エルサレム旧市街テロで6人死傷・テロリスト3人射殺 2017.6.17

金曜夜、ラマダン中のエルサレム旧市街のダマスカス門、ゼデキヤの洞窟付近の2箇所で同時に、パレスチナ人3によるテロが発生。6人の死傷者が出た。

Yネットによると、金曜午後7:30(断食終了直前)、ゼデキヤの洞窟付近で、パレスチナ人2人(1人は自動小銃、1人はナイフ)が国境警備隊員を襲撃。警備隊員3人が負傷、付近にいた22歳男性が胴体に、40歳男性が四肢に銃撃を受け、計5人が市内の病院へ搬送された。このうち3人は中等度の負傷。

同時に、数メートル先のダマスカス門付近でも、警備にあたっていた女性国境警備員のハダス・マルカさん(23)が、パレスチナ人1人に刺され、病院へ搬送されたが、まもなく死亡した。

テロリスト3人(18歳1人、19歳2人)はいずれもその場で射殺された。3人には、過去にテロ行為の記録があった。

事件発生の数時間後、ハマスが、フェイスブックを通じ、「3人が自己犠牲の作戦を行い、パレスチナ自治政府の”占領者”(イスラエル)との協調路線が失敗であることを証明した。

パレスチナの若者は、敵(イスラエル)との闘争を継続する。」と、犯行を賞賛するとともに、ハマス切り捨て政策を行っているアッバス議長を非難する声明を出した。

www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Report-Suspected-terrorist-shot-wounded-following-attack-in-Jerusalem-497070

www.i24news.tv/en/tv/replay/news/x5qvuye (ニュース映像)

<ISISが犯行声明:ハマスが否定>

上記のように、ハマスが先に犯行を賞賛するコメントを出していたが、この後、ISISのメディアが、このテロに関する犯行声明を出した。相変わらず、「これが最後ではない。」と脅迫している。

もし 本当にISISの犯行であった場合、今回が、ISISのイスラエル内部での初めてのテロとなる。
*シナイ半島からイスラエル領内へのロケット攻撃については犯行声明を出したことはある。

www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/ISIS-claims-responsibility-for-Jerusalem-attack-497078 

しかし、ISISの犯行声明については、ハマスが、ただちにこれを否定した。テロリストは1人がハマスメンバーで、2人はPFLP(パレスチナ解放人民戦線)だったと反発している。

ISISは、現在、シリア、イラクで陥落寸前となっている上、金曜、ロシアが、ISISの自称”カリフ”がロシアの攻撃で死亡した可能性に言及している。勢力巻き返しのために、イスラエルでのテロを自らのテロにしようとした可能性もある。

一方、ハマスもまた、危機的状況にあるので、ハマスの方が手柄を取り込もうとした可能性もある。いずれにしても、イスラエルにとっては迷惑きわまりない話である。

<イスラエルの対応>

エルサレム・ポストによると、イスラエル軍は、テロリストの出身地とみられるラマラ近郊の村を、人道支援以外の出入りを禁止して封鎖している。またテロに関係していると見られる者たちのイスラエルへの入場許可を剥奪した。

www.jpost.com/Breaking-News/IDF-seals-off-West-Bank-village-following-deadly-Jerusalem-attack-497076

また、ネタニヤフ首相は、ラマダン中、西岸地区から、イスラエルにいる親族を訪問するための特別入国許可を停止した。ただし、祈りでモスクなどを訪問する場合の許可は停止しなかった。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/231153

現在、まだラマダン中で、繊細な時期である。また今、追い詰められているガザのハマスとは、いつ戦争に発展するかもわからない一発触発でもあるため、イスラエルもどう反応するのが最善か見極めが難しいところである。

<ラマダン第3金曜:神殿の丘で30万人礼拝>

上記テロ事件があったのは、ラマダン開始後3回目の金曜日だった。金曜はイスラムの礼拝日で、旧市街の神殿の丘が最も混み合う日である。マアン(パレスチナメディア)によると、テロのあった金曜も、計30万人のイスラム教徒が、神殿の丘で祈りを捧げた。

www.maannews.com/Content.aspx?id=777675

来週金曜は、ラマダン最終金曜で、アル・クッズデーにあたる。特にイスラエルへの敵意を確認する日になるため、とりなしに覚えられたし。

*アル・クッズ・デー

ラマダンの最終金曜は、特にイスラエルの”悪”を覚えるためにアル・クッズ(神殿の丘のイスラム名)・デーと定められている。1979年にイランの呼びかけで始まった。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

コメントを残す

*