エルサレム分割を防ぐ法案 2017.7.28

パレスチナ人らは、神殿の丘問題でイスラエルに勝利したと叫んでいるが、はたしてそうであろうか。パレスチナ人との衝突が発生するたびに、イスラエルの右派の意見が強くなり、なんらかの新しい右寄りの動きが出てくるものである。

神殿の丘問題で混乱していた27日、イスラエルの国会では、「エルサレムの分割に関しては、過半数で決めるのではなく、3分の2(120議席中80)以上の賛成を要する」という基本法(日本で言えば憲法)の改正法案ついての第一回目の採択が行われ、これを通過した。

実際の改正には、あと2回国会を通過しなければならないが、改正が実現すれば、エルサレムの分割が難しくなる。これは東エルサレムをパレスチナの首都にするというパレスチナの主張に反するものである。

www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Knesset-votes-on-paradoxical-Jerusalem-bill-500867

<エルサレム拡張案>

エルサレム市は、イスラエルが、主張するところの東西を合わせると、人口の35%以上がパレスチナ人で、全国でも最もアラブ人の人口比が高い街である。

これを解消し、エルサレムのユダヤ人の比率を上げる案が右派リクードから提案されており、ネタニヤフ首相もそれを支持することを示唆したという。

それによると、エルサレム郊外のユダヤ人入植地、マアレイ・アドミム、グッシュ・エチオン、ギブアット・ゼエブ、ベイタル・イリット。エフラタなどをエルサレムに編入する。

これらの地域は、入植地というレベルではなく、すでにユダヤ市民が定着して住む地区にようになっている地域である。これが実現すれば、ユダヤ人13万人が新たにエルサレム市の住民となる。実際には、エルサレム市議会選挙の投票権を与えるという形になるという。

これと並行して、今はエルサレムの中に数えられているものの、実際には、防護壁で囲まれて、エルサレム市から隔離されたようになっているパレスチナ人地区をエルサレム市の外に出す。これで、アラブ人10万人がエルサレムの外に出ることになる。

いうまでもなく、これは反発を呼びそうな計画で、実現するかどうかは不明だが、イスラエルが、じわじわと、エルサレム、またイスラエルをユダヤ人の国として定着させようとしているということもまた確かな動きである。

www.timesofisrael.com/netanyahu-backs-major-expansion-of-jerusalem-to-include-nearby-settlements/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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