ガザ少年4人死亡・5時間の人道休戦へ 2014.7.17

16日、作戦開始後から9日目。ガザからの報告によると、ビーチで遊んでいたガザの少年4人(9才、10才2人、11才1人)が、イスラエル海軍の砲撃で死亡した。

少年2人の父親をはじめ、ガザのパレスチナ人の怒りが大爆発している。イスラエル軍は、現在、事情を調査中で、もしこれが事実なら、悲惨なことだと言っている。

イスラエルは、16日も継続してガザの武器関係箇所などを空爆。ガザからの発表では、16日だけで23人が死亡。作戦開始から220人が死亡した。(BBC)

<国連:人道的休戦(5時間)を要請、双方受け入れへ>

上記事件発生後、国連は、双方に対し、17日朝10時から15時(日本時間16-21時)までを人道的休戦として受け入れるよう要請。イスラエルはこれを受け入れると発表した。続いてハマスも、受け入れると発表した。

*人道的休戦とは、この間に必要物資を搬入し、ガザ市民の困窮を緩和することが目的の一時的停戦。

イスラエルは、17日、代表団をカイロに派遣する。代表団には、パレスチナ自治政府との交渉にも加わっていたネタニヤフ首相側近のモルホ氏の名前も。http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/182994#.U8cLEqW9DCs

<国際法の専門家ロビー・セーガル教授/ヘブライ大学>

セーガル教授によると、民主国家イスラエルには、戦時下における国際法を遵守する義務がある。

国際法によると、武装勢力だけでなく、家などの物件でも、軍事目的に使用されている限り、攻撃しても戦犯にならない。しかし、いかなる場合でも、民間人を攻撃することは、戦犯にあたる。

では、民間人が武装勢力にの横に立っていて死亡した場合はどうかといえば、この場合でも、戦犯は免れないという。

しかし、攻撃する場合に、警告を発していたり、警告にも関わらず、民間人があえて武装勢力とともにいて死亡した場合では、裁判の時点で、その度合いが酌量される。

そのため、イスラエルは最大限に警告を発し、最大限に民間人を巻き込まないように攻撃している。実際、イスラエル軍によると、空爆目標地点に、人や子供が発見されたとして、攻撃中止になるケースが多数発生している。

しかし、ハマスは、ガザの住民に対し、イスラエルの警告を無視して家からでないよう、国連の緊急避難所にも行かないようと指示していることもあり、民間人が常に巻き添えになってしまうのである。

イスラエルが、あえて子供を狙いうちにすることはないと思われるが、しかし、真相がなんであれ、ガザの4人少年が遊んでいるところ、「戦争行為によって死亡した」ことには違いはない。イスラエルへの非難は避けられない。

<地上戦はどうなる?>

可能性が高いとされる地上戦だが、イスラエルは予備役をさらに8000人招集し、兵力は、4万8000人となった。最大5万6000人までの招集となっている。

予備役兵は、優先的に後方支援部署に配置されるが、戦闘部隊の訓練を受けた者や特殊技能のある予備役は、一般の兵士とともに、最前線部隊に入って待機している。

つまり、圧倒的な軍事力を持つイスラエル軍に完全包囲され、ハマスが中からミサイルを発射している、というのが実際の構図である。

元南方総司令官のツビカ・フォーゲル氏をはじめ、専門家は、いったん地上戦が始まれば、2-3週間で終わると予測する。

しかし、いかに圧倒的軍事力があっても、ガザ地区は、淡路島の3分の2ほどの土地に180万人以上の人間が住んでいる過密な地域。イスラエルは民主国家という規約があり、民間人を巻き込む戦いにはブレーキがかかる。

ネタニヤフ首相と閣僚たちが、地上戦を決断しない以上、地上軍は動かない。そうこうしているうちに、今回の少年の死亡と、人道休戦となった。今後、地上戦投入への決断にも影響が出てくると思われる。

なお、作戦が始まって以来、ネタニヤフ首相と8人の閣僚は、テルアビブの防衛省で、継続的に閣議を行っている。

<イスラエル世論> www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/182960#.U8cilqW9DCs

チャンネル2ニュースによると、イスラエル人の53%が、今停戦することに反対していた。停戦を指示しているのは35%。 つまり、今回こそもう二度とロケット弾が飛んでこないように、最後まで戦い通してほしいというのがイスラエル世論ということである。

しかし、それと矛盾するが、では作戦後、ロケット攻撃は終わると思うかとの質問には、92%が終わらないと思うと答えた。*ガザで少年4人が死亡して休戦合意にいたる以前の調査

エルサレムのTシャツ屋で働いているヨッシーさん(30歳代?)。にこやかにTシャツを売っていたが、戦争の話になると、真顔になり、「ロケット弾が来ては戦争。停戦して数ヶ月するとまたロケット弾。また停戦でまたロケット弾。終わりがない。

イスラエルでは、平和がないなら戦争という両極端になる。その間ぐらいというのがない。僕には家に小さな子供たちがいるが、いい加減、こんな思いはさせたくない。」と訴えた。

数日前、南部からの子供たちを官邸に迎えたペレス大統領も、子供たちに「なぜハマスは僕たちを攻撃するの?」と聞かれて困っていたという。大統領は「世の中には私たちをきらいな人がいるんだよ。」と答えている。

ヨッシーさんに兵役について聞くと、「3年の兵役義務は果たした。戦場に行って人を殺すのは僕のやることじゃない。だから行かない。」と言った。

同じイスラエル人でも東エルサレムのアラブ人たちの思いは同じではない。東エルサレムに住むモハンマドさん(20歳代)は、ガザのミサイル攻撃を歓迎していると言っていた。東エルサレムの自分の頭上にはミサイルは来ないと信じきっているようだった。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

1 comments

毎回興味深く記事を読ませて頂いています。今現在、イスラエルに旅行中、常に近況を把握しながら滞在を満喫しています。ニュースでは常にイスラエルに不利な報道ばかりで歯がゆい思いをしていましたが、貴方の記事は偏りのない事実。ありがとうございます。沢山の方がもう少しイスラエルの抱えている問題に関心を持ってくれたら、上部ばかりのニュースをうのみにし、イスラエル批判をする事が少なくなるのにと思ってしまいます。

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