どうする!?オバマ大統領:シリア情勢緊迫 2013.8.26

先週21日、シリアのダマスカス近郊でサリンか神経ガスが使われ、500-1000人を超える人々が死亡したとみられる事件。アサド政権は、事件から5日もたった昨日25日になって、国連の化学兵器専門家の検査を受け入れると発表した。

5日もたってしまってはもはや信憑性の高いデータが得られるとは考えにくい。いまや”ほぼ”明確に赤線(容認の限界)を超えたシリアを、国際社会がこのまま放っておくわけにはいかない。

しかし今回も国連安保理は、欧米とロシア・中国との不一致で無能になっている。そのため今、決断のすべてが超大国アメリカのオバマ大統領の肩にかかっている。

オバマ大統領は、すでに地中海に戦艦を増強しており、今後どのようにシリアに対処すべきかを検討中である。

<もしアメリカがシリアを攻撃したらどうなる!?>

アメリカが臨戦態勢に入りつつあるのを見て、25日、イランが「アメリカが赤線を越えたら、深刻な結果をもたらす。」と釘をさす発言を行った。ロシアも、もしアメリカが軍事行動に入れば、中東全体が戦乱になると警告している。

もしアメリカがシリアを攻撃した場合、どうなるのか?その場合は、シリア、ヒズボラがイスラエルにミサイルを撃ち込んでイスラエルを巻き添えにしようとする可能性が高い。

シリアは現在、10万発の高度な弾道ミサイルやロケット弾を保有している。射程はイスラエルほぼ全土である。それらのミサイルに化学兵器の弾頭をつけて発射されれば相当な被害が出る。

ヒズボラのミサイルは7万発はあるとみられ、その中には高度な誘導ミサイルもある。イランの指示で、ヒズボラが、これらを使ってイスラエルの発電所や原子力発電所をねらい打ちする可能性もある。

実際にアメリカがシリア攻撃を行う場合は、イスラエルには事前に知らされることになっているもようである。

<イスラエルの対応は?>

ネタニヤフ首相は、イスラエルの考えを次のように語った。①シリアを放っておくことはできない。②最も危険な武器を最も危険な政権に持たせてはならない。③自己防衛の原則でイスラエルは動く。(イスラエルの安全が脅かされる場合は、イスラエルはいかなる軍事行動も辞さないということ)

万が一アメリカがシリアを攻撃した場合、上記攻撃の他、アサド政権の終焉という事態になる。その瞬間、化学兵器などが聖戦主義組織の手に渡ってしまわないよう、イスラエルがシリア国内18個所にあるとされる化学兵器を破壊するとも言われている。

こうした状況を見て、イスラエルでは25日(日)、普段の4倍の市民が、郵便局で配布されているガスマスクを受け取りに現れた。

<それでも平和にやっているエルサレム>

夏のイベント続きのエルサレムだが、20-23日、聖なる音楽フェスティバルが行われ、ダビデの塔博物館やヘブライ大学などあちこちの屋外で、エチオピアの音楽(シバの女王の時代)と伝わる音楽などが披露された。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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