アメリカ、ロシア、イスラエルの治安顧問:エルサレムで3者会談 2019.6.26


F190625NRF01-640x400 のコピー
左からイスラエルのシャバット治安顧問、ボルトン米大統領補佐官、ネタニヤフ首相、パトルーシェブ露治安顧問 
写真出展:times of Israel

25日、アメリカとロシアの治安顧問のトップが、イスラエルの治安顧問とともに、3国サミットを行った。主な目的はシリアのイランをどうするかであったが、今のイラン危機を踏まえて大きな視野でもイランに関する話し合いが行われたとみられる。

出席者は、アメリカからは、ボルトン大統領補佐官、ロシアからは、ニコライ・パトルーシェブ治安顧問、イスラエルからは、メイール・ベンーシャバット治安顧問。議題は、主にシリアの再建であるが、イスラエルからは、もちろん、新しいシリアからイランを完全に排斥することが目標である。

しかし、アメリカとロシアの代表が、エルサレムで会うなどということは前例がなく、サミットが実現しただけでも歴史的であったと指摘されている。ネタニヤフ首相は、外交に力を入れてきたが、その結果だとばかりに、この会談を歓迎する意向を表明した。

会談後、各国補佐官とネタニヤフ首相が共同記者会見を開いた。

ボルトン米大統領補佐官は、上記のように、イランが、中東でテロ組織を支援し、核兵器や弾道ミサイルの開発を続けていることなどを挙げたが、ロシアのパトルーシェブ治安顧問は、イランを(ロシアの)同盟の国と呼び、次のように述べた。アメリカとは立場を異にしていることは明らかである。

①イランが中東の脅威なのではなく、シリアのイラン拠点を攻撃しているイスラエルが危険をもたらしている。シリアにいるイラン軍は、反政府政府のテロ勢力と戦い、国の平穏を取り戻すために貢献している軍である。

②モスクワは、イスラエルの(シリアのイランに対する)懸念は理解している。イスラエルには、100万人近いロシア系ユダヤ人がいることも承知している。

③ホルムズ海峡付近で撃墜されたアメリカのドローンは、イラン領空に入っていたためにイランが撃墜したのであり、国際法違反ではない。国際空域で撃墜されたというアメリカの主張には、確証がない。

パトルーシェブ治安顧問の発表を受けて、ボルトン補佐官は、プーチン大統領が、ロシアは、最終的にはイランがシリアから撤退することを望むと述べたと強調。ロシアはまだそれを実施しきれていないと述べた。

また、アメリカは、イランに強硬な圧力をかけてはいいるが、話し合いの扉は大きく開けている。イランがそのドアから入ってくることを望むと述べた。

www.timesofisrael.com/in-trilateral-summit-russia-sides-with-iran-against-israel-and-us/

ネタニヤフ首相は、同じ記者会見に立ち、イスラエルは、シリアにイランが進出することを、これからも決して容認しないと強調した。

<元イスラエル首相府で外交・防衛アドバイザー:エラン・リーマン氏の分析:電話記者会見>

米露の治安顧問トップが、エルサレムで、シリア情勢からイラン問題について話し合うということは、これまでになかったことで、歴史的だった。これはネタニヤフ首相の献身的な外交の結果と評価できる。

ロシアは、シリア内戦では、イランとともに立っていたが、内戦終了の今は、イランを排斥しようとする動きもみられる。しかし、この会議において、パトルーシェブ治安顧問は、ロシアがまだイランを見捨てたわけではないという明確なシグナルを発した。

しかし、同時に、今の危機的状況の只中で、ロシアが治安のトップを、イランが敵視するイスラエルに派遣し、敵対国アメリカの治安のトップであるボルトン大統領補佐官と会談させたということは、それだけで、イランにとっては痛手になったと思われる。

こうした現状から、ロシアがイスラエルの要請に応じて、シリアのアサド大統領に働きかけ、シリアからイランを完全に排斥するかどうかについて、リーマン氏は、今のところ、その可能性は低いとみている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。