もうすぐ総選挙と過越:ロックダウン解除順調 2021.3.11

ベングリオン空港 出典:ウィキペディア

ロックダウン解除進む:空港にも活気

イスラエルでは今週からさらにロックダウンがすすみ、特にワクチン接種を終えたグリーンパス保持者は、レストランやジム、プールやホテル、演劇など、行動範囲が拡大している。また、教育省は、10日、来週14日から全国の学校を再開すると発表した。ただし、それぞれの状況に応じて対処することとなっている。(以下はテルアビブ市内の市民を訪問するネタニヤフ首相)

ベンングリオン空港では、旅客機を受け入れる出発空港を、ニューヨーク、フランクフルト、ロンドン、パリに、キエフ、トロント、香港が追加され、各地で立ち往生になっていたイスラエル人たちが帰国している。空港に人々が戻っている様子も伝えられている。

チャンネル13によると、今月23日の総選挙までに帰国を希望するイスラエル人は、約4万人。このうち2万5000人がこの10日ほどの間に帰国すると見込まれている。

こうした中、第4波も懸念されているが、今のところ、感染者数は、10日は3050人(先週は4000人台)と減少傾向に転じ、実行再生産数も0.9と、1を下回ってきた。コロナ担当のナフマン・アシュ氏は、このままであれば、23日の選挙と、その後の過越の祭り(3月27日から4月3日)まで新たなロックダウンは不要だろうとの見解を示した。

www.timesofisrael.com/virus-czar-lockdown-unlikely-before-passover-due-to-significant-drop-in-cases/

ワクチン接種の現状

イスラエルでは、すでに人口の半数以上である500万人が1回、390万人が2回のワクチンの摂取を終えた。新しいところでは、変異種の被害を受けやすい子供達へのワクチンの接種が始まっている。これについてはまだ議論が続いているが、これまでに600人の子供達(12−15歳)が副反応もなく、接種を終えた。

一方で、あくまでもワクチンに反対する人々は、これを人体実験だといい、医療従事者に「メンゲレ(ナチスの人体実験で知られる医師)と同じだ」と脅迫した人もいたとして問題になった。前にも懸念されていたが、最終的には市民全員のワクチン接種は不可能との見通し。

www.timesofisrael.com/worse-than-mengele-medics-reveal-antivaxxer-threats-as-union-calls-for-probe/

今後、ワクチンを受けていないことから、グリーンパスを持っていない人への差別待遇も問題になってくるだろう。テルアビブ市は全国に先駆けて、グリーンパスを持っていない教師は学校へ入ってはならないと発表した。

実際には14日から、学校や幼稚園など教育機関で働く人は、グリーンパスか、72時間前時点でのPCR陰性の表示を求められることになる。

www.ynetnews.com/article/BynMX8IXO

外国人の出入りをめぐる課題

外国人の入国については、今はまだ厳しい制限が続いているが、イスラエルは、グリーンパス保持者に限り、4月からギリシャ、キプロスとの行き来は認めるとの約束を交わしている。ギリシャもGDPの2割を観光に頼っているので、これ以上の開国は待てないというところである。ヨルダンとの陸路国境は週2回、通過できるようになるとのこと。

こうした中、イスラエル政府プレスオフィスは、2週間後の総選挙に向けて、外国人記者の受け入れを開始するとのこと。ただしワクチン接種をしていない場合は、ホテルでの隔離2週間が義務付けられる。(PCR2回陰性となれば10日間)

ずいぶん急速な動きだが、EUは、急激な開国には慎重な姿勢を示しており、EUのメンバーであるギリシャとキプロスが独自にイスラエルとの行き来を約束したことについて、懸念を表明している。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。