ケリー米国務長官の中東、仲介活動アップデート 2013.4.10

トルコの次にイスラエルを訪問したケリー国務長官。これまでにラマラのアッバス議長、ペレス大統領、ネタニヤフ首相それぞれと会談し、9日夜、アジアへ向かって移動していった。今回の中東訪問での進展は以下の通り。

1.パレスチナ問題について・・・なんらかの動きあり???

エルサレムポストによると、アメリカとイスラエルが協力して、西岸地区で、なんらかの新しい経済プロジェクトが計画されているもよう。ケリー氏は、現時点ではメディアには公表しないと言っている。

ネタニヤフ首相との会談後の共同記者会見においてケリー氏は「それぞれが、これからの数週間、”宿題”をすることになった。進歩はあったと言える。」と語った。

<ネタニヤフ首相に不信感満々のアッバス議長>

ケリー氏とアッバス議長との会談については、アッバス議長の中に、「いくら話し合いをしても、ネタニヤフ首相は結局なんの譲歩もしないだろう」という不信感が強く、現時点では、直接交渉実現への前進はみられていない。

不信感満々のアッバス議長は、「2国家解決」を支持するというなら、イスラエルはどんな国境線を思い描いているのか、地図で提示するよう、ネタニヤフ首相に求めた。

また、どこまでネタニヤフ首相が譲歩する気があるのかを確かめるため、たとえば東エルサレムのパレスチナ自治政府の拠点であったオリエントハウスの閉鎖を解くなど、実質的な誠意をまず示すことが条件だと言った。

ネタニヤフ首相は、国境線については治安状況など話し合いで決まっていくものであり、話し合いの前に提示することはできないと返答した。

ネタニヤフ首相は、一時的な和平ではなく、恒久的な和平をめざすと語り、なんらかの方策があるような含みのある発言をしている。その上で、パレスチナ側に求めるのは、まずイスラエルの存在と治安の必要を認めることだと語った。

*ユダヤ人テロリストも終身刑

イスラエルはパレスチナ人テロリストはかんたんに逮捕するのに、パレスチナ人に対してテロを行うユダヤ過激派は逮捕しないとの批判が出ている。

9日、イスラエルは、パレスチナ人2人を殺害、他に殺人未遂もあるユダヤ人テロリスト、ヤコブ・タイテルに対し、終身刑2回分と、犠牲者への賠償金の支払いを命じた。

2.イラン問題について・・・時間切れ近づく

先週行われた国際社会とイランとの直接会談は、予想された通り不発に終わった。今回は次回会合の日程さえも決まらなかった。ケリー米国務大臣は「時間切れが近づいている。」と語った。

ネタニヤフ首相と会談したケリー国務長官は、改めてイランを核保有国にしてはならないこと、今も外交的解決に希望をおいているが、永遠に待つということではないと語った。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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