が明らかになり、子供達が自宅待機に戻るといったことが発生している。エルサレムでは、27日、高校生2人の感染が明らかとなり、学生57人が自宅待機となった。

様々な混乱がある中、教育省は、夏休みについて、1−4年生は7月13日まで、サマースクールで学ぶ子供たちは、8月6日まで登校する案を出している。(イスラエルでは、通常7−8月と夏休みは2ヶ月)

これに対し、教師たちは、コロナで自宅待機中、オンライン授業を行っていたとして、その間の給与を求めると言っている。

www.ynetnews.com/article/BkXtuhisL

3)第二波に備える・・必要なし?

イスラエルは、新型コロナパンデミックが始まると同時に、早期から国のスパイ組織モサド(ヨシ・コーヘン長官)まで動員して、医療に必要な物品を買い集めまくった。正式な国交のない湾岸諸国からの購入もあったと言われている。その内容について、モサドが公開した。

保護ゴーグル250万組(550万組はこれから到着予定)、8000万枚の外科用マスク(1億4200万枚はこれから到着予定)、130万枚のN95マスク(1400万枚到着予定)、ゴム手袋1800万組、消毒液30トン以上、防護ベスト400万枚、検査キット200万個以上が準備できている。

人工呼吸器は1300台(6月と10月に4700台到着予定)を調達。これに加えて自国で製造した人工呼吸器が、7月までに3500台揃う予定で、10月までには、人工呼吸器1万台近くが準備完了となる予定である。

これは人口920万人の国としては相当な量である。*日本の人口はイスラエルの約13倍だが、大人用人工呼吸器は約3万台。子供用が1万5000台。(日本集中治療医学会2020年3月9日データ)

また、モサドは、また、日本のアビガンなど、世界中で治療薬として注目されるもの47種類を調達。イスラエルではそれらをもとに、治療薬の開発がすすめられている。

www.ynetnews.com/article/HJtcQIqsL

加えて、イスラエル国内では、簡易で精密度の高い検査キットや、再生可能なマスクの開発が相次いでいる。また、第1波中から進められていた、AIやロボットを活用した遠隔医療のさらにすすめて、院内感染の危険性の少ない形を追求、「未来の病室」として、世界にも発信している。

www.timesofisrael.com/high-tech-patient-room-of-future-aims-to-give-israel-edge-in-covid-19-2nd-wave/

SHEBA ARC MSR 26 MAY 2020

The Sheba Medical Center at Tel Hashomerさんの投稿 2020年5月26日火曜日

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。