イラン政権:新型コロナとユダヤ人の陰謀を示唆 2020.3.9

イラン政権(左からロウハニ大統領、ハメネイ最高指導者) 出展:Wikipedia

イランの保健相は、9日1日で、あらたに743人が感染、49人が死亡したと伝えた。1日ででた犠牲者数としては最大である。イランではこれまでに149人が死亡したと伝えられているが、実際にはもっと多いとの見方もある。これについて、イラン政権の対策が非難されている。

エルサレムポストが伝えたところによると、この非難を避けるためか、プロパガンダで知られる英語のチャンネルが、「コロナウイルスの拡散の背後には、イランの敵であるシオニスト(イスラエル)たちがいる。」というような情報をここ数日間流していたという。

3月5日には、「シオニストが、イランを倒すために致死率の高いウイルスを開発した。」と流した。

このチャンネルは2017年にも、「アメリカのユダヤ人が、アメリカを戦争に追いやっている。」と流して問題になったことがあるとのこと。

www.jpost.com/Middle-East/Iran-News/Irans-regime-pushes-antisemitic-conspiracies-about-coronavirus-620212

<伝染病と反ユダヤ主義>

ヨーロッパで、中世の時代14世紀に、ペストで、人口の3分の2が死亡したと言われるパンデミックが発生したが、その時、ユダヤ人の陰謀説が流れて、激しいユダヤ人迫害が展開された。

また、パンデミックといえば、1918−1919年のスペイン風邪もある。第一次世界大戦の時に、インフルエンザによるパンデミックが発生した。これにより、5億人が感染し、5000万から1億人が死亡した。徴兵できる男性がいなくなったので、戦争が早く終わったとの説もある。

しかし、ヒトラーはしっかり生き残り、ホロコーストは実現してしまった。ヒトラーは、ユダヤ人がいるから、ドイツに災難が来たと国民に訴えたが、この時に、スペイン風邪の責任もユダヤ人にあると思った人は少なからずいたのではないだろうか。

ヨーロッパで、またこのような反ユダヤ主義が頭をもたげてこないように・・・。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。