ガザ周辺・取材報告 2014.7.7

ガザからのロケット攻撃が続く、南部が周辺の都市を取材した。今日も、ガザに最も近いシャアレイ・ハネゲブ地方に午前中だけで9発の砲撃があったが、物損も負傷者もなかった。

これを受けてイスラエル軍は夜になってからガザを空爆。イスラム聖戦の指導者2人を殺害した。

<以外に余裕の住民>

7日午前中、ロケット弾が連発していたシャアレイ・ハネゲブにいたが、ロケット弾がどこに落ちたのか、ほとんど音も聞こえなかった。住民たちの様子も日常そのものだった。

この地域は、ガザに最も近い地域なので、迫撃砲が撃ち込まれる。これらは、発射されると同時に着弾してしまうため、警報は鳴らない。まさにいつロケット弾が飛んでくるのかわからない、という状況である。

しかし、シャアレイ・ハネゲブ地域議長は、「ガザからの攻撃はすでに15年も続いている。異常なことだが、住民は慣れている。今、攻撃があったからといって、だれもこの地域から引っ越しを考える者はない。」と語った。

シャアレイ・ハネゲブのガザがみえるところに立つと、いつロケット弾が飛んで来てもおかしくないというのに、確かにトラクターがガザ地区を背景に、広大な畑を右往左往しながら耕していた。

ここではロケット弾が飛んで来ても、隠れるところもないが、気にしないのだとか。

<スデロット>

先週、工場にロケット弾が直撃し、大きな火災となったスデロットのペンキ工場。痛々しい焼け跡がそのまま残されていた。その真横の、かろうじて焼けなかった部分の工場棟では、すでに操業が再開されていた。

ロケット弾でアパートの一角が実際に破壊された住民の話を聞いた。さすがに、その家の主婦は、ストレスで顔が歪むほどだった。その家の子供たちは、元気そうに見えたが、恐れて家から出られなくなっているという。

引っ越ししないのかと聞かれ、「仕事がここにあるし、スデロット以外に行くところはない。」と言っていた。住民の多くは、他の町に引っ越すだけの経済力がないのである。

スーパーに買い物にきた女性は、「政府はなにもしない。ガザを攻撃しても最後まで徹底的にやらないので、延々とロケット弾が続いている。」と怒っていた。

スデロットのショッピングセンターの一角に座っていた高齢の女性2人に話を聞いた。ニーナさんと、と90歳ぐらいの車いすのマリーアさんだ。ニーナさんはやけに明るく、「警報が鳴ったらどうするのかって?お茶を飲むのよ。あははは」と笑っていた。

マリーアさんは、ケアハウスに入居中。警報が鳴っても、どうにもできないので、そのまま動かないのだという。「おば(マリーアさん)はドイツでホロコーストを経験していて、これよりもっと怖い思いをしたからね・・」とニーナさん。

ロシア語なのでマリーアさんが何を言っているのかはよくわからなかったが、しっかりした表情で、「ガザのアラブは死んでしまうべき」というようなジェスチャーをしていた。ニーナさんは、「ガザのアラブ人にいいたい。もう十分。いい加減にしてほしいよね。あははは」だった。

話を聞くうち、ニーナさんがイエスを信じるメシアニックジューだということがわかった。「イエスさま大好き」と連発していた。「イエス様に祈れば、絶対大丈夫と確信できるのよ。」と言っていた。

姉妹だとわかると、うれしくなって、日本の教会の皆さんに私と私の息子のために祈るように言ってほしいと言った。息子のために何を祈るのかというと、ロケットにあたらないようにとかではなく、カフカス出身の嫁が早く来るようにとのこと。

2000年代初頭、最初にロケット弾が降り注いだ頃にスデロットを訪ねたことがあるが、当時に比べると、悲壮感はなく、余裕の空気を感じた。

<迎撃ミサイルが生み出した異常な日常>

イスラエルでは、最近迎撃ミサイルが発達しているので、住民に前ほど緊張感がなくなっている。また政府も、犠牲者が出ないので、なかなか思い切った対処に出ようとしなくなっている。

しかし、パレスチナ人が撃ち込むロケット弾は一発数百ドル(数万円)だが、迎撃ミサイルは、一発1万ドル(100万円)もする。

これでいいのか・・・?何かがおかしいのでは・・・?と感じる人は少なくないようである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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