インドと国交25周年:モディ首相来訪 2017.7.8

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インドのモディ首相 ベン・グリオン空港 2017.7.4 出典:Haim Zach GPO

ユネスコでは、予想通り、イスラエルにとってアンフレンドリーな結果が出たが、これに先立ち、7月4日、インドのナレンドラ・モディ首相が、ドイツでのG20出席を前に、ビジネス代表団とともにイスラエルに到着、7日まで3日間滞在した。

インドの首相がイスラエルを訪問するのは、1992年に国交が正常化して以来、初めてのことである。

あまり知られていなかったが、インドとイスラエルの関係はここ10数年の間にかなり強化された。インドはイスラエルの技術に助けられ、イスラエルにとっては、インドは貿易上の重要な得意先となったのである。

今やインドは親イスラエルの国と言っても過言ではない。今回の3日間の間に、パレスチナへの訪問はなかったばかりか、「パレスチナ」という言葉さえ出なかった。

国際社会では、結局のところ、最終的にはお金が大きくものを言うということのようである。

<最高国賓の歓迎>

モディ首相は、ネタニヤフ首相が自ら出迎え、空港で閣僚が勢ぞろいする中、歓迎式典まで行われた。規模は小さいとはいえ、これは先のトランプ大統領や、バチカンのフランシス法王が来訪したときと同レベルに近い歓迎である。

また、イスラエル滞在中は、ネタニヤフ首相みずからがモディ首相をつきっきりで案内し、空港からはまず空港近くの農業研究所へ直行し、その後でヤド・バシェムに向かった。

リブリン大統領官邸での会見や、首相官邸での歓迎夕食会などのほか、テルアビブの国際会議場にインド系ユダヤ人数千人が集まり、モディ首相を歓迎した。

www.jpost.com/Israel-News/Modis-Visit/LIVE-Indian-PM-Modi-arrives-in-Israel-for-historic-visit-498728

モディ首相は、2008年にインドのムンバイで、ユダヤ教ハバッド派の施設がテロにみまわれ、4人が死亡したテロ事件で、ベビーシッターに救出され、両親を失いながらも一人生き残ったモシェ君(当時2歳、今11歳)とも面会した。

www.timesofisrael.com/mumbai-terror-attack-orphan-tells-modi-he-wants-to-return-to-india/

また、ネタニヤフ首相とともにハイファのイギリス軍用墓地で、イギリス軍とともに戦い戦死したインド人兵士らのメモリアルを訪問した。

最終日は、ハデラの海水淡水化工場を見学。海岸を走行しながら海水を淡水化する車両に試乗し、ネタニヤフ首相とビーチを歩くなどした後、7日、ベングリオン空港で、送迎式典の後、ドイツのG20へと旅立っていった。

<インド:イスラエルの得意先>

インドとイスラエルは1992年まで国交がなかった。アラブ諸国からの圧力で、インドがイスラエルの独立を認めなかったからである。

ところが、1992年、オスロ合意で、イスラエルとパレスチナが、正式に合意に達すると、いわば”大義”が成り立ったと考えたのか、イスラエルとの国交を開始した。今年はそれからちょうど25年である。

インドを愛し、イスラエルとのビジネスの促進に努めるイスラエル・ネパール商工会議所所長のラビブ・バイロン氏(イスラエル人)によると、国交を開始した1992年のインドとイスラエルとの貿易は2億ドルだったが、2017年末までには、50億ドルを超えると見込まれているという。

インドは農業技術やの開発をするイスラエルの企業に投資し、その技術で、農業は著しく発展した。水不足解消のためにもイスラエルの技術がインドを助けている。モディ首相は、農業用水技術とともに、汚染が進むガンジス川をきれいにするパイロット・プログラムをイスラエルに要請したという。

この他、インドは、イスラエルから、ダイヤモンド、カリウムなどの化学物質、肥料などを、大量に輸入している。観光業を伸ばすため、イスラエルへの直行便も検討されている。

特記すべきは、この50億ドルに防衛関係の取引は含まれていないということ。オフィシャルな数字ではないが、インドはイスラエルから年間25億ドル以上とも言われる武器を購入している。

インドは、人口13億の大国。しかも若い世代が今も増えつつある。高齢化がすすみ、経済に陰りが見え始めた中国にかわって、今や注目の国になりつつある。イスラエルにとっても重要な得意先である。

jppi.org.il/new/wp-content/uploads/2017/India%20Israel%20and%20the%20Jewish%20People%20JPPI%202017.pdf

<今回の取引>

モディ首相来訪で、さらに大きな取引があるとも予想されていたが、詳しい発表はなかった。しかし、ハアレツによると、両国は今後、さらに防衛関係と幅広い分野における、7項目で協力していくことで合意したもよう。

7項目の中身としては、水不足になりやすいインドにさらに水関係の技術協力をすること。イスラエルには現在、海水を淡水にするだけでなく、空気中の湿気を取り込んで、空気を乾燥させるとともに、その水分から飲み水を作り出す技術があるという。

この他、宇宙開発技術や、農業技術での共同R&D(調査開発)協力に4000万ドル(両国が半々で折半)が投資されることになった。ネタニヤフ首相は今後4年の間に対インド輸出を25%増やしたい考えである。

www.haaretz.com/israel-news/business/1.799788

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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